国土交通省は令和8年9月11日、「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業」の令和8年度第1回選定結果を公表し、6事業を選定しました。高齢者、障害者、子育て世帯など、誰もが安心して健康に暮らせる住環境づくりを進めるため、民間事業者等による先導的な取組を支援するものです。
発表日 | 令和8年9月11日 |
事業名 | 人生100年時代を支える住まい環境整備モデル事業 |
今回の選定数 | 6事業 |
主な対象 | 高齢者、障害者、子育て世帯、住宅確保要配慮者など |
選定された主な取組 | 町家・団地空き住戸・古民家・公共施設・町家ストック等の活用、福祉拠点・交流拠点・居住支援拠点の整備検討 |
建設業が見るべき点 | 既存建築ストックを、住まい・福祉・地域交流の拠点へ転換する流れが強まっていること |
今回選定された事業は、京都府京都市、福岡県遠賀郡岡垣町、鹿児島県奄美市、岐阜県美濃市での取組です。課題設定型では、住宅・施設の建設や改修、技術検証、情報提供・普及を含む提案が選ばれています。事業育成型では、次の整備につなげるための調査、検証、体制づくり、情報発信が中心です。
なお、今回の公募では、事業者提案型については選定に至った提案はありませんでした。
1週間で 21件の相談 がありました
- 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
- 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
- 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
- 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
- 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
- 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
- 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
- 9月4日塗装工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月4日電気設備工事会社山梨県原価管理の相談
- 9月4日設備保全会社栃木県利益率向上の相談
- 9月4日電気設備工事会社岐阜県利益率向上の相談
- 9月3日外構工事会社群馬県案件獲得の相談
- 9月3日総合土木広島県協力会社探しの相談
- 9月3日外構工事会社新潟県人材確保の相談
- 9月3日電気設備工事会社福島県協力会社探しの相談
- 9月2日内装工事会社愛知県利益率向上の相談
建設会社が見るべきなのは「補助金の採択結果」だけではありません
この発表は、単なる採択結果として読むと、自社には直接関係が薄く見えるかもしれません。しかし、中小建設業にとって重要なのは、国がどのような住環境整備を“先導的”と見ているのかです。
今回の選定事業には、共通する方向性があります。
第一に、既存建築ストックの活用です。 町家、団地の空き住戸、古民家、公共施設、空き家・空き地など、地域に残る建物や空間をどう使い直すかが大きなテーマになっています。
第二に、住まい単体ではなく、福祉・見守り・相談・交流と一体で考えている点です。 住戸をきれいに直すだけではなく、誰が使い、誰が支え、どう地域につながるかまでが評価されています。
第三に、整備後の運営や地域参加まで含めて見られている点です。 建物をつくって終わりではなく、利用者、地域住民、福祉団体、行政などが関わり続けられる仕組みが問われています。
これは、住宅改修・施設改修を担う建設会社にとって、提案力の中身が変わってきているということです。これからの改修案件では、“施工できる会社”であることに加えて、“用途転換や運営を見据えた建築の相談相手”であることが価値になっていきます。
選定事業から見える3つの市場変化
今回の6事業を眺めると、中小建設業が押さえておきたい市場変化が見えてきます。
1. 空き家・空き住戸は「困りもの」から「地域インフラ」へ変わりつつあります
京都市の団地空き住戸活用、福岡県岡垣町の古民家改修、岐阜県美濃市の町家の住み継ぎ、鹿児島県奄美市の地域ストック活用など、複数の提案で既存建物の再活用が軸になっています。
これまで空き家や空き店舗は、老朽化、相続、改修費、用途不明といった課題として語られがちでした。今回の選定では、それらを高齢者や住宅確保要配慮者の住まい、交流拠点、相談拠点、多世代向けの場として再構成する発想が評価されています。
