年間を通じた造船案件がある一方、社長を含む4名ほどで複数の電気工事を回している会社
九州北部にある、社長を含めて4名ほどの電気工事会社です。住宅、店舗、工場などの電気設備工事に加え、地中への埋設工事まで自社で対応しています。建築側では一人親方や協力会社に応援を頼みながら、案件ごとに施工体制を組んでいます。
もう一つの柱として取り組んでいるのが、造船所内の電装工事です。こちらは年間を通じて仕事があり、すでに1名を配置しています。上位会社からは以前から増員を求められており、会社としては追加で3名ほどを採用し、4名程度の体制にしたいと考えています。
「造船の元請から、人を増やしてくれとずっと言われています。仕事は年間を通してあるんです」
現在の年商は4,000万円前後。将来的には1億円規模も視野にありますが、具体的な売上計画より先に、目の前の仕事へ配置する人が足りていません。求人はハローワークや高校などに継続して出しているものの、応募はほとんどない状態です。
造船の現場には資格がなくても担当できる作業があり、未経験者の受け入れも可能です。さらに、上位会社側に指示役がいるため、自社の社長や既存社員が付き切りで教育する必要もありません。
仕事の継続性、未経験者を受け入れられる現場、教育を担う指示役がそろっており、採用後の配置先は比較的明確な状態です。
1週間で 19件の相談 がありました
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- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
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「人がいれば仕事は増える」を採用人数と利益の計画に落とし込めていない状態
この会社の課題は、仕事を獲得できないことではありません。受注の見込みはあるものの、何人を、いつまでに、どの採算条件で採るかが決まっていないことです。
上位会社から増員を求められている造船案件に加え、建築側でも「人を抱えている会社へ案件を回す」という取引先があります。人員が増えれば、造船と建築の両方で売上を伸ばせる可能性があります。
一方で、「人が増えれば売上も増える」という見通しだけで先に採用すると、想定した時期に仕事へ入れなかった場合、人件費が先行します。反対に、受注が完全に確定するまで採用を待つと、採用に時間がかかり、元請からの増員要請へ応えられません。
必要なのは、売上目標から漠然と採用人数を決めることではありません。案件ごとに、次の数字をつなげることです。
- いつから、何人を配置できる仕事なのか
- その仕事は何カ月、あるいは何年続く見込みなのか
- 未経験者を配置できるのか
- 誰が現場で指示や教育を担うのか
- 募集開始から採用、現場配置まで何日かかるのか
- 1名を配置したとき、目標とする利益率を残せるのか
相談企業では、利益率2割前後を一つの目標にしていました。採用人数を決める際も、この基準を外すことはできません。
採用人数は「欲しい売上」ではなく、「案件別の必要人員と、採用後も残せる利益」から逆算する必要があります。
造船は安定しているものの売上構成はまだ小さく、建築案件との人員配分も定まっていない状況
造船の仕事は年間を通じてありますが、現在は1名しか配置していないため、売上全体に占める割合はまだ2〜3割程度です。会社の稼働感としては造船と建築が半々でも、売上は店舗や住宅、工場などの電気工事が中心になっています。
建築側では、店舗の新築工事と次の店舗工事が重なる時期もあり、社長自身が複数の現場を回しています。長期出張の話があっても、地元を何カ月も空けることは難しく、受けられる仕事には物理的な限界があります。
そのため、社員採用の目的は一律ではありません。造船では、年間を通じて配置しやすい社員を増やしたい。一方、建築では案件の変動があるため、一人親方や協力会社による応援のほうが組みやすい。この違いがあります。
「建築のほうは一人親方が多いので、応援を入れて回すほうが現実的です。採用した人は造船に入れたいですね」
この方針は合理的です。ただし、造船へ3名を追加するなら、単に求人票へ「3名募集」と書くだけでは足りません。元請からの増員要請が、具体的にいつから何名分の稼働へ変わるのかを確認する必要があります。
また、過去には採用できた人が離職した経験もあります。現在残っている社員は、個人事業の頃から一緒に働いてきた関係です。採用できるかだけでなく、入社後にどの現場へ配置し、誰の指示で仕事を覚えてもらうかまで決まっていることが重要です。
今回の造船案件では、上位会社側の指示役のもと、2名ずつに分かれて作業へ入れる想定があります。これは小規模な会社にとって大きな条件です。社長が建築現場を離れて教育へ回らなくても、未経験者を配置できる可能性があるからです。
