国土交通省は、舗装点検と道路巡視に関する支援技術を公募すると発表しました。目的は、「点検支援技術性能カタログ」の掲載技術を充実させ、新技術の活用を進めることです。
道路維持、舗装、巡視、点検に関わる会社にとっては、単なる技術公募ではありません。公共の道路維持管理業務で、ICT・AIを使った点検・巡視がさらに標準化していく流れとして見ておきたいニュースです。
発表内容 | 「舗装点検、道路巡視の支援技術」の公募 |
公募対象 | 舗装点検、道路巡視に関する支援技術 |
公募期間 | 令和8年7月30日(木)〜令和8年8月31日(月) |
舗装点検の対象 | ひび割れ率、わだち掘れ量、IRIを計測する技術 |
道路巡視の対象 | ポットホール、区画線の摩耗、建築限界の超過、標識隠れ等を把握する技術 |
位置づけ | 令和8年度新技術導入促進計画に位置づけられた「ICT・AIを活用した道路巡視の効率化・高度化技術」 |
応募資料 | 国土技術研究センターの公募ページから取得 |
1週間で 16件の相談 がありました
- 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
- 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
- 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
- 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
- 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
- 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
- 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
- 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
- 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
- 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
- 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
- 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
- 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
- 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
- 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
- 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
- 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
- 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
- 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
- 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
- 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
- 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
- 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
- 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
- 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
- 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
- 7月18日リフォーム会社千葉県人材育成の相談
- 7月17日塗装工事会社栃木県協力会社探しの相談
- 7月17日リフォーム会社岩手県人材確保の相談
今回のポイントは「技術カタログの拡充」です
国土交通省は、構造物点検等で新技術を活用するため、平成31年2月に「点検支援技術性能カタログ」を策定しています。
このカタログには、点検に使える技術の性能値などが整理されています。今回の公募は、その掲載技術をさらに増やすためのものです。
特に見ておきたいのは、対象がかなり実務寄りであることです。
舗装点検では、次の項目が対象です。
- ひび割れ率
- わだち掘れ量
- IRI
道路巡視では、次のような項目が対象です。
- ポットホール
- 区画線の摩耗
- 建築限界の超過
- 標識隠れ
現場で日々見ているものばかりです。
「道路の穴を見つける」「白線の薄れを見る」「草木が標識を隠していないか確認する」。
これまで人の目と経験に頼ってきた業務が、カメラ、センサー、スマートフォン、ドライブレコーダー、AI、ビッグデータの活用対象になっています。
直轄国道では、すでに点検支援技術の活用が進んでいます
PDF資料では、直轄国道の点検における技術活用の流れも示されています。
- 令和4年度より、橋梁・トンネルで点検支援技術の活用を原則化
- 令和5年度より、舗装で点検支援技術の活用を原則化
- 令和7年度より、道路巡視の特定項目で点検支援技術の活用を原則化
道路巡視の特定項目としては、ポットホールの特定、区画線の摩耗の判定が挙げられています。
ここは、中小建設業にとって重要です。
国が「できれば使いましょう」ではなく、直轄国道の一定領域で活用を原則化する方向に進んでいるということです。
今後、地方自治体の道路維持管理や関連業務でも、同じような考え方が広がっていく可能性があります。もちろん、すべての発注ですぐ同じ条件になるとは限りません。ただ、発注者側が「データで確認できること」「AIやICTで効率化できること」を重視する流れは、かなりはっきりしてきました。
中小建設業が見るべき実務影響
今回の公募は、技術開発企業向けの色合いが強い内容です。
ただし、道路維持、舗装、巡視、点検に関わる建設会社にとっても無関係ではありません。
見るべきポイントは3つです。
