令和8年5月20日、国土交通省と気象庁は、同日11時46分頃に発生した沖縄本島近海の地震を受け、鹿児島県与論町における土砂災害警戒情報の発表基準を暫定的に引き下げて運用すると発表しました。

鹿児島県ではこの地震により最大震度5強を観測しており、揺れの大きかった地域では地盤が脆弱になっている可能性があるとされています。雨による土砂災害の危険性が通常より高まっていると考えられるため、与論町では当分の間、通常基準の8割を暫定基準として運用します。

何が変わるのか

今回の発表では、鹿児島県と鹿児島地方気象台が共同で発表する土砂災害警戒情報について、与論町を対象に発表基準を通常より引き下げることが示されました。

対象は次の通りです。

  • 対象都道府県:鹿児島県
  • 対象市町村:与論町
  • 暫定基準の割合:通常基準の8割

つまり、通常時よりも早い段階で土砂災害警戒情報が発表される可能性があります。これは、地震によって地盤が緩んでいる可能性を踏まえ、降雨時の警戒を高めるための措置です。

なお、国土交通省と気象庁は、今後も地震後の降雨と土砂災害の関係を調査し、必要に応じて暫定基準を変更するとしています。

建設会社がまず確認すべきこと

与論町内、または周辺で工事・維持管理・資材搬入などを行っている会社は、通常の雨天時対応に加えて、次の点を確認する必要があります。

  • 現場が土砂災害警戒区域や斜面・法面の近くにないか
  • 掘削箇所、盛土、仮設道路、資材置場の周辺に崩落リスクがないか
  • 雨天時・降雨予報時の作業中止基準が明確になっているか
  • 土砂災害警戒情報が発表された場合の退避ルールが現場に共有されているか
  • 通勤経路・搬入経路に土砂災害のおそれがある区間がないか

特に、斜面下での作業、法面工事、道路維持、造成、上下水道・電気通信などのインフラ関連工事では、現場そのものだけでなく、作業員の移動経路や緊急退避場所の確認も重要です。

「通常より早く警戒情報が出る」ことを経営判断に反映する

今回の暫定運用では、土砂災害警戒情報の基準が通常の8割に引き下げられます。これは、普段であれば警戒情報が出ない程度の雨でも、地震後の地盤状況を考慮して警戒情報が出る可能性があるということです。

中小建設業にとって重要なのは、「警戒情報が出たら現場判断で対応する」だけでなく、事前に会社として判断基準をそろえておくことです。

たとえば、次のような運用を確認しておくとよいでしょう。

  • 土砂災害警戒情報が発表された場合の作業継続・中止の判断者
  • 元請・発注者・協力会社への連絡手順
  • 作業員への一斉連絡方法
  • 現場代理人や職長が不在の場合の代替判断者
  • 翌日の作業再開前点検の手順

災害リスクが高まっている局面では、現場ごとの経験や勘に頼るよりも、会社として統一したルールを持つことが安全管理上重要です。

対象地域外の会社も「地震後の雨」に注意

今回の対象は鹿児島県与論町に限定されています。ただし、地震後に地盤が緩み、降雨による土砂災害リスクが高まるという考え方は、他地域の建設会社にとっても重要です。

地震直後の現場では、目に見える被害がなくても、斜面、擁壁、盛土、仮設構造物、排水施設などに影響が出ている可能性があります。その後の雨で危険が顕在化する場合もあります。

自社の現場が対象地域でない場合でも、地震後に雨が予想されるときは、次のような点を点検項目に加えることが望まれます。

  • 法面や斜面に新たな亀裂・湧水・小崩落がないか
  • 仮設排水が詰まっていないか
  • 盛土や資材置場の水はけが悪化していないか
  • 擁壁やブロック積みに変状がないか
  • 作業員が危険箇所を把握しているか

今回の発表は、地域限定の防災情報であると同時に、建設会社が地震後の降雨リスクを見直すきっかけにもなります。