国土交通省は、令和8年度「優良木造建築物等整備推進事業」のうち、木造化に係る先導的な設計・施工技術が導入される「先導枠」について、2件のプロジェクトを採択したと発表しました。募集期間は令和8年4月15日から5月26日までで、提案数は2件、採択数も2件です。なお、同時に募集された「普及枠」の採択結果は7月17日に発表済みで、2回目以降の募集は現時点では検討中とされています。
発表内容 | 令和8年度「優良木造建築物等整備推進事業」先導枠の採択プロジェクト決定 |
採択件数 | 2件 |
提案数 | 2件 |
募集期間 | 令和8年4月15日から5月26日まで |
採択枠 | 先導枠:木造化に係る先導的な設計・施工技術が導入されるプロジェクト |
採択プロジェクト | 鹿島東北支店ビル新築工事、(仮称)木挽ビルホテル計画 |
今後の募集 | 2回目以降の募集は検討中。募集する場合は別途公表 |
今回の発表は、単なる採択結果に見えるかもしれません。しかし中小建設業にとっては、「中大規模木造」が今後どのような技術・体制・説明責任を求められるのかを読む材料になります。
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- 8月24日電気設備工事会社岐阜県人材育成の相談
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- 8月21日工務店山口県高卒採用の相談
- 8月19日塗装工事会社兵庫県人材確保の相談
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- 8月18日電気設備工事会社京都府原価管理の相談
- 8月18日工務店東京都業務効率化システムの相談
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- 8月15日工務店宮城県案件獲得の相談
- 8月15日リフォーム会社群馬県協力会社探しの相談
- 8月14日電気設備工事会社愛媛県業務効率化システムの相談
- 8月13日防水工事会社三重県協力会社探しの相談
- 8月12日総合土木広島県人材育成の相談
- 8月12日プラント工事会社大阪府協力会社探しの相談
今回採択されたのは、9階建て事務所と12階建てホテルです
採択された2件はいずれも、一般的な木造住宅とはまったく異なる領域のプロジェクトです。
プロジェクト名 | 提案者 | 建設地 | 用途 | 階数 | 延べ面積 | 補助限度額 |
|---|---|---|---|---|---|---|
鹿島東北支店ビル新築工事 | 鹿島建設株式会社 | 宮城県仙台市 | 事務所 | 地上9階・地下1階 | 8,889.26㎡ | 300,000千円 |
(仮称)木挽ビルホテル計画 | 日鉄興和不動産株式会社 | 東京都中央区 | ホテル・飲食店・自動車車庫 | 地上12階・地下1階 | 9,742.82㎡ | 300,000千円 |
鹿島東北支店ビル新築工事は、外側のコア部分をS造、内側の事務室エリアを木造とする混構造の計画です。木造部分で長期荷重を負担し、S造部分で地震力を負担する構成に加え、欄間制震システムを木造部分に設置して揺れを低減する点などが評価されています。
木挽ビルホテル計画は、都心の細長い敷地に建つ事務所ビルを、S造・RC造・木構造の混構造による地上12階・地下1階の滞在型ホテルへ建て替える計画です。CLT耐震壁、木造フレーム、木製ブレース、耐火部材などを組み合わせる計画が示されています。
ここで大切なのは、国が支援する中大規模木造は「木を使えばよい」という段階ではなく、構造、防耐火、耐久性、施工性、維持管理まで含めた総合技術として評価されているという点です。
補助事業の要件から見える「これからの木造化」の方向性
別紙では、優良木造建築物等整備推進事業の概要も示されています。
主な補助要件として、次のような内容が挙げられています。
- 主要構造部に木材を一定以上使用すること
- 一定規模以上であること
- 建築基準法上、耐火構造または準耐火構造が求められる建築物であること
- 不特定の者または特定多数の者の利用に供する用途であること
- ZEH・ZEB水準に適合すること
- 木造建築物の普及啓発に関する取組がなされること
- 再造林または再利用等に資する取組がなされること
- 大規模建築物、2,000㎡以上の新築の場合、LCCO2評価を実施し、評価結果を国に報告すること
- 「中大木造建築物の構造設計アドバイザー」の登録に加え、設計・施工に関する技術的支援等に協力すること
先導枠では、これらに加えて、防火・構造等に関して先導性を有することが求められ、有識者委員会により先導性が評価されます。
補助率・補助上限については、先導枠では、調査設計費は木造化に関する費用の2分の1以内、建設工事費は木造化による掛増し費用の2分の1以内または建設工事費の10%以内、補助上限額は3億円とされています。
