前提

売上約140億円から2030年に450億円を目指し、10億〜50億円の工事へ踏み出す全国施工会社の現在地

全国に施工拠点を持ち、1,000人弱の技術者を抱える、ある建設・電気通信会社があります。組織再編を経て、本年度は売上約190億円、2030年には約450億円を目指す方針です。

これまでの主力は、全国数百店舗にカメラやサイネージを設置するような電気通信工事でした。1件あたりの金額は比較的小さくても、全国一斉に施工することで売上を積み上げるモデルです。

一方、今後の成長を考えると、小口工事だけでは目標との距離を埋めにくくなります。そこで視野に入っているのが、建築や電気を含む10億〜50億円規模の工事です。実際に、2メガワット級、建設工事だけで10億円台となるデータセンターにも取り組んでいました。

ただし、社員数と大型工事を納められる人数は同じではありません。建築、電気、電気通信の有資格管理者は、それぞれ数人に限られていました。

「2メガワット級なら対応できます。ただ、10メガ、20メガとなると、今の体制では難しいと思います」

会社全体の人数が多くても、大型工事を任せられる管理者が少なければ、受注できる案件規模には上限があります。 この会社では、各工種の管理者を10人前後まで増やす構想が動き始めていました。

1週間で 19件の相談 がありました

  • 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
  • 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
  • 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
  • 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
  • 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
  • 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
  • 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
  • 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
  • 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
  • 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
  • 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
  • 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
  • 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
  • 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
  • 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
  • 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
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課題

管理者を10人前後まで増やしても、受注がなければ人が余るというジレンマ

採用を先に進めるべきか、案件獲得を先に進めるべきか。この二択だけで考えると、どちらにも大きな不確実性が残ります。

管理者を先に採用すれば、受注に耐えられる施工体制をつくれます。しかし、想定した案件を獲得できなければ、経験豊富な人材に任せる現場がありません。固定的な人員だけが先に増える状態になります。

反対に、30億円規模の工事を先に取れば売上は立ちますが、配置できる管理者や協力会社が不足すると、現場を納める難易度が一気に上がります。実際、この会社には30億円前後の建築工事の相談が複数寄せられていたものの、管理者不足を理由に受け切れない状況がありました。

担当者の言葉が、この悩みを端的に表しています。

「建築や電気通信で10人ずつ雇おうという話はあります。でも、逆に雇ってしまったら仕事はあるのか、という問題もあります」

採用か営業かを先に決めるのではなく、どの案件がいつ受注に近づき、その時点で誰を配置できるかを一つの計画として扱う必要があります。

大型工事では、単純な人数だけを見ても判断できません。少なくとも、次の条件がそろって初めて「施工できる体制」になります。

  • 必要な資格を持つ管理者がいる
  • 同程度の案件を扱った経験がある
  • 着工時期に既存現場から配置転換できる
  • 対象地域で必要な協力会社を確保できる
  • 建築、電気、電気通信の各工種をまとめられる

1,000人弱の技術者がいても、大型建築工事の管理者が別現場に入っていれば、新しい案件には配置できません。施工キャパシティーは総人数ではなく、「案件の条件を満たし、着工時期に配置できる人数」で捉えることが重要です。

背景

組織再編で売上目標が大きくなった一方、案件構成と採用計画がまだ連動していない状態

この会社で採用と営業の順番が決めにくかった背景には、組織再編直後という事情がありました。

再編前は、売上約50億円から次年度60億円を目指し、利益率のよい電気通信工事を積み上げる計画でした。全国の店舗工事を数百件単位で受注する、従来の強みを生かした方針です。

ところが、組織再編によって会社全体の売上目標が大きくなりました。従来のペースでは届きにくいため、「30億円、40億円規模の建築工事を増やす必要がある」という認識に変わっていきます。

一方で、目標売上のうち、データセンター、建築、電気、電気通信をそれぞれいくらにするのかは、まだ具体化の途中でした。採用も、どの部門に何人必要なのかを全社で統一する段階には至っていません。

「今までのように細かい工事を積み上げているだけでは難しい。でも、大きい工事は今の管理者体制では、既存現場が終わらないと取りに行けません」

ここで問題になるのは、採用活動そのものではありません。目標売上が、案件規模・工種・地域・着工時期まで分解されていないため、必要な管理者数を決められないことが本質です。

営業側には、協力会社から持ち込まれる10億〜30億円規模の相談があります。施工側には、現在進行中のデータセンター工事があり、管理者が固定されています。さらに、50億円規模になると、価格だけでなく同規模案件の経験も発注者から見られます。

この三つを別々に管理すると、営業は「案件があるから取りたい」、施工は「今の体制では受けられない」、採用は「何人採ればよいか決められない」という状態になりがちです。

