国土交通省は、令和8年6月分の「建設工事受注動態統計調査報告」を公表しました。6月の建設工事受注高は12兆1,219億円、前年同月比8.2%増でした。一方で、中身を見ると、元請受注高は0.5%減、下請受注高は28.3%増となっており、単純に「市場全体が好調」とだけ読むと少し危うい内容です。

公表資料

建設工事受注動態統計調査報告(令和8年6月分)

公表日

令和8年8月10日

6月の受注高

12兆1,219億円(前年同月比8.2%増)

元請受注高

7兆7,755億円(同0.5%減)

下請受注高

4兆3,464億円(同28.3%増)

公共機関からの元請受注高

2兆6,004億円(同11.6%増)

民間等からの元請受注高

5兆1,751億円(同5.7%減)

次回公表予定

7月分は9月10日公表予定

1週間で 15件の相談 がありました

  • 8月24日総合建築京都府高卒採用の相談
  • 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
  • 8月24日塗装工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月24日空調設備工事会社兵庫県利益率向上の相談
  • 8月23日外構工事会社栃木県人材育成の相談
  • 8月22日解体工事会社山形県原価管理の相談
  • 8月22日防水工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 8月22日総合土木神奈川県利益率向上の相談
  • 8月21日リフォーム会社熊本県利益率向上の相談
  • 8月21日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 8月21日空調設備工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
  • 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 8月19日プラント工事会社千葉県協力会社探しの相談
  • 8月19日解体工事会社福岡県業務効率化システムの相談
  • 8月18日総合土木愛知県業務効率化システムの相談
  • 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
  • 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
  • 8月17日塗装工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 8月17日電気設備工事会社神奈川県人材育成の相談
  • 8月17日外構工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月17日総合建築大阪府案件獲得の相談
  • 8月16日内装工事会社京都府案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社熊本県高卒採用の相談
  • 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
  • 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
  • 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
  • 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
  • 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
  • 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
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総額は増えているが、見るべきは「どこで増えているか」です

今回の統計でまず押さえたいのは、受注総額は増えているものの、元請と下請で動きが大きく分かれていることです。

6月の受注高全体は12兆1,219億円で、前年同月比8.2%増となりました。3か月連続の増加です。ところが、元請受注高は7兆7,755億円で同0.5%減、3か月連続の減少です。一方、下請受注高は4兆3,464億円で同28.3%増、こちらは3か月連続の増加でした。

中小建設業にとって、この差はかなり重要です。売上の多くを元請でつくる会社と、専門工事・協力会社として下請比率が高い会社では、同じ「受注増」というニュースでも受け止め方が変わります。

今回の数字は、「建設需要が一様に伸びている」というより、「下請側に仕事量が流れ込みやすい局面が出ている」と読む方が実務に近いです。

もちろん、月次統計ですので、1か月分だけで自社の方針を大きく変える必要はありません。ただ、元請が減り、下請が大きく増えているという構図は、専門工事会社や地域の協力会社にとって、受注量・人員配置・外注先確保・利益率の見直しを考えるきっかけになります。

公共は増加。ただし、国と地方で温度差があります

元請受注高のうち、公共機関からの受注は2兆6,004億円、前年同月比11.6%増でした。公共工事全体で見ると、6月は増加傾向です。

ただし、公共工事の内訳を見ると、ここにも差があります。公共機関からの受注工事額、1件500万円以上の工事では、全体が2兆4,931億円で前年同月比11.8%増でした。そのうち、国の機関からの受注は8,263億円で97.9%増、一方で、地方の機関からの受注は1兆6,668億円で8.0%減です。

公共工事を追っている会社にとっては、ここが大事です。「公共が増えている」と言っても、地方自治体発注が同じように増えているわけではありません。

工事分類別では、受注工事額が多いものとして、道路工事5,322億円、教育・病院5,272億円、その他3,298億円が挙げられています。また、発注機関別・工事分類別では、市区町村の教育・病院が4,366億円、政府関連企業等の道路工事が2,273億円、国のその他が1,691億円となっています。

公共工事を主戦場にする会社は、単に「公共予算がどうか」ではなく、自社が対応できる工種・地域・発注機関の発注が動いているかを見る必要があります。特に地域密着型の会社は、国の機関の増加と、自社の商圏で取れる案件の増加を分けて考えた方がよさそうです。

民間は弱含み。大型建築は前年同月比17.9%減です

民間等からの元請受注高は、5兆1,751億円、前年同月比5.7%減でした。4か月連続の減少です。

特に、民間等からの建築工事・建築設備工事、1件5億円以上の工事は、1兆4,384億円で前年同月比17.9%減となっています。工事種類別では、受注工事額が多いものとして、工場・発電所3,613億円、住宅3,380億円、倉庫・流通施設1,747億円が示されています。

一方、民間等からの土木工事及び機械装置等工事、1件500万円以上の工事は、1兆763億円で前年同月比0.5%減でした。こちらも減少ではありますが、建築・建築設備の大型案件ほど大きな落ち込みではありません。

民間工事を追う会社にとっては、「民間が悪い」と大きく括るのではなく、建築大型案件、設備、機械装置、工場・発電所、住宅、倉庫など、自社が関わる領域ごとに見ることが必要です。

