国土交通省は、令和8年度「所有者不明土地等対策モデル事業」について、所有者不明土地等対策や、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定円滑化に資する先導的な取組などを行う8件を支援対象として採択したと発表しました。

この事業は、所有者不明土地・低未利用土地の円滑な利活用や適正管理を進めるため、市町村や民間事業者等の取組に対して、国が費用の一部を支援するものです。

発表日

令和8年7月13日

事業名

令和8年度 所有者不明土地等対策モデル事業

応募期間

令和8年5月18日~令和8年6月15日

応募件数

19件

採択件数

8件

支援対象

所有者不明土地等対策、所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定円滑化、空き地の利活用等に資する先導的取組

主な実施主体

市町村、民間事業者、NPO法人、一般社団・一般財団法人等

今回の発表は、単なる採択結果ではあります。ただ、中小建設業の経営者としては、「空き地・空き家・低未利用土地をどう動かすか」が、地域政策の中心テーマになりつつあるという点を見ておきたいニュースです。

1週間で 11件ダウンロード されました

  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
  • 7月2日防水工事会社茨城県
  • 6月30日ビルメンテナンス北海道
  • 6月30日ビルメンテナンス福岡県
  • 6月29日総合建築千葉県
  • 6月29日総合建築東京都
  • 6月28日配管工事会社富山県
  • 6月27日リフォーム会社山口県
  • 6月27日内装工事会社大阪府
  • 6月26日塗装工事会社秋田県
  • 6月26日配管工事会社三重県
  • 6月26日工務店宮崎県
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採択された8件の概要

今回採択された事業は、北海道から鹿児島県まで、地域の空き地・空き家、相続放棄物件、低未利用地、公有地活用などを扱うものです。

主な対象地域

事業主体

主な取組内容

北海道旭川市

特定非営利活動法人グラウンドワーク西神楽

所有者不明土地対策計画の提案に向けた市との協議、空き地・空き家所有者の意向調査、相談窓口の設置

北海道中富良野町

中富良野町低未利用土地等流通促進協議会

空き地・空き家調査、所有者情報整理、取得希望者とのマッチング、所有者不明土地対策計画の策定を目指す取組

福島県桑折町

一般社団法人桑折まちづくりネット

相続放棄物件の購入・利活用、所有者不明土地・建物管理命令の申立てを行った物件での課題解決手法の検証

栃木県宇都宮市

一般社団法人ひるね

店舗兼住居型の空き家を対象に、利活用プログラムを試行し、基本構想や利活用計画、管理運営方針を整備

新潟県田上町

一般社団法人みどり福祉会

所有者不明土地での地域福利増進事業に向けた協議、申請書作成、住民意向聴取、裁定申請を目指す取組

兵庫県川西市

非営利活動法人川西ランドバンク

低未利用の公有地を活用した地域活性化、行政手続や資金調達プロセスの検討、にぎわい交流創出の社会実証

愛媛県四国中央市

一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会愛媛県四国中央支部

特定空家等の所有者探索、所有者不明土地管理命令や共有持分取得・譲渡に関する申立実務の検証

鹿児島県鹿児島市

鹿児島相続対策研究会

空き地を活用した市民農園の利用促進、空き地利活用セミナー、管理不全の空き地・空き家への所有者探索や適正管理の取組

並べて見ると、共通点があります。「所有者がわからないから放置する」ではなく、「調べる、合意形成する、管理する、使い道をつくる」という実務に踏み込んでいることです。

この流れは、建設会社にとっても無関係ではありません。土地や建物が動き出す前には、調査、片付け、補修、改修、解体、外構、維持管理など、地域の事業者が関わる余地が出てきます。今回の発表自体が建設工事の発注情報というわけではありませんが、地域の未利用資産を事業化する前段階の動きとして見る価値があります。

中小建設業が見るべきポイントは「土地政策が現場課題に近づいている」こと

所有者不明土地や低未利用土地の問題は、これまで行政・不動産・法律の話として見られがちでした。

しかし、実際の地域では少し違います。

「草木が伸びて近隣から苦情が出ている」

「空き家が傷んで、通学路や隣地に不安がある」

「駅や中心部に近いのに、使われない土地が残っている」

「移住者や子育て世帯が住みたくても、流通する土地や家が少ない」

こうした課題は、最後には現場に降りてきます。地域の土地問題は、管理・改修・再利用・まちづくりの現場課題でもあるということです。

今回のモデル事業でも、所有者の意向調査、相談窓口、マッチング、地域福利増進事業、相続放棄物件の利活用、低未利用公有地の活用など、単なる調査にとどまらない取組が並んでいます。

