国土交通省は、令和7年度の住宅性能表示制度の実施状況を公表しました。設計住宅性能評価書を交付した住宅戸数は289,267戸となり、平成13年度の制度開始後で過去最多です。また、新設住宅着工戸数に対する設計住宅性能評価書の交付割合は40.7%となり、10年連続で増加しました。
発表日 | 令和8年7月17日 |
対象年度 | 令和7年度 |
制度名 | 住宅性能表示制度 |
設計住宅性能評価書の交付戸数 | 289,267戸(対前年比3.7%増) |
新設住宅着工戸数に対する交付割合 | 40.7% |
建設住宅性能評価書(新築住宅)の交付戸数 | 198,584戸(対前年比3.9%増) |
建設住宅性能評価書(既存住宅)の交付戸数 | 139戸(対前年比19.2%減) |
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住宅性能表示制度は、品質を「会社ごとの説明」から「共通ルールの説明」へ移す仕組みです
住宅性能表示制度は、住宅の性能について、国が定める共通のルールに基づき、登録住宅性能評価機関が評価し、その性能を表示する制度です。
評価書には、設計段階の図書審査による「設計住宅性能評価書」、施工段階と完成段階の検査による「建設住宅性能評価書(新築住宅)」、既存住宅の現況検査による「建設住宅性能評価書(既存住宅)」があります。
今回のポイントは、設計住宅性能評価書の交付戸数が過去最多となり、新設住宅着工戸数に対する交付割合が40.7%まで上がったことです。住宅着工戸数は令和7年度で711,171戸とされています。その中で、設計段階から性能を客観的に示す住宅が増えている、という見方ができます。
中小工務店や住宅会社にとっては、単なる統計ではありません。住宅の品質を、感覚や実績だけでなく、第三者にも伝わる形で説明する流れが強まっていると捉えるべきです。
中小建設業が見るべきは「評価書を取るかどうか」だけではありません
今回の発表を読むときに大切なのは、住宅性能評価書の取得そのものだけを論点にしないことです。
もちろん、住宅を直接請け負う会社にとっては、自社の商品や顧客層に照らして、評価書の活用余地を検討する意味があります。ただ、それ以上に重要なのは、住宅市場で求められる説明水準が上がっているという構造です。
設計住宅性能評価書は、設計段階の図書審査による評価結果です。つまり、性能を示すには、設計図書や仕様の整理が前提になります。建設住宅性能評価書(新築住宅)は、施工段階と完成段階の検査による評価結果です。こちらは、施工中の管理や記録、検査対応の体制とも関係します。
この流れは、元請だけでなく、協力会社にも影響します。住宅会社が性能を説明しやすくするには、現場での施工品質、写真管理、仕様確認、是正対応などがそろっている必要があるためです。評価制度の利用拡大は、現場管理と書類管理の水準を底上げする圧力にもなります。
営業面では「安心」の言い方が変わっていきます
住宅の顧客は、価格だけでなく、長く住めるか、性能が十分か、施工が信頼できるかを見ています。ただし、こうした価値は目に見えにくいものです。
そのため、これまでは「地域で長くやっている」「大工の腕がよい」「紹介が多い」といった説明が大きな意味を持ってきました。これは今後も大切です。一方で、顧客にとって比較しやすい客観的な説明材料の重要性は、さらに高まっていくと考えられます。
設計住宅性能評価書の交付割合が40.7%まで上がったということは、住宅市場の中で、性能を制度に沿って示す住宅が珍しくなくなってきたということです。中小住宅会社は、大手と同じ土俵で広告費を競う必要はありません。しかし、自社の家づくりの良さを、顧客が理解しやすい言葉と資料に変換する力は必要になります。
「うちは丁寧にやっています」だけでは伝わりにくい場面が増えます。どの性能を重視しているのか。設計段階で何を確認しているのか。施工段階でどのような検査や記録を残しているのか。こうした説明を整えることが、営業力にもつながります。
実務では、設計・施工・営業を分けて考えないことが大切です
このニュースを自社に引き寄せるなら、まず確認したいのは次の3点です。
1つ目は、設計図書や仕様決定のプロセスが、後から説明できる形になっているかです。性能を示すには、設計段階で何を決め、どのように根拠を残すかが重要になります。
2つ目は、施工段階の品質確認が属人的になりすぎていないかです。建設住宅性能評価書(新築住宅)は、施工段階と完成段階の検査による評価結果です。評価書の取得有無にかかわらず、現場での確認項目、写真、是正履歴を整えることは、品質トラブルの予防にもつながります。
3つ目は、営業担当が性能や品質管理を説明できる状態になっているかです。制度や評価書は、設計部門だけの話ではありません。顧客に伝わってはじめて、会社の価値になります。
中小建設業では、日々の現場対応が優先され、こうした仕組みづくりが後回しになりがちです。ただ、今回の数字を見る限り、住宅性能を共通ルールで示す流れは一時的なものではなさそうです。品質をつくる力に加えて、品質を説明する力を整えることが、次の競争力になります。
まずは自社の「品質の見える化」を整理するところから
今回の発表は、すぐに全社で制度対応を急ぐべきという話ではありません。大切なのは、自社の住宅事業や協力先の方針に照らして、どこに影響があるかを落ち着いて整理することです。
特に、住宅を扱う会社であれば、設計時の説明資料、仕様書、現場検査、写真管理、引渡し時の説明内容を一度並べてみる価値があります。専門工事会社であっても、元請が求める品質記録や検査対応が今後どう変わるかを見ておくと、協力会社としての信頼づくりにつながります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。住宅性能表示制度そのものの活用だけでなく、「自社の品質をどう見える化するか」「営業・設計・施工管理をどうつなぐか」といった段階から一緒に整理できます。
何から整理すべきかわからない、うちの場合はどこまで対応を考えるべきか確認したい、という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、必要な論点を落ち着いて整理する場としてご活用ください。
































