国土交通省は、首都高速道路の料金改定について、道路整備特別措置法第3条に基づき、首都高速道路株式会社へ事業許可を行ったと発表しました。改定は令和8年10月1日から実施される予定です。背景には、維持管理コストの上昇、労務費・材料費の高騰、物流対策の継続があります。
対象 | 首都高速道路の料金改定 |
事業許可日 | 令和8年7月31日 |
実施時期 | 令和8年10月1日より |
平均改定率 | 8.1% |
普通車の1kmあたり料金 | 29.52円/km → 32.472円/km |
普通車ETCの上限料金 | 1,950円 → 2,130円 |
主な理由 | 維持管理費の労務費・材料費等の上昇への対応、物流対策の継続 |
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建設会社にとっては「高速代の値上げ」ではなく、移動原価の見直しです
今回の改定は、首都高速を日常的に使う会社ほど影響があります。特に、首都圏で複数現場を回る施工管理者、職長、メンテナンス部隊、資材搬入車両を抱える会社にとっては、高速料金が現場別原価にじわじわ効いてくる変更です。
普通車の場合、1kmあたりの料金は29.52円から32.472円へ引き上げられます。普通車ETCの上限料金も1,950円から2,130円になります。1回あたりでは大きく見えなくても、毎日の現場移動、月次の複数現場、年間の稼働台数で見ると、利益を削る固定的なコストになります。
中小建設業では、高速代を「一般経費」や「交通費」としてまとめて処理している会社も少なくありません。しかし、これからは現場ごと・得意先ごと・工種ごとに、どれだけ移動費がかかっているかを見える化することが、利益管理の精度を上げるポイントになります。
中型車以上は特別措置がありますが、確認は必要です
発表資料では、中型車以上について特別措置が示されています。10月1日以降の改定後基本料金は、中型車が330円〜2,520円、大型車が400円〜3,410円、特大車が550円〜5,570円とされています。一方で、中型車以上は特別措置期間中、現行料金を適用する扱いも示されています。
資料上では、特別措置期間中の額として、中型車330円〜2,310円、大型車400円〜3,110円、特大車550円〜5,080円が記載されています。また、中型車以上の大口・多頻度割引については5年間継続しつつ、後年度の一定期間は割引率を縮小する旨も示されています。
ダンプ、ユニック、資材運搬車、協力会社の大型車両が首都高速を使う会社では、自社車両だけでなく、協力会社や運送会社のコスト転嫁も含めて見る必要があります。自社の高速代は据え置きに見えても、外注費や運搬費の見積に反映される可能性があります。
今回の背景は、建設業全体の価格転嫁にもつながる話です
国土交通省の資料では、直近10年で維持管理コストが約1.4倍に上昇していること、昨今の労務費・材料費の高騰分を十分に措置できていない状況が示されています。今回の料金改定は、単なる利用者負担の変更ではなく、インフラを維持するための労務費・材料費をどう確保するかという問題でもあります。
これは建設業にとって重要な示唆があります。公共インフラの維持管理ですら、労務費・材料費の上昇を料金に反映する局面に入っています。であれば、民間工事や小規模修繕でも、従来単価のまま吸収し続けることには限界があります。
もちろん、すべてをそのまま顧客に転嫁できるわけではありません。ただ、高速代、燃料費、材料費、労務費を曖昧にせず、根拠を持って見積に反映する姿勢は、これまで以上に大切になります。
まず確認したい実務ポイント
今回の改定を受けて、中小建設企業が確認したいのは次の点です。
- 首都高速を使う現場・案件がどれだけあるか
- 現場別に高速代を把握できているか
- 10月1日以降に続く契約で、交通費・運搬費を見直せる余地があるか
- 協力会社や運送会社からの単価改定要請が来た場合の判断基準があるか
- 見積書の中で、交通費・運搬費をどこまで明示するか
特に注意したいのは、長期契約や年間契約です。契約時点では現行料金を前提にしていても、施工期間が10月1日をまたぐ場合、実際のコストは変わります。小さな値上げに見えるものほど、契約期間と稼働回数で利益差が出ます。
「現場に行くためのコスト」も経営数字として扱う時期です
建設業では、材料費や外注費には目が向きやすい一方で、移動費・待機時間・段取り替えのコストは見えにくくなりがちです。しかし、人手不足と原価高の時代には、現場に到着するまでのコストも、立派な経営数字です。
今回の首都高速料金改定をきっかけに、交通費を単なる経費処理で終わらせず、見積、配車、現場配置、協力会社管理とつなげて考えることが重要です。首都圏で動く会社ほど、移動距離と時間をどう減らすか、案件の受け方をどう設計するかが、利益率に直結します。
自社への影響を整理するところから始める
首都高速の料金改定は、会社によって影響の出方が異なります。自社車両が多い会社、協力会社の運搬に依存する会社、都心部の短時間工事が多い会社、夜間対応が多い会社では、見るべき数字も変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような料金改定についても、「うちの場合はどの原価に効くのか」「見積にどう反映すべきか」「現場別の数字をどう見える化するか」といった段階から一緒に整理できます。
ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、まずは自社の移動費・運搬費・原価管理を見直すきっかけにしていただければと思います。無理な営業はいたしませんので、何から整理すべきかわからない段階でも、必要に応じてご相談ください。





























