国土交通省は、令和7年度「不動産証券化の実態調査」の結果を公表しました。令和7年度末時点で、不動産証券化の対象となっている不動産または信託受益権の資産総額は、約73.4兆円でした。

公表日

令和8年9月11日

調査名

令和7年度「不動産証券化の実態調査」

証券化対象不動産の資産総額

約73.4兆円

うちリート等に係る資産総額

約33.9兆円

令和7年度の取得額

約2.8兆円

令和7年度の譲渡額

約1.1兆円

取得額の主な用途

オフィス24.1%、宿泊施設20.5%、住宅18.7%

開発型証券化の実績

166件、約2,212億円

このニュースは、建設会社に直接「明日から手続きが必要です」という種類のものではありません。ただし、民間工事を取っていく会社にとってはかなり大事です。なぜなら、不動産証券化は、民間の建築・改修・開発案件を動かす資金の流れそのものだからです。

公共工事の発注見通しを見るように、民間工事では「どの用途にお金が向かっているか」「どの地域で物件取得が多いか」「開発資金がどの程度動いているか」を見る必要があります。今回の調査は、そのための材料になります。

1週間で 21件の相談 がありました

  • 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
  • 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
  • 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
  • 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
  • 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
  • 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
  • 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
  • 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
  • 9月8日工務店広島県人材確保の相談
  • 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
  • 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
  • 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
  • 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
  • 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
  • 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
  • 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
  • 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
  • 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
  • 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
  • 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
  • 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
  • 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
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まず押さえたいのは、市場が長期で拡大していることです

証券化対象不動産の資産総額は、平成27年の約29.9兆円から、令和7年には約73.4兆円まで拡大しています。

これは、単に投資家向けの金融商品の話ではありません。建設業から見ると、不動産を保有し、運用し、売買し、価値を高めるプレイヤーが大きくなっているということです。

リート、不動産特定共同事業、私募ファンドなどが不動産を取得すれば、その後には修繕、改修、用途転換、設備更新、テナント対応、場合によっては建替えや開発が発生します。もちろん、すべてがすぐ工事になるわけではありません。それでも、資金が入る場所には、時間差で工事需要が生まれやすくなります。

中小建設業にとって重要なのは、ここです。「誰が発注者になるか」が変わりつつあるということです。

従来のように、地元の地主、一般企業、個人オーナー、行政だけを見ていればよい時代ではありません。ファンド、リート、不動産特定共同事業者、アセットマネジメント会社、プロパティマネジメント会社などが、工事発注の入口に立つ場面が増えていきます。

用途別では、オフィス・宿泊施設・住宅が上位です

令和7年度にリートおよび不動産特定共同事業で取得された資産を用途別に見ると、割合は次の順でした。

  • オフィス:24.1%
  • 宿泊施設:20.5%
  • 住宅:18.7%

ここから読み取れるのは、民間不動産の資金が、まだオフィスだけに偏っているわけではないということです。宿泊施設、住宅にも大きく向かっています。

建設会社の目線では、以下のような見方ができます。

  • オフィス関連では、原状回復、テナント入替、設備更新、省エネ改修などの需要が出やすい
  • 宿泊施設では、改装、増改築、設備更新、内装、外構、給排水・空調などの周辺工事が関係しやすい
  • 住宅では、賃貸住宅、共同住宅、リノベーション、長期保有を前提にした修繕計画などが関係しやすい

もちろん、今回の資料だけで個別地域の案件発生を断定することはできません。ただ、自社が得意とする工種と、資金が向かっている用途を重ねて見ることはできます。

たとえば、内装・設備・防水・外壁・電気・管工事を得意とする会社であれば、宿泊施設や住宅の取得動向は見ておく価値があります。元請の建築会社であれば、開発案件だけでなく、取得後の改修・バリューアップ工事も営業対象になり得ます。

地域別では東京が多い一方、「その他の府県」も大きいです

令和7年度に取得された資産を所在地別の件数で見ると、東京都523件、大阪府114件、神奈川県108件、千葉県81件の順でした。

東京都の割合は33%です。大きい数字です。一方で、資料では「その他の府県」も33%となっています。

ここは、中小建設業にとって見逃せません。不動産証券化の動きは大都市だけの話に見えますが、実際には地方側にも一定の広がりがあります。

特に地方の建設会社にとっては、「自分たちの地域には関係ない」と切り捨てるより、次のように見たほうが実務に近いです。

  • 地元でファンドやリートが保有している物件はないか
  • 宿泊施設、物流施設、賃貸住宅、商業施設で所有者が変わっていないか
  • 物件管理会社やPM会社が変わっていないか
  • 取得後に改修や設備更新の計画が出ていないか