社員は継続性の高い造船へ、繁閑差のある建築は協力会社と連携して対応するという人員区分が、採用計画の土台になります。
案件を確度別に分け、必要人員・配置時期・利益率から1名ずつ採用を判断する進め方
採用と受注を結び付けるには、まず案件を「ある・ない」の二択で見ないことが大切です。少なくとも、次の3段階に分けて整理します。
- 配置確定案件:開始時期、必要人数、稼働期間、取引条件が確認できている
- 増員見込み案件:継続的な仕事と増員要請はあるが、配置時期や人数が未確定
- 人員連動案件:人を抱えれば紹介される可能性はあるが、具体的な発注は未確定
採用計画の基礎にできるのは、原則として配置確定案件です。増員見込み案件は採用準備を始める根拠になりますが、全員を一度に雇う根拠にはしません。人員連動案件は売上の上振れ要素として扱い、採用後の固定費を支える前提からはいったん外します。
今回のように年間案件があり、追加で3名ほどを求められている場合は、上位会社と次の点を確認すると判断しやすくなります。
- 1人目、2人目、3人目を受け入れられる時期
- それぞれの想定稼働期間
- 未経験者でも担当できる作業範囲
- 指示役が担当できる人数
- 稼働日数や単価など、採算計算に必要な条件
そのうえで、1名ごとの収支を計算します。売上から給与だけを引くのではなく、会社負担の社会保険、交通費、装備、採用費、現場へ入るまでの待機期間なども含めて見ます。
「1名採用した場合でも目標利益率を確保できるか」を確認し、その条件を満たす人数までを採用枠にします。
採用にかかる期間も実績で管理します。募集開始、応募、面接、入社、現場配置の日付を記録すれば、自社では配置希望日の何カ月前から動くべきかが見えてきます。まだ実績が少ない場合は仮の日程を置き、応募が来るたびに更新すれば十分です。
この会社であれば、追加3名を一括の目標にせず、たとえば「まず1名を採用し、配置と採算を確認した後、次の採用枠を開く」という段階的な進め方が考えられます。採用が難しい状況では、結果的にも1名ずつ入社する可能性が高いため、現実の採用活動とも合いやすい進め方です。
管理表は複雑にする必要はありません。案件ごとに次の項目を1行で並べます。
案件 | 受注確度 | 開始時期 | 必要人数 | 未経験配置 | 指示役 | 採用期限 | 想定利益率 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
造船電装 | 配置確定・増員見込み | 要確認 | 追加3名 | 可能 | 上位会社側 | 逆算して設定 | 2割前後を基準 |
店舗・工場等 | 案件ごと | 変動 | 案件ごと | 要確認 | 自社側 | 必要時に判断 | 案件別に確認 |
受注表と採用表を別々に作るのではなく、一つの表で「案件、人数、期限、教育、利益」をつなげることがポイントです。
将来の売上目標も、この表を積み上げて設定します。1億円を先に掲げて必要人数を割り出すのではなく、造船へ何名配置でき、建築を社員と協力会社でどこまで回せるかを確認し、その施工能力から売上を積み上げます。
まとめ
仕事があるのに人手が足りない会社では、採用を急ぐべきか、受注確定を待つべきかで迷いやすくなります。ただし、すべての案件を同じ確度で扱わなければ、判断は整理できます。
今回の会社には、年間を通じた造船案件、上位会社からの増員要請、未経験者を配置できる作業、現場側の指示役という好条件があります。一方、追加人数の受け入れ時期や1名ごとの採算は、さらに具体化する必要があります。
先に人を採る判断がしやすいのは、配置時期と稼働期間が見え、教育担当者が決まり、採用後も目標利益率を残せる場合です。
反対に、増員の話が口頭段階で、開始時期や人数が決まっていない場合は、一括採用ではなく、採用準備と条件確認を並行して進めるほうが現実的です。
「何人採りたいか」ではなく、「どの案件へ、いつ、何人を、いくらの採算で置けるか」まで決めることで、採用計画と受注計画が一本につながります。
自社の受注と採用人数を一緒に整理したいときは
仕事の見込みはあるものの、「先に採用してよいのか」「何人までなら固定費を持てるのか」が見えないことは珍しくありません。特に少人数の会社では、社長が現場を回しながら受注、採用、教育まで考えるため、数字を整理する時間そのものが取りにくいものです。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、人材、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。採用だけを切り離さず、案件別の必要人員や採算、教育体制を含めて一緒に整理できます。
「うちの場合は何人が適正なのか」「何から数字にすればよいかわからない」という段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、受注と採用の整理先の一つとして気軽にお声がけください。