国土交通省は、令和8年度第1四半期に元請けとして受注された建築物リフォーム・リニューアル工事の調査結果を公表しました。建設業許可業者5,000者を対象にした調査で、受注高の合計は5兆427億円、前年同期比22.8%増となりました。
特に目立つのは、非住宅建築物に係る工事が3兆9,619億円、前年同期比34.9%増と大きく伸びている点です。一方で、住宅に係る工事は1兆807億円、前年同期比7.6%減となっており、リフォーム・リニューアル市場の中でも、住宅と非住宅でかなり違う動きが出ています。
公表内容 | 建築物リフォーム・リニューアル調査報告(令和8年度第1四半期受注分) |
公表日 | 令和8年9月10日 |
調査対象 | 建設業許可業者5,000者 |
対象工事 | 令和8年度第1四半期に元請けとして受注した建築物リフォーム・リニューアル工事 |
受注高合計 | 5兆427億円(前年同期比22.8%増) |
住宅 | 1兆807億円(前年同期比7.6%減) |
非住宅建築物 | 3兆9,619億円(前年同期比34.9%増) |
1週間で 21件の相談 がありました
- 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
- 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
- 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
- 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
- 9月2日プラント工事会社群馬県人材確保の相談
- 8月31日内装工事会社茨城県利益率向上の相談
- 8月31日総合建築大分県業務効率化システムの相談
- 8月31日空調設備工事会社埼玉県高卒採用の相談
まず押さえたいのは「非住宅改修が強い」という市場の向きです
今回の数字で最も重要なのは、単にリフォーム市場全体が伸びたという話ではありません。伸びの中心が非住宅建築物にあるという点です。
非住宅建築物の受注高は、前年同期比で34.9%増です。工事種類別に見ると、非住宅では次のような動きが出ています。
非住宅建築物の工事種類 | 受注高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
増築工事 | 2,399億円 | 148.3%増 |
一部改築工事 | 748億円 | 38.8%増 |
改装・改修工事、維持・修理工事 | 3兆6,472億円 | 30.9%増 |
もちろん、増築工事の伸び率は大きく見えますが、金額の中心はやはり改装・改修、維持・修理工事です。既存建物を使い続けながら、設備を更新し、機能を上げ、事業活動を止めずに改修していく需要が厚くなっていると読めます。
中小建設業にとっては、ここが大事です。新築だけを追うのではなく、既存建物を持つ民間企業、工場、事務所、店舗、医療・福祉系施設などとの継続的な関係づくりが、今後さらに重要になります。
「大きな新築案件を一発で取る」よりも、「毎年どこかを直す、更新する、改善する」という取引先をどれだけ持てるか。そこに経営の安定性が出やすくなります。
住宅は減少、ただし一戸建て木造は底堅い動きもあります
住宅に係る工事の受注高は1兆807億円、前年同期比7.6%減でした。工事種類別では、住宅の中心である改装・改修工事が8,052億円、前年同期比9.7%減、維持・修理工事が2,280億円、同1.2%減となっています。
住宅の工事種類 | 受注高 | 前年同期比 |
|---|---|---|
増築工事 | 57億円 | 33.2%減 |
一部改築工事 | 419億円 | 8.5%増 |
改装・改修工事 | 8,052億円 | 9.7%減 |
維持・修理工事 | 2,280億円 | 1.2%減 |
一方で、用途・構造別に見ると、住宅では木造の一戸建住宅が5,582億円、前年同期比1.5%増となっています。住宅全体は減っていても、木造一戸建ての改修需要は大きく崩れていないように見えます。
住宅リフォームを主戦場にしている会社にとっては、市場全体の減少をそのまま悲観するより、どの顧客層・どの建物種別に需要が残っているかを見ることが大切です。
たとえば、個人発注の住宅工事は7,327億円、前年同期比0.7%減で、ほぼ横ばいに近い動きです。一方、管理組合発注は1,476億円、同36.2%減となっています。住宅という大きな括りではなく、個人住宅、共同住宅、管理組合案件を分けて見る必要があります。
設備系・省エネ系の需要は、見逃してはいけません
今回の調査で、中小建設業が特に注目したいのが設備関連です。
非住宅建築物の業種別受注高では、「電気,機械器具設置工事業」が9,878億円、前年同期比37.4%増となっています。また、非住宅の工事部位別受注件数では、電気設備が277,639件、前年同期比8.6%増、給水給湯排水衛生器具設備が195,733件、同34.9%増となっています。
工事目的別でも、非住宅建築物では次の動きがあります。
非住宅建築物の工事目的 | 受注件数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
