国土交通省は、令和8年度「所有者不明土地等対策モデル事業」の募集を開始しました。所有者不明土地、低未利用土地、空き地の利用円滑化や管理適正化に資する先導的な取組について、国が経費の一部を支援するものです。

今回募集される事業の概要

この事業は、所有者不明土地や低未利用土地、空き地の課題に対して、市町村や民間事業者等が行う先導的な取組を支援するモデル事業です。

対象となる取組は、大きく次のような内容です。

  • 所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定の円滑化に資する取組
  • 所有者不明土地、低未利用土地、空き地の利用円滑化・管理適正化に資する取組
  • 空き地の所有者と利用希望者のマッチング、流通・利活用に向けたコーディネート
  • 市町村と連携した空き地バンク制度の構築・運用
  • 市町村の既存計画に基づく空き地の利活用等を図る取組
  • 空き家と空き地等を一体的に活用し、拠点施設等を整備する取組

採択された取組の成果や知見は、国の政策や制度普及にも活用されます。

中小建設業に関係するポイント

今回の募集は、建設会社向けの一般的な工事受注制度ではありません。ただし、補助対象者に「民間事業者」が含まれており、地域の空き地・低未利用土地の利活用に関わる中小建設業にとっては、事業参画の可能性があります。

特に注目すべき点は、補助対象経費に次のような費用が含まれていることです。

  • 調査・診断・設計等の委託料
  • 土地等の管理委託料
  • 工作物等の除却費
  • 土地整備費
  • 東屋、ベンチ、水栓等の簡易な設備整備費

地域の空き地を活用した小規模な拠点整備、管理不全土地の改善、空き家・空き地を組み合わせたまちづくり事業などでは、建設会社の施工力や現場管理力が活かされる可能性があります。

補助対象者と補助額

募集要領では、補助対象者として次の者が示されています。

  1. 特定非営利活動法人、一般社団法人、一般財団法人、民間事業者
  2. 大学、専門家等により構成される協議会等
  3. 地方公共団体。ただし、1または2と連携した取組を優先的に採択
  4. 所有者不明土地利用円滑化等推進法人

民間事業者や協議会等が応募する場合は、地方公共団体から推薦を得た上で応募する必要があります。

補助額は、原則として1団体あたり200万円以内です。次のいずれかに該当する場合は、300万円以内まで補助できるとされています。

  • 推進法人が指定を受けた市町村において対象事業に取り組む場合
  • 所有者不明土地の発生の未然防止に資する空き地の利活用または管理に関する対象事業で、先進的で他地域への展開も期待できる取組を行う場合

採択団体数は、参考として7団体程度とされています。

応募期限と実施期間

応募締切は、令和8年6月15日(月)17時必着です。応募書類は電子メールで提出します。

取組の実施期間は、対象とする取組の決定通知の交付日から令和9年3月8日(月)までです。

選定結果は、令和8年7月上旬を目処に応募者全員へ通知される予定です。

経営者が確認すべきこと

中小建設業の経営者がまず確認したいのは、自社が単独で補助金を取りに行く話なのか、地域の関係者と組んで取り組む話なのかという点です。

今回のモデル事業は、単なる施工費補助ではなく、地域課題の解決に向けた先導的な取組を支援する制度です。そのため、次のような条件が重要になります。

  • 対象となる土地や地域課題が明確であること
  • 市町村との連携や推薦が見込めること
  • 専門家、宅建業者、司法書士、土地家屋調査士、NPO、一般社団法人等との連携体制があること
  • 今年度限りで終わらず、来年度以降も継続が期待できること
  • 地域活性化、防災・減災、空き家対策、地方創生などの観点と合っていること

すでに地域で空き地管理、除却、簡易整備、空き家・空き地活用、地域拠点づくりなどに関わっている会社は、自治体や地域団体と情報交換する価値があります。

早めに動くべき理由

応募期限までの期間は長くありません。加えて、民間事業者等が応募する場合には地方公共団体からの推薦が必要です。

そのため、関心がある会社は、まず次の点を整理することが現実的です。

  • 自社が関わっている空き地・低未利用土地の課題
  • 地域にとっての公益性やまちづくり上の意義
  • 必要となる調査、設計、除却、土地整備、簡易設備整備の内容
  • 市町村や専門家、地域団体との連携可能性
  • 補助期間内に実施できる範囲

この制度は、地域密着型の建設会社が「地域課題の解決役」として自治体や専門家と連携するきっかけになり得ます。自社だけで判断せず、まずは募集要領を確認し、関係する市町村や事務局に相談することが重要です。