国土交通省は、令和8年度「物流効率化推進事業費補助金」について、計25件の協議会を認定し、交付決定を行いました。内訳は、計画策定経費補助が9件、運行経費補助が16件です。交付決定額は約91.8百万円です。
発表内容 | 令和8年度「物流効率化推進事業費補助金」の交付決定 |
交付決定件数 | 計25件 |
内訳 | 計画策定経費補助9件、運行経費補助16件 |
交付決定額 | 約91.8百万円 |
募集期間 | 令和8年4月7日から6月5日まで |
主な対象となる取組 | モーダルシフト、幹線輸送の集約化、中継輸送、共同配送、貨客混載、省人化・自動化機器導入など |
建設業そのものを対象にした発表ではありません。
ただし、採択案件には鉄鋼建材の輸送を混載・クロスドッキングで集約する取組が含まれています。建設会社にとっても、これは他人事ではありません。
「材料が予定通り入らない」
「運賃がじわじわ上がっている」
「自社便も外注便も、人の手配が重い」
こうした感覚は、多くの現場で少しずつ強くなっています。今回の交付決定は、物流の世界で起きている変化を、建設業側から見る良い材料になります。
1週間で 15件の相談 がありました
- 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
- 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
- 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
今回の補助金は、物流の“運び方を変える”取組を支援するものです
今回の補助金は、物流効率化法に基づく取組を支援するものです。
国土交通省は、物流分野の労働力不足や環境負荷の低減に対応するため、トラック輸送から鉄道・海運・航空への転換、いわゆるモーダルシフトや、幹線輸送網の集約化などを進めています。
補助の区分は大きく2つです。
区分 | 内容 |
|---|---|
計画策定経費補助 | 今後、物流効率化法に基づく計画認定を目指す案件への補助 |
運行経費補助 | 物流効率化法に基づく計画認定を受けた事業への補助 |
別紙では、補助上限・補助率も示されています。
補助区分 | 補助上限・補助率 |
|---|---|
計画策定経費補助 | 上限200万円、定額 |
計画策定経費補助のうち省人化・自動化機器導入 | 上限300万円、補助率1/2以内、上限総額500万円 |
運行経費補助 | 上限500万円、補助率1/2以内 |
運行経費補助のうち省人化・自動化機器導入 | 上限500万円、補助率2/3以内、上限総額1,000万円 |
今回の募集は、令和8年4月7日から6月5日まで行われ、すでに交付決定まで進んでいます。つまり、今回分に今から応募する話ではありません。
見るべきはそこではありません。
大事なのは、国がどの方向にお金を出しているかです。
建設業に近い採択案件もあります
採択案件の中には、建設業の資材調達や現場運営に近いものがあります。
たとえば、北海道の「JFE商事鉄鋼建材・丸吉ロジ北海道物流効率化協議会」です。
事業概要は、鉄鋼建材の苫小牧~釧路間輸送を、混載・クロスドッキングにより幹線輸送集約化するというものです。さらに、車両・CO₂削減と省人化のために、無人フォークリフトの活用も視野に入っています。
これは、建設会社から見るとかなり身近です。
鉄骨、鋼材、建材、仮設材、設備機器。
現場に届くまでには、多くの輸送が絡みます。そこに人手不足と燃料費、運転手の確保、積み下ろしの負担が重なります。
今回の案件は、資材をどう運ぶかが、単なる物流部門の話ではなく、建設現場の生産性や原価に直結する時代に入っていることを示しています。
中小建設会社が見るべきポイントは「自社で運ぶか、組んで運ぶか」です
中小建設会社では、材料の引き取りや現場配送を、かなり柔軟に回している会社が多いです。
「朝、職人が倉庫に寄って積んでいく」
「足りない材料を番頭さんが走って取りに行く」
「協力会社のトラックに少し載せてもらう」
こうした運用は、現場を止めないための知恵です。強みでもあります。
ただ、これからは少し見方を変える必要があります。
人が余っている前提の物流は、だんだん成立しにくくなります。
だからこそ、次のような問いが重要になります。
- よく使う資材は、どの現場に、どの頻度で動いているか
- 自社便と外注便の使い分けは、原価として見えているか
