独立行政法人中小企業基盤整備機構は、「デジタル化・AI導入補助金2026」のうち、複数者連携デジタル化・AI導入枠について2次締切分の情報を公表しています。単独のIT導入ではなく、サプライチェーンや商業集積地など、複数者が連携してデジタル化・AI導入を進める取組を支援する制度です。

項目

内容

制度名

デジタル化・AI導入補助金2026「複数者連携デジタル化・AI導入枠」

実施機関

独立行政法人中小企業基盤整備機構

事務局

中小企業デジタル化・AI導入支援事業事務局(TOPPAN株式会社)

対象となる取組

サプライチェーンや商業集積地の複数の中小企業・小規模事業者等が連携し、ITツールを導入して生産性向上を図る取組

交付申請期間

2026年3月30日(月)~

2次締切

2026年8月25日(火)17:00

交付決定予定日

2026年10月7日(水)予定

事業実施期間

交付決定~2027年3月31日(水)17:00予定

補助上限

基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計は3,000万円が上限。その他経費は条件により200万円が上限

主な補助率

ソフトウェア等は3/4以内、4/5以内、2/3以内など。ハードウェアは1/2以内。経費区分により異なる

申請方法

代表事業者が申請マイページで交付申請を取りまとめて提出

建設企業がまず確認すべきポイント

この枠は、通常の「自社だけでITツールを入れる」補助金ではありません。最大の確認点は、10者以上のグループで同一の補助事業を実施できるかです。

公募要領では、補助事業グループについて、労働生産性の向上を目的とし、同一の補助事業を実施するグループ構成員10者以上のまとまりであることが求められています。グループ構成員は、代表事業者と参画事業者で構成されます。

建設企業の場合、自社が代表事業者になるのか、参画事業者として加わるのかで準備が大きく変わります。代表事業者は、交付申請、実績報告、事業実施効果の報告、事務局やIT提供事業者との連絡などを取りまとめます。単に名前だけ代表になるのでは足りません。実務上の事務局機能を担える体制が必要です。

一方、参画事業者は、代表事業者の管理のもとで、IT提供事業者が提供するITツールを利用して補助事業を実施します。公募要領では、参画事業者がITツールを利用しない場合はグループ構成員として認められないとされています。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 8月2日解体工事会社神奈川県利益率向上の相談
  • 8月2日内装工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 8月2日空調設備工事会社秋田県協力会社探しの相談
  • 8月2日総合建築群馬県案件獲得の相談
  • 8月1日空調設備工事会社福岡県人材確保の相談
  • 8月1日工務店京都府業務効率化システムの相談
  • 8月1日塗装工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 8月1日総合土木静岡県人材確保の相談
  • 7月31日内装工事会社兵庫県業務効率化システムの相談
  • 7月31日電気設備工事会社静岡県原価管理の相談
  • 7月31日防水工事会社福島県協力会社探しの相談
  • 7月30日造園会社島根県案件獲得の相談
  • 7月29日解体工事会社山口県人材育成の相談
  • 7月29日電気設備工事会社大阪府案件獲得の相談
  • 7月29日空調設備工事会社北海道人材育成の相談
  • 7月28日総合建築北海道高卒採用の相談
  • 7月28日工務店神奈川県業務効率化システムの相談
  • 7月27日総合土木千葉県利益率向上の相談
  • 7月26日塗装工事会社神奈川県案件獲得の相談
  • 7月26日工務店兵庫県案件獲得の相談
  • 7月25日解体工事会社東京都業務効率化システムの相談
  • 7月25日総合建築茨城県高卒採用の相談
  • 7月25日内装工事会社東京都利益率向上の相談
  • 7月24日造園会社岐阜県案件獲得の相談
  • 7月24日空調設備工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月24日防水工事会社兵庫県高卒採用の相談
  • 7月24日塗装工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 7月23日電気設備工事会社愛知県高卒採用の相談
  • 7月23日工務店埼玉県人材育成の相談
  • 7月23日防水工事会社和歌山県人材育成の相談
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建設業の中小企業要件

公募要領では、中小企業等の定義として、建設業は「資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主」とされています。

また、小規模事業者については、建設業は「製造業その他」に含まれる整理となり、常時使用する従業員の数が20人以下であることが基準になります。

ここは経営者や管理部門が最初に見るべきところです。資本金、従業員数、法人・個人事業主の別、親会社・子会社関係、大企業による出資状況などにより、対象外となる場合があります。

特に、次のような事業者は対象外となる可能性があります。

  • 大企業による一定以上の出資を受けている事業者
  • 直近過去3年分の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
  • デジタル化・AI導入補助金2026でIT導入支援事業者に登録されている、または登録しようとする事業者
  • 過去1年に労働関係法令違反により送検処分を受けている事業者
  • 反社会的勢力に関係する事業者
  • 法人格のない任意団体

補助対象となる経費

補助対象経費は、大きく次の3区分です。

1. 基盤導入経費

会計、受発注、決済の機能を保有するソフトウェア、そのオプション、役務、これらの使用に資するハードウェアが対象です。

主な対象は次のとおりです。

  • ソフトウェア購入費
  • クラウド利用費
  • 導入関連費
  • PC、タブレット、プリンター、スキャナー、複合機
  • POSレジ、モバイルPOSレジ、券売機

