国土交通省は、令和8年度「空港防災機能施設整備事業費補助金」の1次公募を開始しました。
この補助金は、半島地域・離島地域にある地方管理空港の防災機能を強化するため、災害時の救助活動や緊急物資・人員輸送の拠点として必要な航空機給油施設の整備費用の一部を国が補助するものです。応募受付期間は、令和8年5月20日(水)から令和8年7月15日(水)17時必着です。
中小建設業にとっては、補助金の直接の申請者になるケースは限られますが、対象空港で給油施設の新設・増設・耐震改良が進む場合、関連する設備工事、電気工事、給排水衛生設備工事、土木・建築工事、測量設計などの発注につながる可能性があります。
補助金の対象は、半島・離島地域の地方管理空港です
今回の補助金は、半島地域及び離島地域に所在する地方管理空港を対象としています。
補助対象となる事業は、次の2つです。
- 半島地域及び離島地域に所在する地方管理空港の航空機給油施設の新設又は増設
- 半島地域及び離島地域に所在する地方管理空港の航空機給油施設の耐震性の確保を目的とした改良
ここでいう「航空機給油施設」は、屋外タンク貯蔵所又は地下タンク貯蔵所とされています。貯蔵量は、災害救援活動に必要な数量に、燃料補給に要する期間を考慮した補給数量を加えた数量で、120キロリットルが上限です。
募集要領では、対象空港は半島地域・離島地域に所在する地方管理空港35空港とされており、そのうち航空機給油施設を備えていない空港が26空港と示されています。
補助対象事業者は地方公共団体、民間事業者は間接補助の可能性があります
補助対象事業者は、半島地域及び離島地域の地方管理空港を管理している地方公共団体です。
ただし、地方公共団体が間接補助金を交付する場合、市町村又は民間事業者が間接補助事業者となることがあります。ここでいう民間事業者は、地方管理空港において航空機給油事業を行う者とされています。
したがって、一般の建設会社がこの補助金に直接応募する制度ではありません。建設会社としては、対象となる地方公共団体や空港関連事業者が事業化した後の工事発注、見積依頼、設計・施工協力の動きを確認することが現実的です。
補助率は国8/10以内、ただし予算の範囲内です
募集要領では、補助金の額は補助対象経費に補助率8/10を乗じて得た額以内とされています。
ただし、補助金の交付は予算の範囲内で行われるため、必ず8/10になるとは限らないとされています。また、令和8年度の補助事業は単年度事業で、補助事業の実施期間は令和9年度までを予定していますが、後年度分の補助金交付を保証するものではないとも明記されています。
工事を受注する側としては、発注者側の補助金スケジュールや交付決定時期によって、契約時期・施工時期・支払い時期が左右される可能性があります。
建設会社が注目すべき工種
募集要領・交付要綱では、補助対象経費として、航空機給油施設の新設、増設又は耐震性の確保を目的とした改良に要する経費が示されています。
交付要綱の別表では、主な経費区分として次のような項目が挙げられています。
- 測量設計費
- 給油設備工事費
- 電気設備工事費
- 給排水衛生設備工事費
- 土木・建築工事費
- 附帯工事費
- 船舶及び機械器具費
- 営繕費
特に、タンク設備、基礎、舗装、配管、電気設備、危険物施設に関する施工・改修の経験がある会社にとっては、地域によって発注機会を確認する価値があります。
また、交付申請時には、設計図書、構造計算書、数量計算書、消防法に基づく危険物関係の許可申請書の写しなどが求められるため、設計・施工の初期段階から専門性が必要になる可能性があります。
見積対応では「複数見積」と「補助対象経費の明確化」が重要です
応募書類では、事業費算出資料として、事業費の内訳が確認できる積算資料等が必要とされています。
また、事業費算出の基礎となる見積書については、複数の事業者からの見積書を用意し、見積書比較表を作成することが求められています。複数の見積書を用意することが難しい場合は、経費が妥当であると客観的に認められる資料、例えばメーカーカタログ等を用意することとされています。
建設会社側が見積依頼を受ける場合は、次の点を意識しておくとよいです。
- 補助対象経費と対象外経費を分けて示す
- 工種別・設備別の内訳を明確にする
- タンク、基礎、配管、電気、舗装などの数量根拠を整理する
- 危険物施設として必要な法令対応を確認する
- 工期が補助事業期間に収まるかを確認する
募集要領では、補助対象経費は「補助金交付決定後に、契約・発注により発生した経費」とされています。補助金を使う事業では、交付決定前の契約・発注が補助対象外となる可能性があるため、発注者側との契約時期の確認が重要です。
地域建設会社は、対象空港を管理する自治体の動きを確認したいところです
この補助金の応募期間は、令和8年7月15日17時必着です。募集要領では、応募結果の通知は令和8年8月下旬から9月上旬を予定するとされています。
そのため、対象地域の建設会社は、まず自社の営業エリアに対象となる地方管理空港があるかを確認し、空港を管理する地方公共団体の予算、入札公告、補正予算、設計業務委託、工事発注の動きを見ておくことが有効です。
特に、離島・半島地域では、資材輸送、作業員の移動、危険物施設の施工体制、台風・海象条件による工程リスクなど、通常の陸上工事とは異なる制約が出る可能性があります。見積段階から、施工条件を慎重に確認する必要があります。
経営者としての見方
今回の補助金は、単なる空港設備の整備ではなく、災害時に救援機を受け入れるための燃料供給機能を確保する目的の制度です。令和6年能登半島地震でも、空港が人命救助や緊急物資・人員輸送の拠点として機能したことが背景にあります。
中小建設業の経営者としては、次のように捉えるとよいです。
- 対象地域では、防災インフラ関連の設備投資が進む可能性がある
- 危険物施設、タンク、電気、給排水、土木・建築を組み合わせた複合工事になりやすい
- 補助金事業のため、見積根拠、契約時期、証拠書類の整備が通常以上に重要になる
- 地元企業には、離島・半島特有の施工条件を理解している強みがある
直接応募できる制度ではない会社が多い一方で、地域の防災インフラ整備に関わる発注機会として、対象自治体の動きを早めに確認しておきたい内容です。


