数字上は、建築・建築設備の大型案件では前年同月比で減少していますが、発注者別では電気・ガス・熱供給・水道業の建築工事・建築設備工事が1532億円で同138.4%増となるなど、伸びている分野もあります。自社の営業先がどの産業に偏っているかによって、体感はかなり変わるはずです。

設備工事業は22か月連続増。専門工事会社は利益管理がより重要になります

業種別では、総合工事業が6兆5,951億円で前年同月比1.4%増、職別工事業が1兆6,887億円で同27.4%増、設備工事業が3兆8,381億円で同13.7%増でした。

特に目立つのは、設備工事業が22か月連続の増加となっている点です。元請受注高で見ても、設備工事業は2兆1,056億円で同5.3%増、19か月連続の増加です。

これは、設備系・専門工事系の会社にとって前向きな材料です。ただし、仕事量が増える局面ほど、経営上は注意も必要です。

忙しいのに利益が残らない、売上は増えたのに資金繰りが重い、現場代理人や職長に負荷が集中する。

こうしたことは、受注が減っている時より、むしろ受注が増えている時に起こりやすいものです。今回の統計は市場の追い風を示す一方で、会社ごとには「どの仕事を取り、どの仕事は慎重に見るか」を改めて整理するタイミングとも言えます。

3億円以下の法人は受注増。中小企業に近い層の動きは強いです

資本金階層別の数字も、中小建設業にとって見逃せません。

令和8年6月分では、3億円以下の法人の受注高は約7兆4,467億円、前年同月比22.0%増でした。内訳を見ると、元請受注高は同8.8%増、下請受注高は同42.7%増です。

一方、3億円超の法人は、受注高が前年同月比8.3%減となっています。

ここから言えるのは、中小企業に近い資本金階層では、特に下請を中心に受注が伸びているということです。もちろん、資本金階層と会社規模・経営実態は完全に一致するわけではありません。それでも、中小建設業の経営者が見るべきシグナルとしては十分に意味があります。

仕事が増えている会社ほど、次の3点を早めに確認したいところです。

  • 今の受注増は、利益率の高い仕事で増えているのか
  • 現場を回す人員・協力会社・管理者に無理が出ていないか
  • 下請比率が上がる中で、価格交渉や契約条件を後回しにしていないか

受注高が伸びている時こそ、経営の目線は「売上」だけでなく、「粗利」「回収」「工程」「人の負荷」に向ける必要があります。

自社で見るべき実務ポイント

今回の統計を、中小建設業の経営に引き直すなら、確認したいのは次の5つです。

1つ目は、自社の受注構成を、元請・下請、公共・民間で分けて見ることです。今回の数字では、元請は減少、下請は大幅増です。自社の売上がどちらに寄っているかで、感じる景色は変わります。

2つ目は、公共工事を「国」と「地方」で分けて見ることです。国の機関は大きく増えていますが、地方の機関は減少しています。公共工事を狙う会社は、発注機関ごとの動きまで確認した方が実務に使えます。

3つ目は、民間工事を一括りにしないことです。大型の建築・建築設備工事は減少していますが、業種や工事種類によって濃淡があります。自社の営業先が、製造業、不動産業、電気・ガス・熱供給・水道業、サービス業など、どこにあるのかを見直すと、次の営業先の優先順位が見えやすくなります。

4つ目は、設備工事・職別工事の伸びを、単なる追い風で終わらせないことです。受注が増える時期は、見積の甘さや現場管理の負荷が後から効いてきます。忙しい時ほど、受注前の採算確認が大切です。

5つ目は、地域別・都道府県別の数字を、自社の商圏に置き換えて見ることです。全国計が伸びていても、自社の県や近隣地域が同じ動きとは限りません。国交省資料には、業者所在地域別、施工都道府県別の表も掲載されています。ここは、地域密着の会社ほど見る価値があります。

受注が動く時期こそ、会社の「選ぶ力」が問われます

今回の統計は、建設市場が止まっているというより、伸びている領域と慎重に見るべき領域が分かれてきていることを示しています。

中小建設業にとって大切なのは、「仕事があるかないか」だけではありません。どの仕事を取り、どの仕事を見送り、どの発注者・元請・協力会社との関係を深めるか。ここを決める力が、これからますます重要になります。

特に、下請受注が大きく伸びている局面では、目先の稼働率を上げることと、会社に利益を残すことが必ずしも同じではありません。受注量が増えている時ほど、見積、契約条件、工程、人員配置、原価管理をセットで見る必要があります。

自社の受注構成に置き換えて整理する

今回のような統計は、全国の大きな数字として読むだけでは少しもったいない資料です。自社の売上を、元請・下請、公共・民間、工種別、地域別に分けてみると、「うちはどの波に乗っているのか」「どこに偏りがあるのか」が見えやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社がものづくりに集中できるよう、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで、経営課題を横断して整理し、実行まで支援しています。

「うちの場合、この受注動向をどう見ればよいか」「忙しいが利益が残る形になっているか」「公共と民間、元請と下請のバランスを見直したい」といった段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは現状整理の壁打ち先としてご活用ください。

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