国土交通省は、直轄土木工事で、製造時のCO2排出量を削減した鋼材である「グリーン鉄」を試行的に活用すると発表しました。経済産業省の「GX需要創出・カーボンプライシング運営事業」の一環として、公共工事でグリーン鉄を使い、製造段階も含めたCO2排出量、いわゆるCFPの算定などを調査します。

発表日

令和8年7月31日

発表主体

国土交通省

内容

直轄土木工事でグリーン鉄試行工事を実施

対象工事

道路工事・河川工事など、7月24日時点で6件が確定

試行する資材

鋼矢板、橋梁厚板等をはじめとしたグリーン鉄

調査内容

製造段階も含めたCO2排出量、グリーン鉄の流通、GX価値等

今後

2030年以降の公共工事での本格活用に向け、今年度も順次試行工事を追加予定

今回の発表は、すぐにすべての工事でグリーン鉄が義務化される、という話ではありません。けれども、公共工事の資材調達において、「価格・品質・納期」に加えて「CO2排出量」や「GX価値」が評価対象になっていく流れがはっきり見えた発表です。

1週間で 15件の相談 がありました

  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
  • 7月23日配管工事会社愛知県業務効率化システムの相談
  • 7月20日外構工事会社山口県協力会社探しの相談
  • 7月20日電気設備工事会社群馬県高卒採用の相談
  • 7月20日総合建築千葉県利益率向上の相談
  • 7月19日解体工事会社栃木県案件獲得の相談
  • 7月18日空調設備工事会社福井県高卒採用の相談
  • 7月18日リフォーム会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 7月18日内装工事会社東京都案件獲得の相談
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今回の試行工事で何が行われるのか

今回の試行は、国土交通省が発注する直轄土木工事で実施されます。

7月24日時点で確定している試行工事は、次の6件です。

地方整備局等

工事名

都道府県

受注者

北海道開発局

令和7ー9年度 一般国道5号 仁木町銀山大橋上部中央工事

北海道

株式会社横河ブリッジ

中部地方整備局

令和7年度 鵜森三郷排水路整備工事

岐阜県

岐建株式会社

中部地方整備局

令和7年度 42号松阪多気BP朝田高架橋鋼上部工事

三重県

株式会社横河ブリッジ

中国地方整備局

令和7年度 福山道路赤坂東歩道橋鋼上下部工事

広島県

矢田工業株式会社

四国地方整備局

令和7ー9年度 安芸道路黒鳥高架橋上部A1-P2工事

高知県

JFEエンジニアリング株式会社 大阪支店

四国地方整備局

令和7ー9年度 安芸道路黒鳥高架橋上部P7-A2工事

高知県

宮地エンジニアリング株式会社 関西支社

国土交通省は、今後も順次、試行対象を拡大するとしています。

ポイントは、単に「環境に良い鋼材を使う」だけではないことです。今回の目的は、グリーン鉄が公共工事の中で実際に流通するのか、どのようにCO2排出量を把握できるのか、そのGX価値をどう評価できるのかを調べることにあります。

中小建設業にとっての意味は「鋼材の選び方」が変わり始めることです

建設会社の現場感覚でいえば、鋼材はまず「規格に合うか」「納期に間に合うか」「価格が合うか」で判断されます。

これは今後も変わりません。

ただし、公共工事ではそこに少しずつ、「その資材のCO2排出量を説明できるか」という視点が入ってくる可能性があります。

今回、国土交通省が見ているのは、製造段階も含めたCO2排出量です。つまり、施工現場で燃料をどれだけ使ったかだけではありません。資材がつくられる段階の排出量も含めて把握しようとしています。

これは、元請だけの話ではありません。

専門工事会社、鋼材を扱う会社、橋梁・河川・道路関連工事に関わる会社にとっても、将来的には次のような確認が増えるかもしれません。

  • この鋼材は、通常材なのか、CO2排出量を削減した鋼材なのか
  • メーカーや商社から、CO2排出量に関する情報を取得できるのか
  • 見積時に、価格差や納期差を説明できるのか
  • 発注者や元請から求められたときに、資料を出せるのか