一方、普及枠では、調査設計費は木造化に関する費用の2分の1以内、建設工事費は木造化による掛増し費用の3分の1以内または建設工事費の7%以内、補助上限額は2億円とされています。
この制度設計から読めるのは、木造化は環境政策であると同時に、設計・施工・材料供給・維持管理を含む産業政策になっているということです。
中小建設業が見るべきポイントは「採択された会社名」ではありません
今回の採択プロジェクトの提案者は大手企業です。そのため、「うちには関係ない」と感じる経営者もいると思います。
ただ、そこで止めるのは少しもったいないです。
中小建設業が見るべきなのは、採択された企業名ではなく、採択理由の中でどのような技術や体制が評価されているかです。
たとえば、今回の講評では次のような視点が出ています。
- 混構造による構造計画
- 制震システムの導入
- 耐火性能検証法や避難安全検証法の活用
- 木造と鉄骨造の接続部における耐火上の工夫
- 屋外使用木材の耐久性確認
- 取り外し・交換が可能な納まり
- 水浸入を検知するモニタリング
- 養生手間や養生資材費の削減
- CLT耐震壁や木製ブレースの活用
- 地域産材のグレーディングと集成材への活用
これは、将来的に中小企業が元請として大型案件に応募するかどうかだけの話ではありません。専門工事会社、工務店、木材加工会社、建材流通会社、設計協力会社として、どの領域で選ばれる会社になるかという話です。
今後、中大規模木造が広がるほど、現場では「木を扱える」だけでは足りなくなります。耐火、遮音、接合部、養生、雨掛かり、交換可能性、施工精度、工程管理まで含めて、発注者や設計者に説明できる会社が強くなります。
制度上も「中小工務店などを含む連携」が意識されています
別紙では、普及枠の優先採択の考え方として、建築主、設計者、施工者、建材流通事業者、製材・集成材製造事業者、原木供給者、金融機関などの関係事業者の連携により、継続的な中大規模木造建築物の供給・普及に資する取組を行う提案者によるプロジェクト等が示されています。
この中には、施工者として「中小工務店など」も明記されています。
ここはかなり重要です。中大規模木造は、単独の会社だけで完結しにくい分野です。構造設計、防耐火、木材調達、加工、施工、品質管理、維持管理まで、複数の会社が役割を分けて進める必要があります。
だからこそ、中小建設業にとっては、次のような準備が現実的です。
- 自社が木造化案件で担える範囲を整理する
- 木材調達、加工、建材流通の協力先を確認する
- 設計者や構造設計者との接点を増やす
- 耐火・準耐火、ZEB水準、LCCO2評価などの言葉に慣れておく
- 公共・民間を問わず、木造化や脱炭素を重視する発注者の動きを見ておく
特に地域の工務店や専門工事会社にとっては、「大規模木造を全部できる会社」になる必要はありません。まずは、連携体制の中で任せてもらえる得意領域を明確にすることが大切です。
2回目以降の募集は検討中。今は「次の公募に備える期間」です
今回の発表では、2回目以降の募集については「検討中」とされています。募集が行われる場合は、別途お知らせされるとのことです。
つまり、現時点で次の公募が確定しているわけではありません。ただし、制度の方向性は明確です。2050年カーボンニュートラルに向けて、炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築物の普及を支援する流れは続いています。
中小建設業としては、次の公募を待つだけではなく、今のうちに次の3点を確認しておくとよいです。
- 自社の施工実績や技術を、木造化・省エネ・脱炭素の文脈で説明できるか
- 設計者、木材供給者、加工会社、金融機関などと組める関係があるか
- 補助金を使う案件で求められる記録・報告・品質管理に対応できるか
補助事業は、採択されること自体が目的ではありません。採択後に、設計、施工、報告、検査、維持管理まで進める体制が必要になります。
だからこそ、補助金情報は「もらえるお金」ではなく、「これから発注者が重視する条件」を知る材料として読むのがよいと思います。
自社にとっての木造化・脱炭素対応を整理するために
中大規模木造や脱炭素対応は、制度の言葉だけを見ると少し遠く感じます。ただ、実務に落とすと、協力会社づくり、見積の組み方、施工管理、品質記録、人材育成、原価管理、デジタル活用といった、日々の経営課題とつながっています。
「うちの場合は、木造化案件にどう関われるのか」「補助金を使う案件で、どこまで体制を整えるべきか」「設計者や元請に何を示せれば選ばれやすいのか」。そのような整理から始めるだけでも、次の一手は見えやすくなります。
ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して、経営課題の整理と実行を支援しています。木造化や脱炭素対応についても、まずは「自社に関係があるのか」「何から整理すべきか」という段階で十分です。無理な営業はいたしませんので、壁打ち先が必要なときは、自然な情報交換としてご相談ください。

































