国土交通省は、令和7年5月に公布されたマンション管理・再生の円滑化等に関する改正法の一部について、施行期日を令和9年4月1日とする政令等が閣議決定されたと発表しました。

今回のポイントは、マンション管理計画認定制度について、新築時に分譲事業者が認定申請できる仕組みを導入することと、管理計画認定マンションであることを広告等に表示できる制度を創設することです。

何が決まったのか

今回、施行期日が令和9年4月1日とされたのは、主に次の事項です。

  • 管理計画認定制度の見直し
  • 新築時の分譲事業者による認定申請の導入
  • 管理計画認定マンションの表示制度の創設

政令の公布は令和8年5月20日、施行は令和9年4月1日とされています。

新築マンションの「管理計画」が販売段階から問われる流れに

添付資料では、分譲事業者が作成する管理計画について、次のような内容が示されています。

  • マンションの修繕等の管理に係る資金計画
  • 管理組合の管理者等への、マンション管理の適切かつ円滑な引継ぎに関する事項

つまり、新築マンションについても、建てて売るだけではなく、販売後の管理・修繕・引継ぎまで含めて、計画の妥当性が見られる方向に制度が広がります。

中小建設業にとっては、直接の申請主体でない場合でも、分譲事業者や元請、設計者、管理会社から、修繕計画や維持管理に関する資料整備を求められる場面が増える可能性があります。

表示制度により、認定の有無が販売・提案上の差別化要素になる可能性

改正後は、認定を受けた者等が、管理計画認定マンションまたはその利用に関する広告等に、認定を受けている旨の表示を付すことができるとされています。

これは、購入者や居住者に対して「管理・修繕の計画が一定の基準に適合しているマンション」と伝える仕組みです。

建設会社・改修会社・設備会社の立場では、次のような点が営業上の論点になります。

  • 長期的な修繕・更新を見据えた施工品質を説明できるか
  • 引渡し後の点検・修繕・維持管理に関する資料を整理できるか
  • 管理計画認定を意識した提案を、分譲事業者や管理会社にできるか

認定そのものは行政手続きですが、その前提となる建物情報や修繕・管理に関する実務資料は、建設・設備・改修の現場と関係します。

中小建設業が確認しておきたいこと

今回の発表だけで、すべての建設会社に新たな義務が直ちに課されるわけではありません。ただし、マンション関連工事に関わる会社は、令和9年4月1日までに次の点を確認しておくとよいでしょう。

  1. 自社が新築マンション案件に関わっているか

分譲事業者向けの施工、設計協力、設備工事、外構工事、アフター対応などがある会社は、制度変更の影響を受ける可能性があります。

  1. 修繕・維持管理に関する説明資料を出せるか

工事後の点検、保証、更新時期、修繕方法などを整理しておくことが、発注者への提案力につながります。

  1. 管理会社・分譲事業者との連携を強められるか

認定申請の主体は分譲事業者ですが、実際には建物の仕様、修繕計画、引継ぎ資料などの整備で、関係事業者の協力が必要になる可能性があります。

  1. 既存マンションの大規模修繕にも波及するかを見ておくこと

今回の中心は新築時の認定申請と表示制度ですが、マンション管理の適正化が進むほど、既存マンションでも計画的な修繕や管理状況の説明が重視される流れは続くと考えられます。

経営者としての見方

マンション市場では、老朽化、修繕積立金、管理不全、建替え・再生といった課題が大きくなっています。今回の制度改正は、その入口である新築時点から管理計画を重視する方向を示すものです。

中小建設業にとっては、単に「工事を請ける」だけでなく、将来の修繕や管理まで見据えた施工・資料提供・アフター対応が評価されやすくなる可能性があります。

マンションの新築、改修、設備更新、大規模修繕に関わる会社は、令和9年4月の施行に向けて、分譲事業者や管理会社がどのような資料・説明を求めてくるかを確認しておくことが重要です。