資料ダウンロード

何が起きたか

国土交通省は、令和8年2月分の「既存住宅販売量指数」を公表しました。

この指数は、登記データをもとに、個人が購入した既存住宅の移転登記量を加工・指数化したものです。令和8年2月分の全国の戸建住宅・マンション合計の季節調整値は130.9で、前月比4.9%減少しました。

主な数値は以下のとおりです。

  • 戸建住宅・マンション合計:130.9(前月比4.9%減)
  • 30㎡未満マンションを除く合計:119.2(前月比4.7%減)
  • 戸建住宅:126.4(前月比6.4%減)
  • マンション:135.7(前月比3.8%減)
  • 30㎡未満を除くマンション:110.5(前月比3.5%減)

指数は2010年平均を100としたもので、今回の数値は確報値です。今回の発表は「試験運用」とされています。

中小建設業にとって、なぜ見る価値があるのか

この発表は、建設会社に直接「制度対応を求める」ものではありません。補助金や法改正のように、すぐ申請・対応が必要なニュースでもありません。

それでも、住宅関連の工事を行う会社にとっては、見ておく価値があります。理由は、既存住宅の売買は、リフォーム・修繕・設備更新・外構・耐震・断熱などの工事需要とつながりやすいからです。

中古住宅を購入したお客様は、入居前後に次のような工事を検討することがあります。

  • 水回りや内装の更新
  • 屋根・外壁の補修
  • 給湯器、空調、電気設備の更新
  • 外構や駐車場の整備
  • 断熱、耐震、防音などの性能向上
  • マンション専有部のリノベーション

もちろん、既存住宅販売量指数が下がったからといって、直ちに工事需要が減ると断定はできません。ただし、中古住宅の流通量は、住宅関連工事の先行指標の一つとして使えます

特に、工務店、リフォーム会社、専門工事会社、住宅設備工事会社、不動産会社と連携している施工会社にとっては、「いま市場にどれくらい住宅が動いているか」を知る材料になります。

今回の数字で見るべきポイント

今回の全国合計は前月比4.9%減でした。戸建住宅は前月比6.4%減、マンションは前月比3.8%減です。

ここで大事なのは、単月の減少だけを見て悲観しすぎないことです。

令和8年1月の合計指数は137.6、令和8年2月は130.9です。前月からは下がっていますが、指数そのものは2010年平均の100を上回っています。つまり、今回の発表から読み取れるのは、少なくとも「前月より取引量が減った」という事実であり、「市場全体が急激に縮小した」とまでは言い切れません。

一方で、住宅工事会社の経営では、こうした小さな変化を見逃さないことが重要です。

受注が落ちてから市場を確認するのではなく、市場の動きを見ながら営業・人員・仕入れ・協力会社体制を整える。この姿勢が、これからますます大切になります。

地域差も見ておきたい

今回の資料では、地域別の指数も公表されています。

全国では前月比4.9%減ですが、地域によって動きは異なります。たとえば、合計の季節調整値では、北海道地方が前月比17.9%減、九州・沖縄地方が前月比9.2%減となっています。一方で、中部地方は前月比0.3%増、名古屋圏は前月比2.7%増とされています。

この差は、地域密着型の建設会社にとって重要です。

全国ニュースだけを見ると「中古住宅取引が減った」と見えます。しかし、自社の商圏では違う動きをしている可能性があります

たとえば、住宅リフォームを主力にしている会社であれば、全国平均よりも次の情報を優先して見るべきです。

  • 自社の都道府県・都市圏の既存住宅取引の動き
  • 戸建が動いているのか、マンションが動いているのか
  • 30㎡未満のワンルームマンションを含む数字と、除いた数字の差
  • 不動産仲介会社からの紹介案件の増減
  • 入居前リフォーム、売却前修繕、賃貸化前工事の相談件数

市場を見るときは、全国平均ではなく「自社の商圏」と「自社が得意な住宅種別」に引き寄せて読むことが大切です

経営者が考えるべきこと

今回の発表を、住宅関連の中小建設会社が経営に活かすなら、見るべき点は大きく3つです。

1つ目は、受注の入口を中古住宅流通と結びつけられているかです。

中古住宅の購入者は、工事の必要性を感じていても、どこに相談すればよいか分からないことがあります。不動産仲介会社、司法書士、金融機関、保険代理店、管理会社など、住宅購入の前後でお客様と接点を持つ事業者との関係づくりは、今後も重要になります。

2つ目は、小規模工事から中規模工事につなげる設計ができているかです。

中古住宅購入後の工事は、最初から大規模リノベーションになるとは限りません。給湯器交換、クロス張替え、網戸、玄関まわり、駐車場、雨漏り確認など、入口は小さいこともあります。

しかし、そこで丁寧に対応できれば、外壁、屋根、断熱、耐震、水回り更新など、次の相談につながる可能性があります。一度きりの工事ではなく、住まいの長期的な相談相手になる設計が必要です。

3つ目は、市場データと自社の実感を照らし合わせることです。

「最近、中古住宅を買った人からの相談が増えている」 「不動産会社からの紹介が少し減っている」 「戸建よりマンションの内装工事が動いている」

こうした現場の実感を、国の統計と並べて見ると、経営判断の精度が上がります。数字だけでも、感覚だけでも不十分です。統計と現場感覚を重ねることで、次の一手が見えやすくなります

これからの住宅関連工事は「新築以外の需要」をどう取るか

人口や世帯、住宅価格、金利、空き家、マンションの老朽化など、住宅市場を取り巻く環境は一つの方向だけでは動きません。

その中で、中小建設業にとって大事なのは、新築だけに頼らない需要の取り込み方を持つことです。

既存住宅が売買されれば、そこには何らかの手直しや更新の可能性があります。売買されなくても、住み続けるための修繕や性能向上の需要はあります。空き家の活用、相続後の売却、賃貸化、二拠点居住、投資用物件の整備など、住宅をめぐる工事の入口は多様化しています。

今回の指数低下は、短期的には「前月より取引量が減った」というニュースです。しかし、少し広く見ると、住宅関連工事会社が中古住宅市場をどう捉え、どの接点から仕事を生み出すかを考えるきっかけになります。

自社の商圏ではどう読むかを整理する

こうした統計は、ただ眺めるだけでは経営に活きません。自社の商圏、得意工事、紹介ルート、既存顧客の年齢層や住宅種別と結びつけて初めて、使える情報になります。

「うちの場合、この数字をどう見ればよいのか」 「中古住宅やリフォーム需要を、営業計画にどう組み込めばよいのか」 「不動産会社との連携や、原価管理、職人体制まで含めて整理したい」

そう感じる場合は、一度、外部の視点を交えて整理するのも有効です。ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、建設企業の持続的成長を支援しています。

無理な営業はいたしません。まずは「自社では何から見ればよいか」を整理する場として、必要であればご相談ください。

お問い合わせはこちら