国土交通省は、トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果を公表しました。今回の調査では、平均拘束時間は10時間13分、荷待ち・荷役等時間は2時間2分でした。前回調査と比べると、運転時間は横ばいの一方で、平均拘束時間は1時間33分短縮しています。主な要因は、荷待ち・荷役等時間が1時間16分減少したことです。
公表内容 | トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果 |
公表日 | 令和8年7月10日 |
調査対象 | 一般貨物自動車運送事業のうち実運送を行う事業者 |
調査期間 | 2025年11月25日から2025年12月24日まで |
調査対象期間 | 2025年4月から2025年8月までの通常期における代表的な1日の運行 |
平均拘束時間 | 10時間13分 |
荷待ち・荷役等時間 | 2時間2分 |
前回調査からの変化 | 平均拘束時間は1時間33分減少、荷待ち・荷役等時間は1時間16分減少 |
関連する制度動向 | 2025年4月から改正物流効率化法が施行。荷主・物流事業者に荷待ち・荷役等時間短縮などの努力義務 |
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建設会社にとって、これは「物流業界だけの話」ではありません
今回の発表は、直接にはトラック運送事業者を対象にした調査です。
ただし、中小建設業にとっても見逃せません。建設会社は、日々の現場で資材、機材、建材、産廃、仮設材などを動かしています。つまり、現場は物流の終点であり、出発点でもあります。
建設現場での荷待ちや荷役の段取りは、運送会社だけでなく、建設会社の生産性と原価にも影響します。
たとえば、現場前でトラックが待つ。荷下ろし場所が空かない。担当者が不在で受入確認が遅れる。搬入時間が重なり、狭い道路やゲート前で滞留する。
こうした一つひとつは、現場ではよくある風景です。しかし、物流側から見ると拘束時間です。ドライバー不足が続くなかでは、こうした時間が運賃、納期、配送可否に跳ね返ってくる可能性があります。
改正物流効率化法の流れを、現場運営に落とし込む
PDFでは、2025年4月から改正物流効率化法が施行され、荷主・物流事業者に対して、荷待ち・荷役等時間の短縮などの努力義務が課されていることにも触れられています。
国は、改正物流効率化法に基づく基本方針で、1運行の荷待ち・荷役等時間を2時間以内にする目標を掲げています。今回の調査では平均値として2時間2分まで短縮しましたが、国土交通省は、個別には長い荷待ち・荷役等時間が発生しているケースがあることも踏まえ、さらに取り組みを続けるとしています。
ここで建設会社が見るべきポイントは、制度名そのものよりも、次の構造です。
物流の非効率は、これから「誰かが我慢して吸収するもの」ではなく、「取引全体で減らすもの」として扱われていきます。
建設会社が資材を受け入れる側になる場面では、搬入の待ち時間をどう減らすか。協力会社や商社、運送会社とどう段取りを合わせるか。ここが、実務上の論点になります。
中小建設業がまず見るべき3つのポイント
今回の調査結果を受けて、中小建設業がすぐに確認したいのは、難しい制度対応よりも現場の段取りです。
1. 搬入時間が現場都合だけで決まっていないか
朝一番に資材搬入が集中する。昼前に複数業者が重なる。荷下ろし場所が1か所しかない。
こうした状態が続くと、現場側は「いつものこと」と感じても、運送側には待ち時間が積み上がります。
搬入時間は、現場の作業効率だけでなく、運送側の拘束時間も含めて設計する時代に入っています。
大きなシステムを入れなくても、まずは週間工程表や搬入予定表の精度を上げるだけで、滞留は減らせます。
2. 荷下ろし場所と受入担当が曖昧になっていないか
荷役時間が長くなる原因は、荷物そのものの重さだけではありません。
どこに停めるのか。誰が受けるのか。フォークリフトや揚重機は使えるのか。検収は誰が行うのか。
ここが曖昧だと、トラックは現場に着いてから待つことになります。
「届いてから考える」ではなく、「届く前に受け入れ方を決める」ことが、物流効率化の基本になります。
現場代理人や職長だけに任せるのではなく、会社として標準的な受入ルールを持つことも有効です。
3. 待ち時間が見積・原価に表れているか
今後、荷待ちや荷役の負担が運賃や取引条件に反映される場面は増えていくと考えられます。
もちろん、今回の発表だけで個別の価格転嫁や契約条件が直ちに変わると断定はできません。ただ、国が荷待ち・荷役等時間の短縮を政策目標として掲げている以上、物流の時間管理は取引の重要テーマになっていきます。
搬入の非効率は、最終的に現場原価、協力会社の負担、工期管理に影響します。
資材価格だけを見るのではなく、「運ぶ時間」「待つ時間」「下ろす時間」まで含めて、現場の利益を見ていく必要があります。
平均値が改善した今こそ、自社の現場差が見えやすくなる
今回の調査では、荷待ち・荷役等時間が約3時間から約2時間へ減少しました。これは前向きな変化です。
一方で、平均が改善すると、個別に待ち時間が長い現場は目立ちやすくなります。
建設業では、現場ごとに条件が違います。敷地の広さ、道路付け、揚重計画、近隣対応、搬入可能時間、元請・下請の役割分担。すべてが違います。
だからこそ、全社一律の正解はありません。
ただし、見るべき問いは共通です。
自社の現場は、トラックを待たせない設計になっているか。
搬入の段取りは、現場任せではなく会社の生産性改善として扱えているか。
物流コストの上昇を、見積・工程・原価管理に織り込めているか。
この3つを確認するだけでも、次の改善点は見えてきます。
まずは「搬入の見える化」から始めたい
中小建設業にとって、最初の一歩は大がかりである必要はありません。
たとえば、主要な現場について、次の項目を1週間だけ記録してみる方法があります。
- 搬入予定時刻
- 実際の到着時刻
- 荷下ろし開始時刻
- 荷下ろし完了時刻
- 待ち時間が発生した理由
- 受入担当者
- 荷下ろし場所の混雑状況
これだけでも、かなりのことが分かります。
物流効率化は、運送会社への配慮であると同時に、自社の現場を強くする取り組みです。
待ち時間が減れば、現場の混乱も減ります。協力会社との関係も安定します。結果として、工程と原価の読みやすさが上がります。
今回の国土交通省の調査は、その流れがすでに進んでいることを示しています。
自社の搬入・原価・現場運営を整理するきっかけに
物流効率化の話は、制度だけを読むと少し遠く感じます。しかし、建設会社に置き換えると、資材搬入、荷下ろし、現場の段取り、見積、原価管理の話です。
「うちの現場では、どこでトラックを待たせているのか」 「搬入の混雑は、誰が調整すべきなのか」 「物流コストの変化を、見積や利益管理にどう反映すべきか」
こうした整理は、現場・管理部門・経営が一緒に見た方が進みやすいテーマです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。物流や搬入の見直しも、単独の業務改善ではなく、ものづくりに集中できる建設業界へ近づくための経営テーマとして捉えることができます。
「うちの場合は何から見ればよいか」「現場任せになっている段取りを整理したい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する場として活用してください。





























