国土交通省は令和8年9月11日、「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されたと発表しました。今回の改正は、建築物の安全性を確保しながら、住宅の円滑な供給や新たな設備の導入を進めやすくするため、型式適合認定制度、採光規制、防火・避難規制、用途地域における危険物の総量規制を見直すものです。
政令名 | 建築基準法施行令の一部を改正する政令 |
閣議決定日 | 令和8年9月11日 |
公布予定 | 令和8年9月16日 |
施行日 | 令和8年11月1日 |
主な改正内容 | 型式適合認定の類型追加、採光規制の対象合理化、防火・避難規制の対象合理化、用途地域における危険物総量規制の合理化 |
注意点 | 具体的な基準は別途告示で規定されるものがあります |
今回の改正は、単に「規制が緩くなる」という話ではありません。むしろ、安全性を前提にしながら、確認申請や設計判断の選択肢を増やす改正と捉えるのが実務的です。
住宅、児童福祉施設等、防火・避難規制が関わる建築物、ガスを燃料として使用する設備を導入する建築物などに関わる会社は、今後の案件で確認すべきポイントが出てきます。
1週間で 21件の相談 がありました
- 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
- 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
- 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
- 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
- 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
- 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
- 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
今回の改正で押さえたい4つのポイント
今回の改正内容は大きく4つです。
1つ目は、型式適合認定の類型に「建築物の構造耐力に係る規定の適合についての型式」が追加されることです。
現行の型式適合認定は、建築物全体、建築物全体から建築設備を除いたもの、建築設備が類型として示されています。今回、建築資材の調達が困難になった場合などに、構造耐力に係る規定について型式適合認定による審査省略を受けつつ、調達が困難になった建築資材については個別に確認審査を受ける、といった柔軟な対応を可能にするための見直しが行われます。
2つ目は、採光規制の対象となる児童福祉施設等から、一部を除外できるようにする合理化です。
対象から除外されるのは、「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるもの」とされています。具体的な基準は別途告示で定められます。
3つ目は、防火上・避難上の規制の対象について、一定の建築物を除外する合理化です。
建築基準法施行令第109条の2の2や第112条第1項、第4項、第5項、第11項などの規制について、構造、用途、周囲の状況を考慮して、防火上または避難上・防火上支障がないものとして国土交通大臣が定めるものを対象から除外する内容です。こちらも、具体的な基準は別途告示で規定されます。
4つ目は、用途地域における危険物の総量規制の合理化です。
圧縮ガスまたは可燃性ガスを燃料として使用する設備等で、安全上・防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する設備により貯蔵または処理される圧縮ガス・可燃性ガスについては、建築基準法の用途規制における危険物から除外されます。
中小建設業にとっての実務影響は「設計・確認・提案」の3つです
今回の改正は、現場の施工手順を直接変えるというより、設計段階、確認申請段階、施主への提案段階に影響が出やすい改正です。
特に住宅を扱う会社にとっては、型式適合認定の拡充が重要です。近年は資材調達の遅れや仕様変更が、工期や原価に影響する場面が少なくありません。今回の改正は、建築資材の調達が困難になった場合に、構造耐力に関する審査省略の枠組みを活かしながら、問題となる建築資材について個別に確認審査を受けることを想定しています。
つまり、標準化された住宅、規格型住宅、一定の型式を活用する住宅供給では、資材変更時の確認プロセスに選択肢が増える可能性があります。
ただし、ここで大切なのは「何でも自由に変えられる」という意味ではないことです。調達困難になった建築資材については、個々に確認の審査を受けることが前提として説明されています。実務では、設計者、審査機関、メーカー、元請・協力会社の間で、どの範囲が型式の範囲で、どこから個別審査になるのかを早めに確認する必要があります。
採光・防火・避難規制は、告示の確認が実務の分かれ目です