1. 点検・巡視業務が「目視中心」から「データ併用」へ進む
従来の点検では、目視で路面性状を確認し、手入力で記録する流れが一般的でした。
しかし、今回の資料では、スマートフォン画像、ドライブレコーダー画像、MMS、加速度データ、AI判定などが例示されています。
つまり、今後の道路維持管理では、現場を見る力に加えて、データを扱う力が評価されやすくなると考えられます。
現場の職人や巡視員の経験が不要になる、という話ではありません。
むしろ逆です。
「AIが拾った異常が、本当に補修対象なのか」 「このひび割れは、次回点検まで経過観察でよいのか」 「通行に支障が出る前に、どの順番で直すべきか」
最後は現場を知る人の判断が必要です。
ただ、その判断材料が、紙や記憶だけでなく、画像、位置情報、判定データへ広がっていくということです。
2. 交通規制を減らせる技術が重視される
リクワイヤメントでは、舗装点検・道路巡視のどちらも、特段の交通規制が不要となる技術であることが求められています。
これは現場感覚としても大きいです。
交通規制は、手間も費用もかかります。住民や通行車両への影響もあります。人員確保も簡単ではありません。
発注者にとっても、受注者にとっても、「走行しながら把握できる」「巡視しながらデータが取れる」技術は魅力があります。
中小建設業としては、今後の道路維持業務で、規制をかけずに状態把握できる体制を持っているかが差別化要素になる可能性があります。
自社で技術を開発する必要はありません。
カタログ掲載技術を持つ会社と組む。リースや外注で活用する。自社の巡視車両にスマートフォンやドライブレコーダー型の仕組みを取り入れる。
そうした選択肢を持っておくだけでも、提案の幅は変わります。
3. 出力データの形式が重要になる
今回のリクワイヤメントでは、位置情報、点検結果、画像、巡視結果などを、汎用性のあるデータ形式でアウトプットできることが求められています。
紙で出せるだけでは不十分とされています。
これは、発注者側の管理システムやデータベースとの接続を意識した条件です。
舗装点検では、「全国道路施設点検データベースの道路舗装DB」への入力が想定されています。
道路巡視でも、各道路管理者が使っている既存システムは多岐にわたるため、他のソフトでも巡視データを活用できることが想定されています。
中小建設業にとっては、ここが意外と大事です。
良い点検をしても、データとして納品・共有できなければ評価されにくい時代に入っています。
今後は、現場写真を撮るだけでなく、位置情報、日付、判定結果、補修履歴、優先度などをどう整理するかが問われます。
応募対象になり得る技術の条件
今回の公募で求められている技術は、単に「便利そうな技術」ではありません。
舗装点検では、カメラ、センサー、加速度計等により、舗装点検要領に基づく診断区分I・II・IIIの判定ができる技術が求められています。
主な要件は次の通りです。
- ひび割れ率、わだち掘れ量、IRIの全て、またはいずれかを判定できること
- 診断区分I・II・IIIを判定できること
- ICTやAIを用いて自動判定できること
- 汎用性のあるデータ形式で出力できること
- 特段の交通規制が不要であること
- 車両搭載機器型、専用測定車両型、ビッグデータ活用型であること
道路巡視では、カメラ・センサー等により、路面や道路周辺の異常を発見し、道路管理担当者が速やかに把握できる技術が求められています。
対象項目には、ポットホール、段差、落下物、落石・崩土等、区画線の摩耗、植物等の建築限界超過、滞留水、排水施設の損傷、交通安全施設の損傷、植物等による標識隠れなどが含まれています。
道路維持の現場で「いつも見ている異常」が、技術評価の対象になっていると言えます。
自社で開発しない会社も、カタログの動きは見ておきたい
多くの中小建設会社にとって、「うちはAI開発会社ではないから関係ない」と感じるかもしれません。
でも、そこだけで見切るのは少しもったいないです。
点検支援技術性能カタログは、今後の技術選定の参考資料になります。
発注者がどんな技術を評価しているのか。 どんな性能項目を重視しているのか。 どんなデータ出力を求めているのか。 どんな技術会社と組めば、自社の施工・維持管理力を補完できるのか。
そうした判断材料になります。
特に、道路維持工事、舗装工事、巡視業務、補修工事に関わる会社は、「自社で全部つくる」ではなく「使える技術を選び、現場運用に落とす」ことが現実的な一手です。
現場には、すでに巡視車両があります。スマートフォンもあります。ドライブレコーダーもあります。写真管理の習慣もあります。
そこに、どの技術を組み合わせると、発注者への報告が楽になるのか。若手でも巡視品質をそろえやすくなるのか。熟練者の判断をデータとして残せるのか。
この視点で見ると、今回の公募は、自社のDXを考える入口になります。
経営者が今確認しておきたいこと
今回の発表を受けて、すぐ大きな投資をする必要があるとは限りません。
ただ、次の点は社内で確認しておきたいところです。
- 道路維持・舗装・巡視業務で、どの記録がまだ紙や手入力に依存しているか
- 巡視車両や現場車両で、画像・位置情報をどこまで取得できているか
- 発注者への報告データを、再利用しやすい形で残せているか
- カタログ掲載技術を持つ会社との協業余地があるか
- 若手や未経験者でも、一定水準の点検・巡視ができる仕組みを作れているか
道路維持管理は、地域の安全に直結する仕事です。
一方で、人手不足の中で、巡視・点検・記録・報告の負担は小さくありません。
だからこそ、ICTやAIは「人を置き換えるもの」ではなく、限られた人員で品質を守るための道具として捉えるのがよさそうです。
自社の道路維持・点検業務をどう整理するか
今回の公募は、技術を持つ企業にとっては応募機会です。一方で、道路維持や舗装に関わる建設会社にとっては、今後の業務設計を見直すきっかけになります。
「うちの業務では、どこからデジタル化すればよいのか」 「カタログ掲載技術を使うなら、どんな会社と組めばよいのか」 「現場に負担を増やさず、写真・位置情報・報告を整理するにはどうしたらよいのか」
こうした整理は、いきなり答えを出すより、現場の流れを一緒に棚卸しするところから始めるのが現実的です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業の持続的成長を支援し、ものづくりに集中できる建設業界へ近づけていくための伴走役です。
「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な論点を一緒に整理する場としてご活用ください。


























