何が起きたか

国土交通省は、優良緑地確保計画認定制度「TSUNAG認定」が、DBJ Green Building認証の評価項目に位置づけられたと発表しました。

TSUNAG認定は、都市緑地法に基づき、企業等による良質な緑地確保の取組を、気候変動対策・生物多様性の確保・ウェルビーイングの向上といった観点から国土交通大臣が評価・認定する制度です。

今回、このTSUNAG認定が、建築物の環境・社会への配慮を総合的に評価する「DBJ Green Building認証」の評価項目のうち、「生物多様性への配慮」に位置づけられました。

その結果、緑地部分でTSUNAG認定を取得することで、建物部分のDBJ Green Building認証で評価を高めやすくなる、という関係が生まれています。

中小建設業が見るべきポイント

今回の話は、一見すると大手不動産会社や金融市場向けのニュースに見えるかもしれません。しかし、建設会社の実務に引き寄せると、見ておくべき点があります。

それは、建物単体の性能だけでなく、外構・緑地・周辺環境への配慮が、プロジェクト全体の価値評価に組み込まれつつあるという点です。

DBJ Green Building認証は、環境性能だけでなく、テナント利用者の快適性、防災・防犯などのリスクマネジメント、周辺環境・コミュニティへの配慮、ステークホルダーとの協業なども含めて評価する認証制度です。

対象タイプとしては、PDF上では、オフィス、物流倉庫、商業施設、共同住宅、ホテル、介護施設の6タイプが示されています。

中小建設業にとっては、こうした用途の案件で、施主や元請、設計者から「環境認証を意識した計画にしたい」「ESG対応として説明できる建物にしたい」と相談される場面が増える可能性があります。

「緑」はコストではなく、評価を上げる要素になっていく

今回の連携で重要なのは、緑地の取組が、建築物の認証取得やグリーンボンド等の発行のしやすさにつながる可能性が示されたことです。

報道発表では、事業者は緑地部分のTSUNAG認定取得によって、建物部分のDBJ Green Building認証が取りやすくなるとともに、建物・緑地を含むプロジェクト全体に対してグリーンボンド等が発行しやすくなる効果があるとされています。

もちろん、すべての中小建設会社が直接グリーンボンドを扱うわけではありません。ここで大事なのは、資金調達を行う施主側から見て、「認証に寄与する施工・設計・外構提案」が価値を持つということです。

たとえば、共同住宅、物流倉庫、商業施設、介護施設などの計画で、緑地の扱いを後回しにせず、早い段階から計画に組み込める会社は、施主に対して一段深い提案ができます。

「植栽は最後に予算が余ったら」ではなく、認証・ESG・利用者の快適性・地域との関係まで含めた事業価値の一部として緑地を考える。この見方が、今後さらに重要になります。

2026年度のTSUNAG認定スケジュール

報道発表では、2026年度のTSUNAG認定について、次の予定が示されています。

  • 事前相談期間:2026年4月1日から6月30日まで
  • 申請受付期間:2026年7月1日から8月31日まで
  • 認定予定:2027年2月頃
  • 認定式:2027年初夏、5月から6月頃に横浜グリーンエキスポ会場で実施予定

また、DBJ Green Building認証との連携については、2026年4月発行の「GB認証2026年版モデルスコアリングシート v1.0」に記載され、同年の申請から適用とされています。

該当しそうな案件に関わっている会社は、施主や設計者に対して、早めに確認しておく価値があります。

自社ではどう考えればよいか

中小建設業としては、まず次の3点を押さえておくのが現実的です。

1つ目は、環境認証を取る主体は施主や事業者であっても、評価に関わる実務は施工会社・設計者・外構業者にも関係するということです。

2つ目は、緑地・外構・生物多様性への配慮を、見積や提案の初期段階から話題に出すことです。後工程で追加するよりも、敷地計画や建物配置と一体で考えた方が、提案の説得力は高まります。

3つ目は、「認証に強い会社」になる入口として、制度の言葉を社内で共有しておくことです。TSUNAG認定、DBJ Green Building認証、生物多様性への配慮、ウェルビーイング、グリーンボンド。これらの言葉は、今後の民間建築や不動産開発の会話で出てくる頻度が高まっていく可能性があります。

大きな制度変更ほど、最初は自社に関係が薄く見えます。しかし、現場に落ちてくるときには、施主からの一言になります。

「この建物、環境認証を意識できますか」

そのときに、建物だけでなく緑地まで含めて話ができる会社は、単なる施工者ではなく、事業価値を一緒につくる相手として見られやすくなります。

今回の連携は、緑をきれいに整える話にとどまりません。外構や緑地の計画が、建築プロジェクトの評価、資金調達、施主への提案力に結びつく時代に入っている。そこを読み取っておきたいニュースです。