劣化や壊れた部位の更新・修繕 | 966,560件 | 27.6%増 |
省エネルギー対策 | 105,736件 | 78.2%増 |
ここから読めるのは、「壊れたから直す」需要に加えて、「エネルギーコストや設備効率を意識して先に手を入れる」需要が強くなっているということです。
電気、空調、衛生、給排水、中央監視、防災関連などは、建物を使い続ける限り避けられない領域です。さらに省エネ対策が絡むと、単なる修繕ではなく、提案型の仕事になりやすい。
中小建設会社にとっては、元請・下請の立場を問わず、設備会社との連携力が営業力そのものになっていく可能性があります。建築会社であれば、設備協力会社との関係を深める。設備会社であれば、建築・内装・外装側と組んで、建物全体の改修提案に入れる体制をつくる。こうした動きが、受注機会を広げます。
民間企業の非住宅改修が伸びている意味
発注者別に見ると、非住宅建築物では民間企業等が3兆1,390億円、前年同期比40.4%増です。公共も7,105億円、同15.9%増と伸びていますが、金額・伸び率ともに民間企業等の存在感が大きくなっています。
これは、中小建設業の経営にとって重要です。公共工事だけでなく、民間企業の保有建物・事業用建物に対する改修需要をどう取り込むかが、今後の売上構成を左右します。
非住宅の用途別では、コンクリート系構造の事務所が6,273億円、前年同期比60.4%増、鉄骨造の生産施設、つまり工場・作業場が5,518億円、同17.5%増となっています。
事務所や工場は、建物を止められません。工事をするにも、営業日、操業時間、従業員動線、安全区画、騒音、粉じん、仮設、搬入時間など、現場調整が重要になります。だからこそ、「工事ができる」だけでなく、「使いながら直せる」「事業を止めずに進められる」会社に価値が出ます。
これは大手だけの話ではありません。むしろ地域の中小建設会社こそ、近隣対応や細かな日程調整、現場の融通、発注者との距離の近さを武器にできます。
自社で見るべき数字は「市場全体」より「自社の勝ち筋」です
今回の統計は、全国の推計値です。調査報告にも、復元集計値であり、受注件数・受注高の少ない区分では誤差が大きくなる場合があるとされています。そのため、数字をそのまま自社の地域や業種に当てはめるのは慎重であるべきです。
ただし、経営判断の材料としては十分に使えます。見るべきポイントは、次の4つです。
1つ目は、住宅中心の会社は、個人住宅・共同住宅・管理組合案件を分けて受注状況を見ることです。住宅全体が減っているからといって、すべての需要が弱いわけではありません。
2つ目は、非住宅に関わる会社は、既存顧客の建物台帳や設備更新時期を把握することです。工場、倉庫、事務所、店舗は、更新・修繕・省エネの相談が継続的に出やすい領域です。
3つ目は、設備系の協力会社体制を早めに整えることです。電気、空調、給排水、衛生、防災関連の需要が強いとき、協力会社が確保できないと受注しても現場が回りません。
4つ目は、見積と原価管理を粗くしないことです。改修工事は、開けてみないと分からない部分があります。既存建物の制約、夜間・休日作業、養生、仮設、搬入、追加対応を甘く見ると、売上は増えても利益が残りません。
市場が伸びている局面ほど、受注したくなります。ですが、ここで大事なのは、何でも取りに行くことではありません。自社が利益を出せる工事、信頼を積み上げられる発注者、次につながる現場を選ぶことです。
これからの改修市場では「相談される会社」が強くなります
リフォーム・リニューアル工事は、単発の工事に見えて、実は発注者との関係性が積み上がる仕事です。
「そろそろ空調が古い」 「電気代が高くなってきた」 「雨漏りが気になる」 「工場を止めずに直したい」 「補修だけでなく、使いやすくしたい」
こうした相談は、ある日突然、見積依頼として出てくるものではありません。日頃から顔を出し、建物の状態を見て、発注者が困る前に声をかけられる会社に集まります。
今回の統計が示しているのは、改修市場が「修理対応」から「建物を使い続けるための経営支援」に近づいているという流れです。省エネ、老朽化対応、設備更新、操業継続、安全性向上。これらはすべて、発注者にとって経営課題です。
中小建設業にとっては、ここに大きな余地があります。地域の建物を知っている。発注者の事情を知っている。現場の制約を分かっている。その強みを、単なる施工力ではなく、継続的に相談される関係づくりに変えていくことが、これからの改修市場で効いてきます。
自社の改修需要の取り込み方を整理するなら
今回のような市場統計は、眺めるだけでは少しもったいない情報です。自社の売上構成、得意な工事、協力会社体制、既存顧客、見積精度と照らし合わせることで、「うちはどの改修需要を取りに行くべきか」が見えやすくなります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。改修市場に向けた営業先の整理、設備会社との連携、見積・利益管理の見直しなど、「何から考えるべきか分からない」という段階でも大丈夫です。
無理な営業はいたしません。今回の数字を見て、自社の場合はどう読むべきかを整理したい方は、次の一歩の壁打ち先としてご活用ください。





