- 協力会社や同業他社と、共同配送できる余地はないか
- 材料商社やメーカーと、納品頻度・納品単位を見直せないか
- 倉庫内の積み込み、荷さばき、在庫確認に人手を使いすぎていないか
いきなり鉄道輸送や船舶輸送に切り替える会社は多くないと思います。
それでも、考え方は同じです。
“運ぶ回数を減らす”“積載効率を上げる”“人が動かなくても回る仕組みにする”ことが、利益を守る打ち手になります。
補助金の方向性は、省人化・自動化にも寄っています
今回の資料では、省人化・自動化機器の導入例として、無人フォークリフト、無人搬送車、ピッキングロボットが挙げられています。
建設会社の規模感では、すぐにロボットを入れる話にはなりにくいかもしれません。
けれども、ここで見たいのは機械そのものではありません。
国の支援の方向が、人手を前提にした改善から、省人化を前提にした改善へ移っているという点です。
中小建設業でいえば、まずはもっと手前の整理でも十分です。
- 倉庫の置き場を固定する
- よく出る材料を取りやすい場所に置く
- 入出庫をExcelやクラウドで見える化する
- 現場ごとの材料手配を前倒しで共有する
- 積み込み待ち、探し物、二度手間を減らす
こうしたことも、立派な省人化です。
現場でよく聞く「誰かが覚えているから大丈夫」は、確かに強いです。
でも、その誰かが休むと止まります。退職すると崩れます。忙しい時期ほど、ミスも増えます。
物流効率化は、大企業だけのテーマではありません。中小建設会社にとっては、属人化を減らす経営改善でもあります。
今回は「交付決定」ですが、次の公募に向けた準備材料になります
今回の発表は、すでに交付決定された案件の公表です。
そのため、この記事を読んで今すぐ今回分に応募する、という話ではありません。
一方で、採択案件の一覧はかなり参考になります。
どのような取組が採択されているのか。
どのような関係者で協議会を組んでいるのか。
どのように、CO₂削減、省人化、輸送効率化を説明しているのか。
ここを見ることで、次に似た制度が出たときの準備ができます。
特に、建設会社が単独で補助金を取りに行くというより、荷主、物流事業者、メーカー、商社、協力会社などと一緒に仕組みを作る発想が大切になりそうです。
資材の運び方は、自社だけでは変えにくいです。
でも、地域で同じ悩みを持つ会社はあります。材料商社も、配送の効率化には関心があります。物流会社も、人手不足の中で運び方を変えたいはずです。
そこをつなげると、補助金の話に限らず、日々の原価改善につながります。
自社でまず確認したいこと
今回のニュースを受けて、中小建設会社がまず見るべきことはシンプルです。
自社の物流コストと物流の手間が、どこで発生しているかを見えるようにすることです。
たとえば、次の5つです。
- 自社便の稼働状況
- 材料引き取りに使っている職人・社員の時間
- 現場ごとの追加配送や緊急手配の回数
- 倉庫での探し物、積み込み待ち、積み間違い
- 仕入先・材料商社との納品頻度や納品条件
ここが見えないままだと、運賃が上がっても、利益がどこで削られているのか分かりにくくなります。
逆に、見えるようになると話が変わります。
「この現場だけ追加配送が多い」
「この材料はまとめて頼んだ方がいい」
「この倉庫配置だと、毎朝30分ずつ失っている」
そんな発見が出てきます。
補助金はきっかけです。本丸は、資材と人の動きを整えて、現場がものづくりに集中できる状態をつくることです。
自社の物流・原価・人手のつながりを整理する機会に
物流効率化の話は、少し遠く感じるかもしれません。
でも、現場では毎日、材料が動いています。人も動いています。車も動いています。その一つひとつに、時間と原価が乗っています。
「うちの場合は、どこから見直すべきか」
「共同配送や倉庫整理まで考えるべきか」
「補助金が使える可能性があるなら、どんな準備が必要か」
そう感じたら、一度、現在の業務の流れを棚卸ししてみるだけでも十分です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ近づけるための伴走をしています。
物流や原価の見直しは、最初から答えが決まっているものではありません。「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な論点を一緒に整理する場としてご活用ください。





