採光規制、防火・避難規制については、今回の政令だけで最終判断をするのは早いです。報道発表でも、具体的な基準は別途告示で規定されるとされています。
中小建設業の実務で起こりやすいのは、こうした制度改正を聞いた施主から、
「この用途なら採光規制が緩くなるのですか」 「防火区画を減らせるのですか」 「計画中の案件にも使えますか」
と聞かれる場面です。
このときに大事なのは、告示で定められる基準を確認するまでは、適用可否を断定しないことです。
特に防火・避難規制は、建物の構造、用途、周囲の状況によって判断される領域です。規制対象から除外される可能性があるとしても、それは安全性を確認しなくてよいという意味ではありません。むしろ、これまで以上に「なぜこの建物では支障がないと言えるのか」を、設計図書や確認申請の中で説明できる状態が求められる可能性があります。
用途地域とガス設備の見直しは、新設備導入の提案余地につながります
用途地域における危険物の総量規制の合理化は、設備計画に関係します。
今回の見直しでは、圧縮ガスまたは可燃性ガスを燃料として使用する設備等のうち、国土交通大臣が定める安全上・防火上支障がない基準に適合するものについて、その設備により貯蔵または処理される圧縮ガス・可燃性ガスを、建築基準法の用途規制における危険物から除外するとされています。
これは、一定のガス燃料設備を導入する建築計画で、用途地域上の制約整理が変わる可能性があるということです。
中小建設業としては、設備業者や設計者任せにするのではなく、施主から設備更新や新設備導入の相談を受けたときに、次のような確認を早めに行うとよいです。
- その設備が、国土交通大臣が定める基準に適合する設備か
- 用途地域上の危険物総量規制の整理がどう変わるか
- 建築基準法以外の法令・消防関係の確認が必要か
- 確認申請や行政協議の段階で、どの資料が必要になりそうか
今回の改正だけで、すべての設備導入が簡単になるわけではありません。ただ、新しい設備を入れたい施主に対して、建築側から提案できる余地が広がる可能性はあります。
施行日は令和8年11月1日。いま確認すべき案件
今回の政令は、令和8年9月16日に公布、令和8年11月1日に施行される予定です。
施行までの期間は長くありません。中小建設業がまず見るべきなのは、次のような案件です。
- 令和8年11月1日前後に確認申請・設計変更・仕様変更があり得る住宅案件
- 型式適合認定を活用している、または活用する可能性がある住宅案件
- 児童福祉施設等に関わる新築・改修案件
- 防火区画、竪穴区画、層間変形角などの検討が必要な建築物
- 圧縮ガス・可燃性ガスを燃料として使用する設備を導入する案件
ここでの実務対応は、難しく考えすぎる必要はありません。まずは、設計中・見積中・提案中の案件一覧を見て、今回の4つの改正項目に関係しそうな案件に印を付けることです。
そのうえで、設計者や確認検査機関、設備業者と「この案件は改正後の扱いに関係しますか」と確認していく。これだけでも、後からの手戻りをかなり減らせます。
経営者目線では「制度変更を利益管理につなげる」ことが大切です
建築基準法の改正は、法務や設計だけの話に見えがちです。しかし、中小建設業の経営においては、制度変更はそのまま原価、工期、提案力に関わります。
たとえば、資材調達が難しくなったとき、仕様変更が可能かどうか、確認申請にどれくらい時間がかかるか、追加の設計費や確認対応費を誰が負担するか。こうした点は、現場の段取りだけでなく、会社の利益に直結します。
今回の改正を機に、社内では次の3点を整理しておくとよいです。
- 設計変更・仕様変更が起きたときの社内判断ルート
- 施主に追加費用や工期影響を説明するためのルール
- 制度改正情報を、営業・設計・工務・積算で共有する仕組み
制度を知っている会社は、施主に対して落ち着いて説明できます。制度を知らない会社は、確認が後手に回り、結果として現場と利益を圧迫しがちです。
今回の改正は、「法改正対応」ではなく「提案と利益管理を強くするきっかけ」として捉えるのがよいです。
自社案件への影響を整理するところから始めましょう
今回のような建築基準法施行令の改正は、条文だけを読むと難しく見えます。一方で、自社の案件に引き寄せて見ると、確認すべきことはかなり明確になります。
「うちの住宅案件で型式適合認定は関係するのか」「児童福祉施設の改修提案で採光規制の見方が変わるのか」「ガス設備を入れる案件で用途地域の整理が変わるのか」。このように、まずは自社の案件台帳に照らして確認することが出発点です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。制度改正をきっかけに、案件管理、見積・利益管理、社内共有の仕組みを見直したい場合は、壁打ち相手として活用してください。無理な営業はいたしませんので、「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。



