現場では、こういう変化は急に来ると大変です。

「いつもの材料屋さんに聞いたら、まだ分からないと言われた」 「見積条件に書かれているけれど、何を確認すればよいのか分からない」

そんな場面が起きる前に、少しずつ言葉と流れに慣れておくことが大切です。

2030年以降の本格活用に向けた“助走”と見るべきです

国土交通省は、今回の試行について、2030年以降の公共工事での本格活用に向けた知見の蓄積と説明しています。

ここは重要です。

今すぐ全社で大きな投資をする話ではありません。けれども、国のロードマップ上では、グリーン鉄は日本成長戦略の主要な製品・技術等の一つに位置づけられています。さらに、「公共工事におけるグリーン鉄の調達等」による国内初期需要の創出も施策として示されています。

つまり、公共工事が先に市場をつくる動きです。

中小建設業としては、「まだ先の話」ではなく、「公共工事の仕様や評価項目が変わる前の準備期間」として受け止めるのが現実的です。

特に、橋梁、道路、河川、港湾、仮設を含む鋼材使用量の多い工事に関わる会社は、今後の入札公告、特記仕様書、発注者説明資料の中で、グリーン鉄やCFPという言葉が出てこないかを見ておきたいところです。

経営者が今から見ておきたい3つのポイント

1. 鋼材の仕入先が情報を出せるか

最初に確認したいのは、仕入先です。

普段取引しているメーカー、商社、鋼材店が、グリーン鉄やCO2排出量に関する情報をどこまで把握しているか。ここを軽く聞いておくだけでも、将来の対応力が変わります。

今すぐ完璧な資料を求める必要はありません。

まずは、「グリーン鉄の扱いはあるのか」「CO2排出量に関する資料は出せるのか」「公共工事で求められた場合に対応できるのか」を確認するところからで十分です。

2. 見積の中で“環境価値”を説明できるか

グリーン鉄は、通常の鋼材と価格や納期が異なる可能性があります。ただし、今回の発表だけでは、具体的な価格差や積算上の扱いまでは分かりません。

だからこそ、経営としては、価格だけで比較する見積から、品質・納期・環境価値をセットで説明する見積へ少しずつ移る準備が必要です。

公共工事では、発注者がどのようにGX価値を評価するかが今後の焦点になります。

中小企業側も、単に「高い材料です」と言うのではなく、なぜその材料を使うのか、どの条件なら採用できるのかを整理しておくと、元請や発注者との会話がしやすくなります。

3. CFPという言葉に慣れておく

今回の発表では、CFPという言葉が出ています。これは、製造段階も含めたCO2排出量の算定に関わる考え方です。

中小建設業の現場では、まだなじみが薄い言葉かもしれません。

ただ、今後は建設資材の脱炭素化が進む中で、「どの材料を使ったか」だけでなく、「その材料にどれくらいのCO2排出量があるのか」を確認する場面が増える可能性があります。

まずは、社内で言葉を共有するだけでも十分です。

「CFPって何?」 「グリーン鉄って、普通の鉄と何が違うの?」 「うちの工事で関係しそうなのはどこ?」

こうした会話を、経営会議や営業会議、工事部門の打ち合わせで一度しておく価値があります。

中小建設業にとっては、負担だけでなく受注機会にもなります

脱炭素やGXという言葉は、少し大きく聞こえます。

「また書類が増えるのか」 「現場は人も足りないのに、そこまで手が回らない」

そう感じる会社も多いはずです。

ただ、今回の動きは負担だけではありません。

公共工事でグリーン鉄の活用が広がれば、資材調達に詳しい会社、発注者や元請に説明できる会社、早めに仕入先と関係をつくった会社が評価されやすくなる可能性があります。

特に中小企業は、大企業のように一気に大きな仕組みを作る必要はありません。

まずは、取引先に聞く。仕様書を見る。見積で説明できるようにする。社内で言葉をそろえる。

このくらいの小さな準備から始めるのが現実的です。

自社への影響を一度整理しておくと、次の一手が見えます

今回のグリーン鉄試行工事は、公共工事の資材調達が少しずつ変わっていくサインです。

とはいえ、会社によって影響は違います。橋梁工事に関わる会社、河川工事で鋼矢板を扱う会社、道路工事の下請に入る会社、鋼材調達を元請に任せている会社。それぞれ見るべきポイントは変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような制度・公共工事・GXの流れについても、「うちの場合は何を見ればよいのか」「見積や仕入先確認をどこから始めるべきか」という段階から一緒に整理できます。

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