中小建設業としては、ここを「公共政策の話」で終わらせず、自社の地域で同じような課題がどこにあるかを見ておくことが大切です。

すぐに入札案件になる話ではないが、地域の仕事の入口になる可能性がある

今回の発表は、8件のモデル事業採択です。したがって、これを読んだからといって、すぐに工事案件が出るとは限りません。また、今回の応募期間はすでに終了しています。

ただし、経営上の見方として重要なのは、国が「所有者不明土地・低未利用土地の利活用や適正管理」を政策的に後押ししているという点です。

地域で土地や空き家を動かすには、法律、相続、登記、不動産、金融、行政手続、住民合意などが絡みます。建設会社だけでは完結しません。一方で、実際に土地や建物を使える状態にする段階では、現場を知る会社の力が必要になります。

たとえば、今回の採択事業には、次のようなテーマが含まれています。

  • 空き地・空き家所有者の意向調査
  • 取得希望者とのマッチング
  • 店舗兼住居型空き家の利活用計画
  • 相続放棄物件の購入と利活用に向けた検証
  • 低未利用の公有地を活用した地域活性化
  • 管理不全の空き地・空き家に関する所有者探索や適正管理

ここから先に進めば、建物の状態確認、改修可否の判断、概算費用の整理、維持管理方法の検討などが必要になる場面も考えられます。地域密着の建設会社は、こうした構想を「実行可能な形」に落とす役割を担える可能性があります。

自社の地域で確認したい3つのこと

今回のニュースを、自社経営に引き寄せるなら、まず次の3点を確認しておくとよいです。

1. 地元自治体に所有者不明土地・空き家対策の計画や協議会があるか

採択事業の中には、「所有者不明土地対策計画」の策定や、法定協議会の設置に向けた協議を進めるものがあります。

自社の地域でも、自治体が空き家対策、空き地対策、移住促進、中心市街地活性化、公共施設跡地活用などに取り組んでいる可能性があります。まずは自治体の計画・協議会・相談窓口を確認することが、地域案件を早く知る入口になります。

2. 空き家・低未利用地に関わる民間団体や士業との接点があるか

今回の採択主体には、NPO法人、一般社団法人、協議会、研究会などが多く含まれています。所有者不明土地や空き家の問題は、建設会社単独ではなく、行政、司法書士、不動産事業者、地域団体などとの連携で動くことが多い領域です。

「工事が出たら受ける」だけでなく、「構想段階から相談される関係」をつくれるかが、今後の差になりそうです。

3. 改修・管理・活用の概算を出せる社内体制があるか

空き家や低未利用地の活用では、所有者や行政、地域団体が最初に悩むのは「結局、いくらかかるのか」「使える状態にできるのか」という点です。

詳細見積の前段階で、建物の劣化状況、最低限必要な改修、管理上の注意点、将来の維持費などを整理できる会社は、地域の相談役になりやすいです。

概算、現地確認、リスク整理を早い段階で出せることは、地域密着の建設会社にとって強い武器になります。

「空き地・空き家」は採用や地域ブランドにもつながる

このテーマは、売上機会だけで見ると少し狭く見えるかもしれません。

しかし、地域の空き地や空き家をどう活かすかは、住む人を増やす、子育て世帯を呼び込む、にぎわいをつくる、安全な通学路を守る、といった話につながります。

つまり、地域の暮らしの基盤を整える仕事です。

中小建設業にとって、地域からの信頼は採用にも影響します。「あの会社は、地域をよくしている」という見え方は、若い人やその家族にとっても意味があります。大きな広告よりも、地元で目に見える仕事の積み重ねのほうが、会社の存在感を強くすることがあります。

今回のモデル事業は、採択された8地域の取組ですが、背景にある課題は全国共通です。人口減少が進む地域ほど、土地や建物を放置せず、どう使い直すかが経営環境そのものに関わってきます。

これからの地域建設業は「直す会社」から「地域資産を動かす会社」へ

建設業は、依頼されたものを造る、直す、壊す、管理する仕事です。その重要性は変わりません。

ただ、これからはその前段階、つまり「そもそもこの土地や建物をどうするか」という段階に、地域の建設会社が関わる場面が増えていくはずです。

所有者不明土地、相続放棄物件、空き家、低未利用地、公有地。これらは一見すると、面倒で動きにくい資産です。しかし、地域のなかで使い道が見つかれば、住宅、店舗、交流拠点、農園、駐車場、広場など、次の役割を持つ可能性があります。

中小建設業が見るべきなのは、「どこで工事が出るか」だけではありません。「どの地域課題が、これから工事や管理の必要性に変わっていくか」です。

今回のニュースは、その視点を持つきっかけになります。

自社の地域でどう関わるかを整理するために

所有者不明土地や空き家・低未利用地の活用は、行政制度、不動産、相続、地域合意、工事費、維持管理が絡むため、「うちの会社はどこから関わればよいのか」が見えにくいテーマです。

まずは、自社の地域で起きている空き家・空き地の課題、自治体や地域団体との接点、改修や管理で提供できる役割を棚卸しするだけでも、次の動きが見えやすくなります。

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