国土交通省は令和8年5月21日、スカニアジャパン株式会社から、スカニアのLPGRSシリーズトラックについてリコールの届出があったと公表しました。

対象は計13型式・計1車種、合計1,609台です。建設会社で当該車両を保有・使用している場合は、車台番号の確認と販売店・届出者への問い合わせが必要です。

何が起きたか

今回のリコールは、スカニアLPGRSシリーズトラックの制動装置(エアドライヤ再生制御バルブ)に関するものです。

国土交通省の資料によると、エア圧力制御システム(APS)において、次の不具合が確認されています。

  • エアドライヤ再生制御バルブのシール材質が不適切で、圧縮空気中の油分によりシールが軟化し、エア圧力の気密が保持できないことがある
  • 制御プログラムが不適切で、外気温度が低い時に圧縮空気中の水分が氷結し、バルブの密閉を妨げることがある

その結果、エア漏れが発生して警告灯が点灯し、そのまま使用を続けると、エア圧力が下がって非常ブレーキがかかり走行不能となるおそれがあります。また、エンジン始動後にエア圧力が上がらず、パーキングブレーキが解除できずに走行不能となるおそれもあります。

事故は「なし」とされていますが、不具合件数は370件とされています。

対象車両とリコール開始日

リコール開始日は、届出日と同じ令和8年5月21日です。

対象車両は、スカニアのLPGRSシリーズトラックで、製作期間の全体の範囲は平成29年1月30日から令和6年12月19日までです。対象台数は計1,609台とされています。

ただし、国土交通省資料では、リコール対象車の車台番号の範囲には「対象とならない車両も含まれています」と注意書きがあります。自社車両が該当するかどうかは、車台番号だけで自己判断せず、販売店または届出者に確認することが重要です。

改善措置の内容

改善措置として、全車両に対して次の対応が行われます。

  • エアドライヤ再生制御バルブを対策品に交換
  • 低温時に圧縮空気中の水分の氷結を防止する対策プログラムへ書き換え
  • エアドライヤ再生制御バルブを定期交換部品に設定
  • メンテナンスノートに定期交換時期「1年」の記載を追加したシールを貼付

今回のリコールは、令和3年12月22日付けの届出番号「外-3336」により届出済みだったものについて、その後新たな不具合原因が判明したため、再度対策を行い、対象車両の範囲を拡大して届出されたものです。

中小建設業が確認すべきこと

建設会社にとって、トラックの走行不能は現場搬入、資材運搬、重機回送、協力会社との工程調整に影響します。特に今回の不具合は制動装置に関係し、警告灯点灯後に使用を続けると非常ブレーキがかかるおそれがあるため、安全面でも軽視できません。

該当する可能性がある車両を保有している場合は、次の順で確認することをおすすめします。

  1. 自社保有車両・リース車両にスカニアLPGRSシリーズトラックがあるか確認する
  2. 車検証や車両台帳で型式・車台番号を確認する
  3. 販売店またはスカニアジャパンに、リコール対象か確認する
  4. 対象の場合、対策作業の日程を早めに調整する
  5. 警告灯点灯やエア圧力に関する異常がある場合は、使用継続を避け、速やかに点検を依頼する

また、今回の改善措置ではエアドライヤ再生制御バルブの定期交換時期が「1年」とされます。対象車両を継続使用する場合は、今後の点検・整備計画にも反映しておく必要があります。

経営者・管理部門としての見方

今回の情報は、単なるメーカーリコールではなく、車両稼働と現場安全に関わる情報です。

中小建設業では、限られた台数の車両で複数現場を回している会社も多く、1台の走行不能が工程遅延や外注手配の増加につながることがあります。該当車両がある場合は、「壊れてから対応する」のではなく、リコール対応を計画的に組み込むことが重要です。

特に冬季や寒冷地で使用する車両では、低温時の水分氷結に関する対策プログラムの書き換えも含まれているため、時期を先送りしない方がよいでしょう。

自社で該当車両を保有していない場合でも、協力会社や運送委託先が該当車両を使っている可能性があります。重要資材の搬入や長距離輸送を任せている場合は、必要に応じて車両の安全確認状況を確認しておくと安心です。