国土交通省は、令和8年度「優良木造建築物等整備推進事業」の普及枠について、13件の採択プロジェクトを決定しました。募集期間は令和8年4月15日から5月26日まで。提案数14件のうち13件が採択されています。

発表内容

令和8年度「優良木造建築物等整備推進事業」普及枠の採択結果

採択件数

13件

提案数

14件

募集期間

令和8年4月15日から5月26日まで

対象枠

普及枠:炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築物の普及に資するプロジェクト

先導枠の結果

令和8年8月中旬頃に公表予定

2回目以降の募集

検討中。実施する場合は別途公表

今回の発表は、単なる採択結果に見えます。 ただ、中小建設業にとっては見逃しにくい内容です。

理由ははっきりしています。 国が、中大規模建築物の木造化を補助金で後押しし続けているからです。

共同住宅、事務所、福祉施設、診療所、店舗。 今回の採択案件にも、地域の建設会社が関わり得る用途が並んでいます。 「木造は戸建て中心」という見方から、少しずつ景色が変わっています。

1週間で 22件ダウンロード されました

  • 7月17日塗装工事会社栃木県
  • 7月17日リフォーム会社岩手県
  • 7月17日総合土木山形県
  • 7月17日電気設備工事会社愛知県
  • 7月16日外構工事会社東京都
  • 7月16日塗装工事会社大阪府
  • 7月16日内装工事会社群馬県
  • 7月16日総合建築岐阜県
  • 7月15日工務店東京都
  • 7月15日内装工事会社神奈川県
  • 7月15日塗装工事会社奈良県
  • 7月15日内装工事会社鳥取県
  • 7月14日配管工事会社高知県
  • 7月14日配管工事会社広島県
  • 7月14日防水工事会社神奈川県
  • 7月12日配管工事会社京都府
  • 7月12日ビルメンテナンス佐賀県
  • 7月12日リフォーム会社茨城県
  • 7月11日総合建築福島県
  • 7月11日総合土木大阪府
  • 7月11日造園会社愛知県
  • 7月11日外構工事会社茨城県
  • 7月10日電気設備工事会社京都府
  • 7月8日総合土木愛知県
  • 7月8日工務店山形県
  • 7月8日外構工事会社群馬県
  • 7月6日工務店兵庫県
  • 7月6日電気設備工事会社神奈川県
  • 7月6日防水工事会社東京都
  • 7月5日塗装工事会社神奈川県
中小建設業のための新規採用成功ガイド 資料ダウンロード

今回採択されたのは、共同住宅・福祉施設・事務所などの中大規模木造です

採択プロジェクトは13件です。 建設地は、宮城県仙台市、栃木県宇都宮市、東京都内、神奈川県小田原市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市などです。

用途を見ると、次のような案件が含まれています。

  • 店舗・共同住宅
  • 共同住宅
  • 事務所
  • 事務所・共同住宅
  • 有料老人ホーム
  • 児童養護施設
  • 診療所、日用品販売を主目的とする店舗

階数は地上3階から地上9階まであります。 延べ面積も、163.34㎡の小規模なものから、1,733.39㎡の施設まで幅があります。

補助限度額は案件ごとに示されています。 たとえば、16,082千円、23,235千円、37,819千円、45,096千円などです。

中大規模木造は、都市部の大きな会社だけの話ではなく、地域の共同住宅・福祉施設・店舗でも現実の選択肢になりつつあります。

ここは大事です。 今後、建築主からこんな相談が増えるかもしれません。

「木造で4階建ての共同住宅はできるのか」 「福祉施設を木造化したら補助金は使えるのか」 「ZEBやZEH水準も絡むなら、設計段階から誰に相談すればいいのか」

そのときに、施工会社側が制度の輪郭を知っているかどうか。 これが受注機会の差になる可能性があります。

補助対象の考え方は「木造化の掛増し費用」をどう見るかです

別紙では、事業の概要も示されています。

普及枠の補助率・補助上限額は次のとおりです。

区分

内容

調査設計費

木造化に関する費用の1/2以内

建設工事費

木造化による掛増し費用の1/3以内、または建設工事費の7%以内

補助上限額

2億円

令和8年度予算

住宅・建築物カーボンニュートラル総合推進事業308.60億円の内数

先導枠については、補助率・上限が別に示されています。

区分

内容

調査設計費

木造化に関する費用の1/2以内

建設工事費

木造化による掛増し費用の1/2以内、または建設工事費の10%以内

補助上限額

3億円

主な要件

防火・構造等に関して先導性を有すること等。普及枠の補助要件を満たすこと

中小建設業が見るべきポイントは、ここです。 補助金は「木造にすれば何でも出る」ものではなく、木造化に伴う費用や要件を整理して申請する仕組みです。

つまり、早い段階での準備が必要です。 概算見積が固まってから考えるのでは、間に合わない場面もあり得ます。

建築主、設計者、施工者、木材供給者。 それぞれの役割を早めに組み立てる必要があります。 「うちは施工だけだから関係ない」と切り離すより、制度を知った施工会社として設計初期から会話に入るほうが、案件づくりには向いています。

