国土交通省大臣官房官庁営繕部は、令和8年5月19日、有資格業者1社に対する指名停止措置を行ったと発表しました。
対象となったのは日本ハイウエイ・サービス株式会社で、指名停止期間は令和8年5月19日から令和8年7月18日までです。範囲は、官庁営繕部の発注する工事及び業務とされています。
何が起きたか
今回の指名停止措置は、公正取引委員会が令和8年4月22日に公表した独占禁止法違反行為に関連するものです。
別紙によると、日本ハイウエイ・サービス株式会社は、首都高速道路株式会社が発注する特定道路清掃業務の入札において、事前に受注予定者を決めるなど談合を繰り返したとして、独占禁止法第3条(不当な取引制限の禁止)に違反する行為を行っていた違反事業者として公表されました。
これを受け、官庁営繕部は「官庁営繕部所掌の工事請負契約に係る指名停止等の措置要領」に基づき、指名停止措置を行ったものです。
指名停止措置の概要
公表資料で示された概要は以下のとおりです。
- 対象業者:日本ハイウエイ・サービス株式会社
- 所在地:東京都千代田区麹町五丁目1番地
- 指名停止期間:令和8年5月19日から令和8年7月18日まで
- 指名停止の範囲:官庁営繕部の発注する工事及び業務
- 理由:独占禁止法第3条違反行為により、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められるため
措置要領では、指定区域内で業務に関し独占禁止法第3条または第8条第1号に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当と認められる場合、当該認定をした日から2か月以上9か月以内の指名停止期間が定められています。
なお、資料上の指定区域は、東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県・茨城県・栃木県・群馬県とされています。
中小建設業が見るべきポイント
今回の発表は、個別企業に対する措置ですが、公共工事に参加する中小建設業にとっては重要な注意喚起です。
特に確認すべき点は、次の3つです。
- 入札に関する社内ルールが明文化されているか
受注調整、価格調整、受注予定者に関する情報交換などは、重大なコンプライアンスリスクになります。営業担当者任せにせず、禁止行為を社内規程や教育資料で明確にしておくことが重要です。
- 協力会社・同業者との情報交換の線引きができているか
現場や地域のつながりが強い会社ほど、何気ない会話がリスクになることがあります。入札予定、価格、受注意向などに関する情報交換は慎重に扱う必要があります。
- 違反時の影響を経営リスクとして把握しているか
指名停止は、対象となる発注機関の工事・業務に参加できなくなる可能性がある措置です。公共工事への依存度が高い会社では、売上計画や資金繰りにも影響し得ます。
経営者が考えるべきこと
中小建設業では、営業・積算・入札対応が少人数に集中していることが少なくありません。そのため、経営者自身が「現場任せ」「昔からの慣行任せ」にしない姿勢を示すことが大切です。
最低限、以下のような対応を検討する価値があります。
- 入札時に接触してよい情報・してはいけない情報を整理する
- 営業担当者、積算担当者、役員向けに独占禁止法・入札談合に関する研修を行う
- 同業者との会合や懇親の場で、入札に関する話題を避けるルールを徹底する
- 公共工事の入札記録、見積根拠、意思決定過程を社内で残す
- 違反が疑われる行為を見聞きした際の相談先を決めておく
今回の発表は、官庁営繕部発注案件に関する指名停止措置ですが、公共工事全般に関わる会社にとって、入札コンプライアンスを再点検する機会と捉えるべき内容です。


































