国土交通省は、令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通しを、令和8年6月末時点で公表しました。内容は、復興まちづくり、災害公営住宅、上下水道、道路、河川・土砂災害、港湾、観光、地域交通、液状化対策など広範囲です。

中小建設業にとって大事なのは、復旧が「応急対応」から「本復旧・再建・まちづくり」の段階へ進んでいることです。つまり、単発の緊急工事だけでなく、複数年度にわたるインフラ復旧、住宅再建、地域再生の仕事が続いていく局面に入っています。

発表主体

国土交通省

公表日

令和8年7月15日

対象

令和6年能登半島地震からの復旧・復興状況と今後の見通し

基準時点

令和8年6月末時点

主な分野

復興まちづくり、住まい、上下水道、道路、河川・土砂災害、海岸堤防、港湾、観光、交通、液状化対策など

建設業への見方

応急復旧から本復旧・再建・地域づくりへ移行。工事、設計、施工管理、住宅再建、インフラ更新の見通しを確認したい局面

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  • 7月16日外構工事会社東京都
  • 7月16日塗装工事会社大阪府
  • 7月16日内装工事会社群馬県
  • 7月16日総合建築岐阜県
  • 7月15日工務店東京都
  • 7月15日内装工事会社神奈川県
  • 7月15日塗装工事会社奈良県
  • 7月15日内装工事会社鳥取県
  • 7月14日配管工事会社高知県
  • 7月14日配管工事会社広島県
  • 7月14日防水工事会社神奈川県
  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
  • 7月5日プラント工事会社福島県
  • 7月5日リフォーム会社東京都
  • 7月5日総合土木福井県
  • 7月4日外構工事会社千葉県
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復旧は「緊急対応」から「本復旧・再建」の段階へ進んでいます

今回の公表でまず押さえたいのは、国土交通省が、二次災害に直結する切迫した被災箇所の応急対策は全て終了し、インフラの機能回復対策や本復旧が進んでいると整理している点です。

現場感覚でいえば、発災直後の「通す」「止める」「守る」段階から、いまは「戻す」「強くする」「暮らしとなりわいを再建する」段階に移っています。

建設会社にとっては、ここが大事です。

復旧・復興工事は、短期の災害対応だけでは終わりません。

道路、河川、上下水道、港湾、住宅、液状化対策。分野ごとに、工程はまだ続きます。しかも、発注者は国、県、市町、UR、港湾管理者、地域事業者などにまたがります。

「うちは地元ではないから関係ない」と見るより、災害復旧の進み方そのものを、自社の地域でも起こり得る経営テーマとして見るほうが実務的です。

災害公営住宅は3,082戸。住宅再建は地域工務店にも関係します

住まいの再建では、石川県・富山県の10市町で災害公営住宅の整備が予定されています。

公表資料では、計画戸数3,082戸分すべての用地確保にめどが立ったとされています。令和8年6月末時点で、約440戸程度の工事に着手済みです。最も早い地区では、令和8年8月に入居予定とされています。

災害公営住宅の計画戸数

3,082戸

整備予定市町

石川県・富山県の10市町

用地確保

全戸分でめど

工事着手済み

約440戸程度

最も早い入居予定

令和8年8月

令和8年度中の入居予定

5市町で予定

ここで中小建設業が見たいのは、単に戸数だけではありません。

住宅再建は、建築工事だけでなく、造成、外構、上下水道、電気、設備、補修、相談対応、資金計画の説明まで含む地域の総力戦になります。

また、自力再建を目指す被災者向けには、「被災住宅相談窓口」や「災害復興住宅融資」、「いしかわ型復興住宅」モデルプラン集も示されています。

地域の工務店、専門工事会社、設備会社にとっては、次のような準備が重要になります。

  • 補修・建替えの相談に答えられる体制を持つ
  • 罹災証明、融資、支援制度の概要を最低限把握する
  • 高齢者世帯、単身世帯、ファミリー世帯など、世帯ごとの再建ニーズを聞けるようにする
  • 応急仮設から恒久住宅へ移る流れを踏まえ、短期工事と長期工事の工程を分けて考える

被災地の住宅再建では、「いい家を建てる」だけでは足りません。

「今の暮らしをどう戻すか」。 「資金面で無理がないか」。 「地域に残れるか」。

そうした会話に寄り添える会社ほど、地域に必要とされます。

道路・河川・港湾は複数年度の本復旧が続きます

土木系の会社が特に見るべきなのは、道路、河川・土砂災害、港湾の工程です。

道路では、令和8年6月末時点で、国道・県道の通行止め箇所は8箇所とされています。国道249号沿岸部や能越自動車道等では、本復旧の見通しも示されています。

分野

主な見通し

国道249号沿岸部

用地取得や大型構造物の施工等が順調に進んだ場合、令和11年春までの本復旧完了を予定

能越自動車道等の一部区間

のと三井IC~のと里山空港IC、徳田大津IC~(仮称)病院西ICは令和9年春までの本復旧完了を予定

能越自動車道等の残る区間

大規模崩壊箇所の崩土撤去や大型構造物の施工等が順調に進んだ場合、令和11年春までの本復旧完了を予定

河川の本格復旧

令和10年度末までに改良工事を含め完了を目指す

砂防・地すべり対策

県・市町の対策箇所も含め、令和11年度末までに全箇所完了を目指す

港湾の主要係留施設

令和8年度末までにすべての本復旧完了を目指す

注目したいのは、資料の中で「用地取得や大型構造物の施工等が順調に進んだ場合」という条件が付いている点です。

これは建設実務ではとても現実的な表現です。

復興工事は、設計があるだけでは進みません。用地、地元調整、資材、重機、作業員、交通規制、天候、積雪、宿泊環境がすべて工程に影響します。

中小建設会社としては、次の視点で見ておきたいところです。

  • 自社で直接受注できる工種は何か
  • 元請・一次・二次協力のどこで関われるか
  • 長期出張や応援施工に耐えられる人員体制があるか
  • 重機、車両、資材置場、宿舎の確保は現実的か
  • 冬期施工、除雪、通行止め、迂回路への対応ができるか