民間工事の営業では、発注者名だけを見ていると入口を見落とします。所有者、運用者、管理者、テナントの関係を追うことが、これからの営業力になります。

開発型証券化は166件、約2,212億円です

今回の調査では、不動産特定共同事業における「開発型証券化」の実績も示されています。令和7年度は166件、約2,212億円でした。

開発型証券化とは、不動産の開発資金を証券化により調達するものです。建設業にとっては、より直接的に工事需要とつながりやすい領域です。

ただし、ここで大事なのは「開発型証券化が増えたから、すぐに自社へ仕事が来る」と考えないことです。むしろ、考えるべきは逆です。

証券化された開発案件では、工程、予算、リスク管理、説明資料、契約管理がより厳しく見られる可能性があります。

資金の出し手が増えるほど、工事会社側にも説明責任が求められます。見積の根拠、追加変更の整理、工程遅延の理由、安全管理、品質記録、写真管理、出来高管理。こうした基本の精度が、民間工事の中でもより重要になっていきます。

「腕はいいが、書類は弱い」では通りにくい案件が増えるかもしれません。これは厳しい話に聞こえますが、前向きに見れば、現場力に加えて管理力を磨いた中小建設会社には、選ばれる余地が広がるということです。

一般投資家向け商品の情報開示も厚くなっています

今回の発表では、一般投資家向けの不動産投資商品の概況についても、公表項目が充実されています。

背景には、「一般投資家の参加拡大を踏まえた不動産特定共同事業のあり方についての中間整理」があります。また、令和8年8月に改正された不動産特定共同事業法施行規則では、契約成立前の説明事項として、想定利回りの根拠や、対象不動産の価格を妥当と判断する根拠などが追加されています。

建設会社に直接の手続きが発生する内容ではありません。ただし、ここにも流れがあります。

不動産投資の世界では、透明性や説明責任がより重視される方向に進んでいます。

その流れは、最終的に工事会社にも届きます。なぜその金額なのか。なぜその工期なのか。なぜその仕様なのか。なぜ追加費用が必要なのか。これらを、感覚ではなく資料で説明できる会社が強くなります。

中小建設業が見るべき実務ポイント

今回の調査を、自社経営に落とし込むなら、見るべきポイントは大きく4つです。

1つ目は、民間工事の営業先を「施主」だけでなく「不動産を運用する会社」まで広げることです。ファンド、リート、不動産特定共同事業者、AM会社、PM会社、ビル管理会社など、発注の入口は複数あります。

2つ目は、自社の得意工種と、資金が向かっている用途を照らし合わせることです。オフィス、宿泊施設、住宅のどこに強いのか。新築なのか、改修なのか、設備なのか、維持管理なのか。ここを言語化できると、営業の精度が上がります。

3つ目は、見積・工程・変更管理の型を整えることです。投資資金が入った案件ほど、説明できる管理体制が重要になります。Excelでもシステムでも構いません。まずは、見積根拠、原価、変更、写真、工程を社内で追える状態にすることです。

4つ目は、地域の不動産所有者の変化を見ることです。登記情報、物件ニュース、管理会社の変更、テナント入替、ホテルや賃貸住宅の取得情報などは、民間工事の予兆になることがあります。

今回の発表は、派手な制度改正ではありません。しかし、建設業経営としては重要です。公共工事の発注情報を見る力に加えて、民間不動産の資金の流れを見る力が、これからの受注力を左右します。

自社の民間工事戦略を整理するきっかけに

不動産証券化の市場拡大は、建設会社にとって遠い金融の話ではなく、民間工事の発注構造が変わっていくサインでもあります。

「うちはどの用途に強いのか」「ファンドやPM会社向けの営業資料はあるか」「見積や変更管理をどこまで説明できるか」。このあたりを一度整理しておくと、次の動きが見えやすくなります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、建設企業の持続的成長を支援する立場で、民間工事の営業戦略や原価管理の見直しも一緒に考えます。

「うちの場合は何から見ればよいか」「今の営業先でよいのか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する壁打ち先として、必要なときにご相談ください。

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