補助額は、グループ構成員1者当たり、導入するソフトウェアの機能数に応じて異なります。会計・受発注・決済のうち1機能の場合は補助上限50万円、2機能以上の場合は補助上限350万円です。

2. 消費動向等分析経費

異業種間の連携や、地域における人流分析・商取引など、面的なデジタル化に資するソフトウェア、オプション、役務、ハードウェアが対象です。

公募要領では、対象例として次のようなものが挙げられています。

  • 消費動向分析システム
  • 経営分析システム
  • 需要予測システム
  • 電子地域通貨システム
  • キャッシュレスシステム
  • 生体認証決済システム
  • AIカメラ
  • ビーコン
  • デジタルサイネージ

補助率は2/3以内で、補助額は、対象となるITツールを導入するグループ構成員数に50万円を乗じた額、または実際に要する経費に2/3を乗じた額のいずれか低い方です。

3. その他経費

代表事業者が補助事業グループを取りまとめるために要する経費や、外部専門家による導入・活用支援にかかる費用が対象です。

対象例は次のとおりです。

  • 人件費
  • 消耗品費
  • 備品費
  • 印刷費
  • 広報費
  • 通信運搬費
  • 会議費
  • 資料購入費
  • 補助員人件費
  • 外部専門家の謝金、旅費

補助率は2/3以内で、補助上限は200万円です。ただし、補助額は、基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計額に10%を乗じ、さらに補助率2/3を乗じた額、または200万円のいずれか低い方となります。

交付決定前の契約・発注は補助対象外

実務上、特に注意したいのは、交付決定前に契約、発注、納品、支払い等を行った場合は補助対象外となる点です。

ITツールの商談や見積依頼は事前準備として必要ですが、契約・発注・導入・支払いのタイミングを誤ると、補助金を受けられません。建設企業では、現場都合や月次締めの関係で発注を急ぎたくなる場面があります。しかし、この制度では、交付決定前に進めてしまうことが大きなリスクになります。

支払い方法にも制限があります。公募要領では、支払いの客観性を担保するため、原則として銀行振込またはクレジットカード1回払いのみとされています。購入するグループ構成員名義ではない口座から支払っている場合、補助金を受けることはできません。

生産性向上の事業計画が必要

この補助金では、ITツールを入れるだけでは不十分です。補助事業グループとして、2年間の事業計画を策定し、実行することが求められます。

労働生産性については、原則として、事業計画期間において年平均成長率5%以上が必要です。ただし、IT導入補助金2024、IT導入補助金2025の通常枠または複数社連携IT導入枠で交付決定を受けた事業者がグループ構成員に含まれる場合は、年平均成長率6%以上が必要です。

労働生産性は、公募要領上、次の考え方で算出されます。

労働生産性 = 営業利益、人件費、減価償却費を用いた付加価値額 ÷ 年間の事業者当たり総労働時間

効果報告も必要です。1年度目は2027年4月1日から2028年3月31日が対象期間、2年度目は2028年4月1日から2029年3月31日が対象期間とされています。

申請前に必要な準備

申請は、代表事業者が申請マイページから行います。代表事業者には、GビズIDプライムの取得が必要です。また、代表事業者と参画事業者は、IPAのSECURITY ACTION「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が必要です。

交付申請時には、補助事業グループの事業計画や経費、ITツール情報などを所定様式で提出します。代表事業者や参画事業者の区分に応じて、履歴事項全部証明書、納税証明書、貸借対照表、損益計算書、確定申告書類なども必要になります。

特に複数者連携の申請では、参画事業者から書類を集めるだけでも時間がかかります。公式ページの活用事例でも、参画事業者が納税証明書等を取り寄せる必要があり、全員分の収集に時間を要したことが紹介されています。締切直前に集め始める進め方は危険です。

申請に向けて次に動くこと

建設企業がこの補助金を検討する場合、次の順番で確認してください。

  1. 10者以上のグループを組めるかを確認する
  2. 代表事業者を誰が担うかを決める
  3. 参画事業者全員がITツールを利用する計画になっているかを確認する
  4. 導入するITツールが、会計・受発注・決済、消費動向等分析などの対象経費に合うかを確認する
  5. 労働生産性の年平均成長率5%以上、または6%以上の事業計画を作れるかを確認する
  6. GビズIDプライム、SECURITY ACTION、納税証明書などの準備を始める
  7. 交付決定前に契約・発注・支払いをしないよう、社内の購買・経理ルールを共有する

この補助金は、単なるIT購入費の補助ではありません。複数者で業務の流れやデータ活用をそろえ、生産性向上を説明できるかが問われます。建設企業にとっては、管理部門、経理、営業、協力会社との調整を早めに始めることが重要です。

自社で使える可能性を整理する

複数者連携の補助金は、単独申請の補助金よりも準備事項が多くなります。代表事業者の負担、参画事業者の書類回収、ITツールの利用範囲、交付決定後の発注管理まで、最初に整理しておくべき論点がはっきりしています。

「自社が代表になるべきか」「参画事業者として加わる形が現実的か」「このIT投資が補助対象経費に合うか」を早めに確認したい場合は、制度要件と事業計画を一緒に棚卸ししておくと判断しやすくなります。無理な営業はいたしませんので、必要な範囲で状況整理にご活用ください。

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