復興工事は、気持ちだけでは続きません。

きちんと利益を残せる工程管理と原価管理があってこそ、地域を支え続けられます。

上下水道では「分散型システム」も示されています

上下水道では、断水解消と機能確保は済んでおり、本復旧に向けて詳細設計や工事が進んでいます。水道施設の本復旧は、令和10年度末までの完了を目指すとされています。

加えて、今回の資料で見逃したくないのが、分散型の水道施設の導入支援です。

国土交通省は、人口減少や今後の災害も見据え、地域の実情に応じて、集約型の水道施設と分散型の水道施設のベストミックスを図ることが重要だとしています。令和8年度予算では、水道事業者が分散型システムを導入する際の施設整備を支援対象に追加しています。

支援対象として示されている例は、次のようなものです。

  • 水源整備
  • 小型浄水処理装置
  • 運搬送水のための給水車導入

これは、建設業にとっても重要です。

人口が減る地域で、すべてを従来型の大規模インフラで維持するのは難しくなります。災害時にも、一本道や一本の管路に依存するリスクがあります。

今後は、上下水道、浄化槽、小規模分散設備、給水車、仮設設備、維持管理を組み合わせる案件が増える可能性があります。

土木、管工事、設備、電気、維持管理の境目が、少しずつ重なっていくと見ておきたいところです。

輪島朝市周辺、和倉温泉、液状化対策。地域再生は工事だけでは終わりません

復興まちづくりでは、輪島市、珠洲市、能登町、穴水町、七尾市、志賀町、中能登町の7市町で復興まちづくり計画が策定・公表されています。

特に輪島朝市周辺エリアでは、地元住民の合意形成のもと土地区画整理事業等を実施中です。道路工事等にも着手し、一部の宅地では建築が可能となっています。

和倉温泉では、営業再開済みまたは再開予定の旅館前面の護岸、施工延長790mが令和8年6月25日に完成したとされています。観光の再生と護岸復旧が一体で進んでいます。

液状化対策では、被災自治体で復興計画が作成され、実証実験や対策工事が順次進んでいます。土地境界については、「土地境界再確定加速化プラン」に基づき、境界確定に向けた調査を最短で令和8年度中に完了することを目指すとされています。

ここには、建設業にとって大きな示唆があります。

復興とは、壊れたものを元に戻すだけではありません。土地、建物、道路、護岸、観光、交通、暮らしを同時に組み直す仕事です。

だからこそ、現場では「図面どおりに施工する力」に加えて、次の力が必要になります。

  • 地権者や住民との会話を受け止める力
  • 行政、設計者、元請、協力会社と調整する力
  • 営業再開や入居予定から逆算して工程を組む力
  • 変更や不確定要素を前提に、利益を守る力
  • 地元企業と外部企業が役割分担する力

復興の現場では、強い会社だけが求められるのではありません。

粘り強く、約束を守り、地域の事情を聞きながら進められる会社が求められます。

中小建設業が今から見ておきたい3つのこと

今回の発表を、自社経営に引き寄せるなら、見ておきたいことは3つです。

1. 複数年度の仕事として工程を読む

国道249号や能越自動車道等、河川、砂防、港湾などは、令和8年度、令和9年度、令和10年度、令和11年度まで見通しが示されています。

復興工事は、年度単位で追いかける必要があります。

単年度の受注だけを見ていると、採用、外注、重機、資金繰りの判断が遅れます。

2. 住宅・土木・設備を分けすぎない

災害公営住宅、自力再建、上下水道、浄化槽、宅地復旧、液状化対策は、現場ではつながっています。

これからの地域建設業は、単独工種だけでなく、周辺工種との連携力が価値になります。

自社で全部を抱える必要はありません。信頼できる協力会社と、早めに役割を決めることが大切です。

3. 原価と人員を甘く見ない

復興の仕事は社会的意義があります。一方で、遠隔地対応、交通規制、宿泊、冬期施工、資材搬入、地元調整など、通常工事より負担が大きくなることがあります。

地域を支えるためにも、赤字で無理をしない見積と原価管理が必要です。

「復興だから頑張る」。 その気持ちは大切です。

でも、会社が疲弊してしまえば、次の現場を支えられません。

持続的に関わるために、工程、単価、外注費、移動費、宿泊費、管理工数を丁寧に見ておきたいところです。

自社への影響を整理する時間をつくる

今回の発表は、能登半島の復旧・復興状況に関するものです。ただ、読み解くべきテーマは全国の建設会社にも共通しています。

災害復旧。住宅再建。インフラ老朽化。人口減少地域での分散型設備。複数年度の公共工事。地元企業と外部企業の連携。

どれも、これからの中小建設業の経営に関わる論点です。

「うちの会社なら、どの分野で力を出せるか」。 「災害対応が起きたとき、原価管理や人員配置は回るか」。 「公共工事、住宅、設備、協力会社の体制をどう組み直すか」。

こうした整理は、日々の現場が忙しいほど後回しになりがちです。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、建設企業の持続的成長を支えるための壁打ちも行っています。

「自社の場合はどう考えるべきか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、今回のような復旧・復興の動きを自社経営にどうつなげるか、一度落ち着いて整理したい方は、お問い合わせはこちらからご相談ください。