要件には、ZEH・ZEB水準、普及啓発、再造林・再利用も含まれます

普及枠の補助要件として、別紙では次の内容が示されています。

  • 主要構造部に木材を一定以上使用すること
  • 一定規模以上であること
  • 建築基準法上、耐火構造または準耐火構造が求められるものに限ること
  • 共同住宅・事務所は階数4以上
  • 非住宅、事務所を除くものは階数3以上または延べ面積3,000㎡超
  • 不特定の者または特定多数の者の利用に供する用途であること
  • ZEH・ZEB水準に適合すること
  • 木造建築物の普及啓発に関する取組がなされること
  • 再造林または再利用等に資する取組がなされること
  • 大規模建築物、2,000㎡以上の新築の場合、LCCO2評価を実施し、評価結果を国に報告すること
  • 「中大木造建築物の構造設計アドバイザー」の登録に加え、設計・施工に関する技術的支援等に協力すること等

ここから見えるのは、木造化は構造だけの話ではなく、環境性能・情報発信・木材循環まで含めた事業設計になっているということです。

現場の感覚で言えば、少し面倒に見えるかもしれません。 「施工だけでも大変なのに、普及啓発や再造林まで見るのか」と感じる方もいると思います。

ただ、これは逆にチャンスでもあります。 補助事業に慣れていない建築主ほど、こうした要件の全体像をつかみにくいからです。

施工会社が、すべてを自社で抱える必要はありません。 でも、要件の入口を知っているだけで会話が変わります。

「設計者と早めに確認しましょう」 「木材供給の体制もセットで考えたほうがよさそうです」 「ZEH・ZEB水準が要件に入るので、設備側も早めに見ましょう」

こう言える会社は、建築主から見て頼りになります。

中小工務店などの連携も、優先採択の観点に入っています

別紙では、優先採択に関する記載もあります。

建築主、設計者、施工者、建材流通事業者、製材・集成材製造事業者、原木供給者、金融機関などの関係事業者が連携し、継続的な中大規模木造建築物の供給・普及に資する取組を実施する提案者によるプロジェクト等が挙げられています。

ここには、明確に「施工者(中小工務店など)」という表現が入っています。

中小工務店や地域建設会社も、中大規模木造の供給体制をつくる一員として期待されています。

これは、かなり実務的なメッセージです。 補助金申請の世界では、単独で完結するより、連携体制を示すことが重要になる場面があります。

たとえば、地域の建設会社が考えたいのは次のような点です。

  • 中大規模木造に詳しい設計者と接点があるか
  • 木材調達について相談できる流通・製材側の相手がいるか
  • 耐火・準耐火、構造、施工計画を早期に検討できるか
  • 建築主に補助制度の可能性を説明できるか
  • 金融機関を含めた事業計画の話ができるか

全部を一気に整える必要はありません。 ただ、次の募集が出てから相手を探すより、今のうちに候補先を持っておくほうが動きやすいです。

今回は採択結果。次に見るべきは先導枠と2回目募集です

今回公表されたのは、普及枠の採択結果です。 同時に募集された先導枠の採択結果は、令和8年8月中旬頃に公表予定とされています。

また、2回目以降の募集は検討中です。 募集を行う場合は別途知らせる、とされています。

つまり、現時点で確定している次の注目点は2つです。

1つ目は、8月中旬頃に予定されている先導枠の採択結果です。 どのような防火・構造上の先導性が評価されるのか。 ここは、今後の木造化技術の方向を見る材料になります。

2つ目は、2回目以降の募集が行われるかどうかです。 もし募集が出るなら、対象案件を持つ会社にとっては準備期間が重要になります。

中小建設業としては、すぐに申請する案件がなくても、今回の採択一覧を眺める価値があります。

「どんな用途が採択されているか」 「どのくらいの規模感か」 「補助限度額はどの程度か」 「共同住宅や福祉施設で使われているか」

このあたりを見るだけでも、自社の営業エリアで提案できる案件の輪郭が見えてきます。

自社で考えるなら、まずは案件の入口を整理したいところです

今回のニュースから、中小建設業がすぐに確認したいのは、制度の細かい読み込みよりも先に、案件の入口です。

たとえば、次のような問いです。

  • 自社の周辺に、3階以上・4階以上の木造化を検討できそうな建築主はいるか
  • 福祉施設、共同住宅、店舗、事務所で相談が来ていないか
  • 木造化に関心のある設計者と組めるか
  • ZEH・ZEB水準に対応できる設備・設計体制があるか
  • 木材調達の相談先があるか
  • 補助金を前提にしたスケジュール管理ができるか

ここを整理しておくと、次の募集が出たときに動きやすくなります。

補助金は、知ってから動く会社より、案件の芽を持って待っている会社のほうが使いやすい制度です。

もちろん、すべての会社が中大規模木造に進む必要はありません。 ただ、地域の建築主から相談が来たときに、まったく知らない状態ではもったいないです。

「できます」と言い切れなくても構いません。 「確認してみましょう」と言える準備が、次の受注の入口になります。

木造化案件を自社の機会にできるか、一度整理してみる

中大規模木造は、構造、施工、木材調達、環境性能、補助金、事業計画が重なります。 現場だけでも、申請だけでも、営業だけでも完結しにくいテーマです。

だからこそ、自社だけで抱え込まずに、早めに論点を分けておくことが大切です。 「うちの規模で関われるのか」 「設計者や木材会社とどう組めばよいのか」 「補助金を使うなら、どの段階から準備すべきか」

こうした整理からで十分です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ進むための伴走を大切にしています。

今回のような制度を見て、「自社への影響を整理したい」「案件化できそうか壁打ちしたい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な論点を一緒に落ち着いて整理できればと思います。

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