営業、採用、施工管理が別々に最適化されている限り、「人が先か、案件が先か」という問いには答えが出ません。

解決

案件規模・工種・地域ごとの営業パイプラインに、着工時点の施工キャパシティーを重ねる進め方

最初に行いたいのは、採用人数を決めることではなく、売上目標を案件の組み合わせに置き換えることです。

たとえば、目標売上と現在の見込みとの差額について、次の項目まで分解します。

  • 既存の電気通信工事で積み上げる売上
  • 10億円前後の建築・電気工事で積み上げる売上
  • 30億〜50億円規模の大型案件で積み上げる売上
  • 対象とする工種と地域
  • 受注予定時期と着工予定時期

「売上を増やす」ではなく、「どの地域で、どの工種の、いくらの案件を、いつ何件取るか」まで置き換えると、必要な施工体制を逆算できます。

次に、営業案件と施工体制を同じ表で管理します。項目は複雑にしすぎず、以下をそろえるだけでも判断しやすくなります。

営業側で見る項目

施工側で見る項目

案件規模

必要な管理者数と資格

工種

同規模工事の経験者

施工地域

対応できる協力会社

提案・見積もり・内定などの進捗

配置できる時期

受注確度

不足する人数・機能

着工予定時期

既存現場の終了予定

受注確度は、「情報収集中」「提案予定」「見積もり提出済み」「条件調整中」など、社内で共通の段階を設けます。各案件の見込額に受注確度を掛ければ、営業パイプラインがどれだけ現実的な売上につながりそうかを見られます。

施工側では、社員数ではなく、着工予定月ごとの配置可能人数を置きます。協力会社についても、登録社数ではなく、地域・工種・施工規模ごとに実際に動ける会社を整理します。

見るべきなのは「案件総額」と「社員総数」ではなく、「受注確度を踏まえた着工予定」と「その月に配置できる施工体制」の重なりです。

そのうえで、採用、協力会社開拓、案件獲得を次の順番で連動させます。

  1. 狙う案件の規模・工種・地域を絞る

10億円案件と50億円案件では、必要な経験や管理体制が異なります。まず、自社の実績から一段上で、受注可能性のある領域を定めます。

  1. 営業案件を着工時期と確度で並べる

相談段階の案件と、見積もり提出後の案件を同じように扱わず、実現可能性を分けて管理します。

  1. 不足する管理者と協力会社を案件別に出す

「建築管理者を10人採る」と一括りにせず、どの案件の、どの時期に、何人不足するかを明確にします。

  1. 受注前は候補者と協力会社の接点を増やす

すぐに全員を採用するのではなく、採用候補者との面談や、不足地域の協力会社開拓を先行させます。

  1. 案件の確度が上がった段階で採用と配置を決める

見積もり提出や条件調整まで進み、着工時期が見えてきた案件に合わせて採用判断を行います。

この進め方なら、採用を受注後まで完全に止める必要はありません。反対に、案件の裏付けがないまま、目標人数だけを先に採用する必要もなくなります。

また、社員採用だけに寄せず、協力会社の新規開拓や既存工事会社との連携も組み合わせられます。実際、この会社でも、自社採用に加えて、協力会社との関係強化や工事会社との連携が選択肢に入っていました。

継続受注が見込める中核工種は採用で厚くし、案件や地域による変動が大きい部分は協力会社で補う、という切り分けが現実的です。

まとめ

建設会社にとって、「人を先に増やすか、案件を先に取るか」は、単純な二者択一ではありません。

大型案件を取るには管理者と実績が必要です。一方、管理者を採用し続けるには、その経験を生かせる案件が必要です。この循環をつなぐには、売上目標、営業パイプライン、施工キャパシティーを同じ時間軸で見る必要があります。

整理の起点は、次の三つです。

  • 売上目標を案件規模・工種・地域・着工時期に分解する
  • 営業案件を進捗と受注確度で可視化する
  • 必要資格、経験、配置時期、協力会社まで含めて施工能力を把握する

採用と営業の順番を一度で決めるのではなく、案件の確度に応じて採用・協力会社開拓・受注活動を段階的に動かすことが、先行採用と過剰受注の両方を抑える基本です。

自社に合う採用と案件獲得の組み方を整理するために

「採用人数の目標はあるが、任せる案件まで見えていない」「案件の相談は来るものの、どこまで受けてよいか判断しにくい」という段階では、営業と施工を分けずに整理することが大切です。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の案件獲得、採用、協力会社開拓、組織づくりを横断し、仕事をつくる側と納める側の計画を整えるところから実行まで支援しています。

自社の場合は何から整理すべきか、まだ社内方針が固まっていない段階でも構いません。 建設業界の経営者の懐刀として、ものづくりに集中できる建設業界を目指し、一緒に次の打ち手を考えます。無理に話を進めることはありませんので、状況整理の場として気軽にお声がけください。

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