国土交通省は、令和8年5月の「建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)」の結果を公表しました。大手50社の受注総額は1兆101億円で、前年同月比6.7%減3ヶ月連続の減少となりました。

公表日

令和8年6月30日

調査名

令和8年5月の建設工事受注動態統計調査(大手50社調査)

受注総額

1兆101億円(前年同月比6.7%減、3ヶ月連続減少)

国内計

9,985億円(前年同月比0.2%減、3ヶ月連続減少)

民間工事

7,514億円(前年同月比5.7%減、3ヶ月連続減少)

公共工事

2,067億円(前年同月比24.3%増、先月の減少から再び増加)

海外工事

116億円(前年同月比85.9%減、3ヶ月連続減少)

読む上での注意点

大手50社調査であり、中小建設業全体の受注状況を直接示すものではありません

今回の数字は、大手ゼネコン等を対象にした調査です。中小建設業の受注そのものではありません。 ただし、大手の受注環境は、数ヶ月後の協力会社・専門工事会社の仕事量、単価交渉、現場の繁閑に波及することがあります。そこは見ておきたいところです。

1週間で 11件ダウンロード されました

  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
  • 6月25日内装工事会社長野県
  • 6月23日プラント工事会社神奈川県
  • 6月23日外構工事会社岐阜県
  • 6月19日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月19日総合建築鳥取県
  • 6月19日配管工事会社東京都
  • 6月18日総合土木東京都
  • 6月18日空調設備工事会社兵庫県
  • 6月18日防水工事会社岡山県
  • 6月16日配管工事会社青森県
  • 6月16日総合建築神奈川県
  • 6月16日電気設備工事会社東京都
  • 6月15日総合土木千葉県
  • 6月15日内装工事会社島根県
  • 6月15日設備保全会社群馬県
  • 6月14日内装工事会社栃木県
  • 6月14日塗装工事会社神奈川県
  • 6月13日解体工事会社神奈川県
  • 6月11日総合建築和歌山県
  • 6月11日総合土木静岡県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

民間工事は3ヶ月連続減少。特に非製造業の弱さが目立ちます

民間工事は7,514億円。前年同月比で5.7%減少しました。これで3ヶ月連続の減少です。

内訳を見ると、製造業は前年同月比0.3%増でした。一方、非製造業は7.5%減です。発注者別では、その他、情報通信業、電気・ガス・熱供給・水道業などは増加しましたが、運輸業、金融業・保険業、サービス業などが減少しました。

工事種類別では、建築、土木ともに減少しています。倉庫・流通施設、工場・発電所、建築その他などは増加しましたが、店舗、事務所・庁舎、鉄道などは減少しました。

中小建設業としては、ここを少し丁寧に見たいです。 「民間が全部悪い」という話ではありません。業種や用途によって、強いところと弱いところが分かれているという見方が現実的です。

たとえば、元請から「少し見積の動きが鈍い」「決裁が延びている」「案件はあるが時期が読みにくい」といった話が出ている会社もあるかもしれません。今回の統計は、そうした肌感覚を確認する材料になります。

公共工事は24.3%増。民間減少の中で対照的な動きです

一方で、公共工事は2,067億円。前年同月比で24.3%増加しました。先月の減少から再び増加しています。

国の機関は前年同月比16.5%増。地方の機関は50.8%増です。発注者別では、国、独立行政法人、市区町村が増加しています。

工事種類別では、建築、土木ともに増加しました。工場・発電所、土木その他、教育・研究・文化施設などが増えています。一方で、上水道・下水道、港湾・空港、医療・福祉施設は減少しました。

ここで大切なのは、公共工事が増えているからといって、すぐに全社が恩恵を受けるとは限らないことです。 公共工事には、入札参加資格、施工実績、技術者配置、書類対応、元請・下請の関係性などがあります。

ただ、民間工事が弱含む局面では、公共工事の発注動向を見ておく価値は高まります。元請として入る会社も、協力会社として関わる会社も、早めに情報を拾っておきたいところです。

中小建設業が見るべきは「総額」よりも、自社の受注先とのつながりです

今回の総計は前年同月比6.7%減です。大きな数字です。 ただし、中小建設業にとって本当に大事なのは、統計の総額そのものではありません。

見るべきは、自社の売上がどの発注分野に寄っているかです。

たとえば、次のような会社では受け止め方が変わります。

  • 店舗・事務所系の民間建築に強い会社
  • 物流施設や工場関連に関わる会社
  • 市区町村発注の公共工事に関わる会社
  • 大手ゼネコンの協力会社として動く会社
  • 特定の元請1社への依存度が高い会社

同じ「建設業」でも、見える景色は違います。 だからこそ、今回の統計は「景気が悪い、良い」で終わらせない方がよいです。自社の受注台帳と照らし合わせることで、初めて経営判断の材料になります

いま確認したい実務ポイント

今回の発表を受けて、中小建設業が確認したいのは次の点です。

1つ目は、直近3〜6ヶ月の見積件数の変化です。 受注額だけを見ると遅れます。見積依頼の数、見積後の保留、失注理由を見た方が早いです。

2つ目は、民間・公共・元請別の売上構成です。 特定の発注分野に偏っている場合、その分野の冷え込みがそのまま会社の稼働率に響きます。

3つ目は、粗利率の変化です。 仕事量が減る局面では、無理な価格で取りに行きたくなることがあります。気持ちはよく分かります。ですが、受注量を守るために粗利を崩しすぎると、後から資金繰りと人員配置が苦しくなります

4つ目は、公共工事に関わる準備状況です。 入札参加資格、技術者、施工体制台帳、書類対応、協力会社との関係。ここが整っていないと、公共工事が増えても取りに行けません。

5つ目は、元請からの発注見通しのヒアリングです。 「秋以降の現場はどうですか」 「来期の案件はどの用途が多そうですか」 「人員を空けておいた方がよい現場はありますか」 こうした会話が、統計よりも早い情報になることがあります。

受注環境が分かれる時期は、会社の癖が出やすいです

民間工事が減り、公共工事が増える。 このような局面では、会社ごとの癖が出ます。

強い営業先に集中する会社。 今ある仕事を守る会社。 公共工事に寄せる会社。 元請との関係を深める会社。 粗利を削ってでも稼働率を優先する会社。

どれが正解とは言い切れません。会社の規模、職種、技術者、資金繰り、地域によって違います。

ただ、ひとつ言えるのは、受注環境が変わる時期ほど、感覚だけで動かない方がよいということです。 受注台帳、見積履歴、粗利率、元請別売上、現場別の採算。こうした数字を見ながら、「どの仕事を増やすか」「どの仕事は無理に追わないか」を決めていく必要があります。

今回の統計は、大手50社の数字です。 それでも、民間工事の減少が3ヶ月続いていること、公共工事が増加していることは、経営者として頭に入れておきたい動きです。

自社の受注先がどの分野に寄っているのか。元請の先にある発注者はどこなのか。そこを一度、静かに見直すタイミングです

自社の受注構成を整理するきっかけに

今回のような受注統計は、すぐに何かを変えるためだけのものではありません。 むしろ、「うちはどの分野に依存しているのか」「公共工事を増やす余地はあるのか」「見積と粗利の管理は十分か」を整理するきっかけとして使うのが現実的です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。受注環境の変化を見ながら、販路拡大や利益管理をどう考えるか。そうした壁打ちも可能です。

「うちの場合はどう見ればよいか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な整理先としてご活用ください。 お問い合わせはこちら