国土交通省は、令和8年5月1日〜5日時点の「主要建設資材需給・価格動向調査」の結果を公表しました。

今回のポイントは明確です。生コンクリート、鋼材、木材など7資材13品目について、需給は全て「均衡」、在庫は全て「普通」でした。 一方で、価格動向は一部資材で上向きです。アスファルト合材(新材・再生材)、異形棒鋼、H形鋼、木材(型枠用合板)、石油が「やや上昇」となりました。

「物が足りない」という局面ではありません。けれど、足元の調達環境が安定していても、価格はじわりと上がる資材がある。ここを見落とさないことが大切です。

何が公表されたのか

国土交通省は、建設資材の需給・価格・在庫の変動状況を把握するため、毎月この調査を実施しています。

今回の全国における結果は、次のとおりです。

  • 価格動向:アスファルト合材(新材・再生材)、異形棒鋼、H形鋼、木材(型枠用合板)、石油が「やや上昇」
  • その他の資材は「横ばい」
  • 需給動向:全ての調査対象資材で「均衡」
  • 在庫状況:全ての調査対象資材で「普通」

調査対象は、生コンクリート、鋼材、木材など7資材13品目です。なお、在庫状況の調査対象は、骨材、異形棒鋼、H形鋼、木材などに限られています。

中小建設業が見るべきポイント

今回の結果でまず押さえたいのは、「需給均衡=価格安心」ではないという点です。

資材が極端に不足しているわけではありません。在庫も普通です。現場の段取りとしては、急な品薄リスクが強く出ているとは読み取りにくい内容です。

ただし、価格は別です。

特に次の資材を多く使う会社は、見積と原価を点検しておきたいところです。

  • 舗装工事:アスファルト合材(新材・再生材)
  • 鉄筋工事・基礎工事:異形棒鋼
  • 鉄骨関連工事:H形鋼
  • 型枠工事・RC工事:型枠用合板
  • 重機・車両稼働が多い工事:軽油など石油関連コスト

現場では、資材単価の上昇が一つひとつは小さく見えても、月末の原価表ではしっかり効いてきます。特に、材料費・外注費・燃料費が同時に動く工事では、粗利が静かに削られます。

見積では「前回単価の流用」に注意したい

今回のように、全体としては落ち着いて見える発表ほど、実務では油断が出ます。

「先月と大きく変わっていないだろう」 「いつもの単価で見ておけば大丈夫だろう」

そう考えたくなる場面です。

しかし、今回の調査では、アスファルト合材、鋼材、型枠用合板、石油が「やや上昇」です。過去の見積単価をそのまま流用すると、受注後に利益が薄くなる可能性があります。

特に公共工事、民間元請工事、専門工事のいずれでも、次の確認はしておきたいところです。

  • 見積時点の資材単価が最新か
  • 発注予定時期までに単価が変わる可能性を見ているか
  • 燃料費を現場経費に十分反映できているか
  • 長期工事で価格変動リスクを誰が負う契約になっているか
  • 協力会社や仕入先からの単価改定情報を拾えているか

大切なのは、単価を必要以上に怖がることではありません。「上がったら困る」ではなく、「上がっても利益が読める」状態にしておくことです。

地域別の確認も欠かせない

今回の発表では、全国平均だけでなく、都道府県別・地域別の動向も示されています。

建設資材は、全国平均だけでは判断しきれません。生コン、骨材、アスファルト合材などは、地域の供給体制や運搬距離の影響を受けやすい資材です。

そのため、経営判断としては、自社の主戦場となる都道府県の表を確認することが重要です。

特に次の会社は、全国の見出しだけで終わらせず、自社エリアを見ておく価値があります。

  • 舗装・土木工事が多い会社
  • RC造・基礎工事・型枠工事に関わる会社
  • 鉄筋・鉄骨関連の専門工事会社
  • 重機やダンプの稼働が多く、軽油コストの影響が大きい会社
  • 複数県で工事を行う会社

同じ「やや上昇」でも、地域によって温度差があります。自社の見積単価表を、全国平均ではなく施工エリアの実感に合わせることが、利益管理では効いてきます。

経営者として考えたいこと

今回の調査は、急激な資材不足を示すものではありません。そこは前向きに受け止められます。

一方で、需給が落ち着いている中でも、主要資材の一部は上昇方向にある。ここに、今の建設業経営の難しさがあります。

人件費も上がります。燃料費も工事原価に響きます。資材費も品目ごとに動きます。だからこそ、これからの中小建設業では、現場力に加えて、見積・実行予算・発注・原価管理をつなげて見る力がますます重要になります。

まずは難しい仕組みでなくても構いません。

  • 主要資材ごとの最新単価表を月次で更新する
  • 見積時と発注時の単価差を残す
  • 燃料費を現場別に見えるようにする
  • 粗利が下がった工事について、資材・外注・労務のどこが効いたか確認する
  • 長期工事では価格変動リスクを契約前に確認する

このあたりから始めるだけでも、経営の見え方は変わります。

今回のニュースは「資材は足りているから安心」ではなく、「調達は落ち着いている今こそ、利益を守る管理を整える」ための材料として使いたい内容です。

自社の見積・原価管理を見直すきっかけに

資材価格の動きは、会社ごとに影響の出方が違います。舗装中心なのか、RC中心なのか、鉄骨関連なのか。元請なのか、専門工事なのか。工期の長さや、発注のタイミングでも変わります。

「うちの場合、どの資材を重点的に見ればよいか」「見積単価表や原価管理をどう整えればよいか」という段階で、一度整理してみるのも有効です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場・採用・組織・原価・デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。ものづくりに集中できる建設業界へ向けて、建設企業の持続的成長を支援しています。

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