国土交通省は、景観法改正に伴い創設した「景観エリアリノベーション事業(景観再生事業)」について、長崎県長崎市をモデル都市に選定しました。対象は中島川・寺町地区です。今後、景観整備推進法人となり得る事業者の探索、地域での合意形成、事業計画・景観計画の検討が進められます。

発表機関

国土交通省 都市局

発表日

令和8年7月7日

事業名

景観エリアリノベーション事業(景観再生事業)

制度創設の背景

景観法改正(令和8年5月27日公布)

モデル都市

長崎県長崎市

対象地区

中島川・寺町地区

今後の予定

景観整備推進法人となり得る事業者等の探索、地域での合意形成、事業計画・景観計画の検討

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  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
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  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
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  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
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  • 6月16日総合建築神奈川県
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「景観を守る」から「景観を再生する」制度へ

今回のポイントは、景観行政が単なる規制にとどまらず、民間の力を使って建物の改修や利活用を進める仕組みに踏み込んだことです。

国土交通省の説明では、これまでの景観計画は、主に建築行為などに対する規制を中心としていました。一方で、地方都市などでは人口や来訪者の減少、所有者の活用意欲の低下、建造物の老朽化などにより、良好な景観を十分に形成できない地域も出てきています。

そこで新たに、景観計画に「景観再生事業の実施」を位置づけ、景観整備推進法人が所有者に代わって建造物等の改修や利活用に取り組めるようにする方向が示されています。

建設会社から見ると、これは単なる景観政策ではありません。空き店舗、古い建物、歴史的建造物、商店街の再生が、制度に基づく事業として動き出す可能性があるということです。

景観整備推進法人に「民間会社」が入る意味

今回の制度では、「良好な景観の形成を図ることを目的とする会社」も、景観整備推進法人の指定対象に追加されます。

景観整備推進法人は、建物等の所有者と「再生協定」を締結し、景観行政団体の認可を受けたうえで、所有者に代わって改修や利活用の促進などを行う仕組みです。

ここで重要なのは、工事だけでなく、物件の確保、用途の検討、テナント誘導、賃貸、事業者探索といった前段階が制度の中に入ってくることです。

中小建設業にとっては、受注の入口が変わる可能性があります。従来のように「発注者が決まり、設計が固まり、工事だけを見積もる」という流れだけではなく、まちづくり会社、不動産事業者、地域金融機関、行政、商店街、所有者などが関わる中で、改修の構想段階から建設会社の知見が必要になる場面が増えるかもしれません。

特に、既存建物の再生では、現地調査、劣化状況の把握、概算工事費、段階施工、用途変更に伴う実務上の論点整理が欠かせません。ここに地域の建設会社の経験が活きます。

長崎市のモデル事業から見える市場の方向性

今回モデル都市に選ばれた長崎市中島川・寺町地区は、国指定重要文化財の眼鏡橋をはじめ、歴史的建造物が多く残る観光・景観形成の重点地区です。

一方で、コロナ禍や経営者の高齢化による廃業などにより、空店舗が増加していることも示されています。長崎町家も多く残っており、若手を中心に空店舗を活用したまちづくりの機運が高まっているエリアとされています。

この構図は、長崎市だけの話ではありません。多くの地域で、中心市街地、旧街道沿い、商店街、観光地周辺に、同じような課題があります。

つまり今回のニュースは、老朽建物を解体して終わりではなく、地域の景観資産として再生し、事業として回していく流れが制度化され始めたと読むべきです。

中小建設業にとっては、改修技術そのものに加えて、地域の文脈を理解した提案力が差になります。歴史的な建物や町家の再生では、単に新しくするだけでは価値が出にくいからです。安全性、使いやすさ、コスト、景観、地域の合意を同時に見ながら進める必要があります。

すぐに確認しておきたい実務ポイント

今回の発表を受けて、全国の中小建設会社が直ちに何かを申請する、という内容ではありません。ただし、今後似た取り組みが各地に広がる可能性を考えると、早めに見ておきたい点があります。

まず確認したいのは、自社の営業エリアに景観計画や景観形成重点地区があるかです。自治体によって、景観上重視される地区、歴史的建造物が集まる地区、商店街再生の対象となる地区が定められている場合があります。

次に、空き店舗や老朽建物の所有者、不動産関係者、まちづくり会社との接点です。今回の制度では、所有者に代わって改修・利活用を進める仕組みが想定されています。工事会社として待つだけでなく、地域で誰が物件情報を持ち、誰が事業化を考えているのかを知っておくことが重要になります。

さらに、既存建物改修の見積・調査・工程管理の力も問われます。新築と違い、既存建物の再生は、開けてみなければ分からない部分が多くあります。だからこそ、初期段階でリスクを整理し、概算費用や施工上の注意点を伝えられる会社は、事業づくりの中で信頼されやすくなります。

「工事の受注」だけでなく「地域事業への参加」として見る

この制度を建設業の視点で見ると、最も大きな示唆は、建設会社が地域再生の実行者として関わる余地が広がることです。

もちろん、すべての建設会社が景観整備推進法人になる必要があるわけではありません。制度上の指定を受ける主体になる場合もあれば、景観整備推進法人やまちづくり会社のパートナーとして改修工事を担う場合もあります。

大切なのは、地域の再生事業では、建設会社の役割が「最後に施工する会社」だけではなくなっていくという点です。

建物をどう直せば使えるのか。どこまで直せば事業として成立するのか。安全性と景観をどう両立するのか。

こうした判断には、現場を知る建設会社の知見が必要です。地域密着で仕事をしてきた中小建設業ほど、地元の建物、所有者、商店街、行政の事情を理解している強みがあります。

今回の長崎市のモデル事業は、その強みを事業に変えていく流れの一つとして見ておきたいニュースです。

自社の地域に置き換えて考えるために

景観エリアリノベーション事業は、まだモデル都市での取り組みが始まる段階です。ただ、空き店舗、老朽建物、歴史的なまちなみ、中心市街地の再生という課題は、多くの地域に共通しています。

自社の地域で同じような動きが出たときに備えるなら、まずは「どの地区で、誰が、どの建物を、どのように活かそうとしているのか」を整理することが出発点になります。そのうえで、改修技術、概算見積、協力会社体制、行政や地域団体との関係づくりを少しずつ整えておくと、動き出したときに参加しやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用、販路拡大まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような制度や地域再生の動きについても、「うちの地域では関係があるのか」「何から見ておけばよいのか」という段階から一緒に整理できます。

無理な営業はいたしませんので、自社への影響や次の打ち手を落ち着いて確認したい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。