中小建設業にとっては、地域の空き家や遊休施設を「壊すか、直すか」だけで見ないことが大切です。誰の暮らしを支える建物に変えられるかまで考えると、行政、福祉法人、NPO、医療機関、まちづくり団体との接点が増えていきます。
2. 福祉・医療・居住支援との連携が、改修需要を生みます
選定事業には、社会福祉法人、NPO、診療所などが代表提案者として入っています。建設会社単独ではなく、地域で暮らしを支える主体が、住環境整備の中心に立っている点が特徴です。
たとえば、障害者、子ども、地域住民が交わる拠点づくり、独居高齢者が地域で暮らし続けるための相談・交流空間づくり、在宅医療とつながる多世代交流拠点づくりなどです。
ここで必要になる建設会社の役割は、図面通りに施工することだけではありません。プライバシーを守りながら入りやすい空間にする、見守りや相談の動線を整理する、多世代が使いやすい改修にする、といった実務的な設計・施工の工夫が重要になります。
専門工事会社にとっても、バリアフリー、内装、設備、断熱、外構、電気通信、防犯、サイン、メンテナンスなど、関われる領域は広がります。
3. 「調査・検証・情報発信」も事業の一部になっています
今回の事業育成型では、改修可能性の検証、行政との体制構築、住民参画のための情報発信、先進事例の視察、ニーズ調査などが含まれています。
これは、建設業側から見ると見落としがちなポイントです。工事が始まる前の段階で、すでに事業の方向性はかなり決まります。建設会社が早い段階から関わるほど、現実的な改修範囲、概算費用、施工上の制約、維持管理のしやすさを提案に反映しやすくなります。
特に古民家、町家、公営住宅、公共施設の転用では、現況調査の精度が重要です。構造、雨漏り、設備容量、動線、法的な確認、近隣対応など、初期段階で見えていない課題が後から事業全体を圧迫することがあります。
だからこそ、地域密着の建設会社には出番があります。地域の建物事情を知り、改修の現実を知っている会社が、構想段階から入る価値は高まっています。
中小建設業が自社で確認したいポイント
今回の発表を受けて、自社で確認したいのは次の点です。
- 地域に、空き家・空き店舗・使われていない公共的施設・団地空き住戸などの相談が増えていないか
- 福祉法人、NPO、医療機関、居住支援法人、まちづくり団体との接点があるか
- 住宅改修を、バリアフリーや原状回復だけでなく、交流・相談・見守りの空間づくりとして提案できるか
- 古民家、町家、団地、公共施設など、既存建物の調査・概算・改修提案を早期に出せる体制があるか
- 補助事業やモデル事業に関わる際、工事費だけでなく、運営者側の使いやすさや維持管理まで話せるか
特に重要なのは、営業先の見直しです。従来の元請・施主・不動産会社だけでなく、地域課題を抱えている団体が、次の発注者や共同提案者になる可能性があります。
建設需要は、人口増加や新築需要だけで決まる時代ではなくなっています。高齢化、空き家、孤独・孤立、住宅確保要配慮者、子育て支援、地域コミュニティといった課題が、建物の使い方を変えています。そこに、改修・転用・維持管理の仕事が生まれます。
「工事を取る」前に、「構想に入る」会社が強くなります
今回のモデル事業で評価されているのは、建物そのものだけではありません。地域の課題を掘り下げ、既存ストックを活かし、支援や交流の仕組みと結びつける提案です。
この流れの中では、建設会社も受け身だけでは機会を逃します。行政や福祉団体から仕様が固まった後に呼ばれる会社ではなく、構想段階で“この建物なら何ができるか”を一緒に考えられる会社が選ばれやすくなります。
もちろん、すべての会社が福祉や居住支援の専門家になる必要はありません。ただ、建物の現実を踏まえて、できること・難しいこと・費用が膨らみやすいところを早めに整理できるだけでも、事業者側にとっては大きな価値になります。
中小建設業にとっての次の成長余地は、地域の未利用ストックを、暮らしを支える場に変える力にあります。 今回の選定結果は、その方向を国が後押ししているサインとして受け止めたい内容です。
自社の地域でどう活かせるかを整理する
このニュースを読んで、「自社の地域でも似たような空き家や施設がある」「福祉法人やNPOとの接点はあるが、事業化の進め方が見えない」と感じた会社もあるかもしれません。
ネクスゲートは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような住環境整備や既存ストック活用についても、販路拡大、連携先づくり、概算提案、社内体制の整理など、会社ごとの状況に合わせて一緒に考えることができます。
「うちの場合は、どこから整理すればよいか」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは考えを整理する場としてご活用ください。



























