国土交通省は、公共事業におけるピュア型CM方式の活用実態調査(令和8年度)の結果を公表しました。建築事業・土木事業ともに、平成26年度の品確法改正以降、CM方式の導入実績は増加傾向にあります。
公表日 | 令和8年9月30日 |
調査名 | 公共事業におけるピュア型CM方式活用実態調査(令和8年度) |
対象業務 | 令和7年度末までに受注した公共事業におけるピュア型CM業務 |
有効回答数 | 852件・49社 |
内訳 | 建築事業599件・23社、土木事業253件・26社 |
主な結果 | 建築・土木ともCM方式の導入実績が増加傾向 |
建築事業の特徴 | 市区町村、政令市、その他公的機関で発注者の約9割。学校、庁舎等、病院等で施設用途の約6割 |
土木事業の特徴 | 東北で全体の約7割。災害復旧事業が多いが、近年は新設・維持管理事業での活用も増加 |
ピュア型CM方式とは、発注者の補助者・代行者であるCMR(コンストラクション・マネージャー)が、技術的な中立性を保ちながら発注者側に立ち、設計の検討、工事発注方式の検討、工程管理、コスト管理などの全部または一部を行う方式です。
今回の公表は、単なる調査結果に見えます。ですが、公共工事を受注する建設会社にとっては、発注者側の体制が変わりつつあるサインでもあります。
1週間で 19件の相談 がありました
- 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
- 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
- 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
- 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
- 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
- 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
- 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
- 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
- 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
- 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
- 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
- 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
- 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
- 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
- 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
- 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
- 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
- 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
- 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
発注者側に「工程・コストを見る専門機能」が入り始めている
今回の調査で注目したいのは、CM方式が基本計画・基本設計など、事業の上流段階から活用されるケースが多いという点です。
建築事業では、約8割のケースが基本計画・基本設計等の上流段階からCM方式を活用しています。特に基本計画段階からの活用も約5割を占めています。
土木事業でも、約5割のケースが基本計画・基本設計等の上流段階からCM方式を活用しています。また、工事施工の段階を含むケースも多く、全体の約9割を占めています。
これは、中小建設業にとって何を意味するのでしょうか。
一言でいえば、公共工事で「発注者だけ」と向き合う場面から、「発注者+CMR」と向き合う場面が増える可能性があるということです。
もちろん、すべての公共工事がすぐにCM方式になるわけではありません。ただ、学校、庁舎、病院、災害復旧、新設・維持管理といった分野で実績が積み上がっていることは押さえておきたいところです。
建築では市区町村案件に広がっている
建築事業では、発注者の構成に特徴があります。
市区町村、政令市、その他の公的機関で全体の約9割を占めています。施設用途では、学校、庁舎等、病院等で全体の約6割です。
つまり、CM方式は大規模な国の事業だけの話ではありません。地域の建設会社が関わる可能性のある、市役所・町役場の庁舎、学校、病院関連施設などでも活用が進んでいます。
また、人口10万人以下、建築技師数10人以下の小規模な団体でも活用が進んでいるとされています。
ここは大事です。
地方自治体では、建築職員や技術職員が限られています。大きな施設整備を進めるとき、発注者だけで工程、コスト、設計調整、発注方式を管理するのは簡単ではありません。そこにCMRが入る流れは、今後も一定程度続く可能性があります。
中小建設業としては、地域の公共建築でCMRが関与する案件が出てきたときに、従来以上に説明資料・工程根拠・変更理由の整理が求められると見ておくとよさそうです。
土木では災害復旧から新設・維持管理へ広がりつつある
土木事業では、これまで災害復旧事業での活用が多い傾向があります。
今回の調査でも、事業区分では災害復旧事業が全体の約5割を占めています。地域別では、福島県、宮城県での実績が多く、東北で全体の約7割です。
一方で、国土交通省は、近年は新設・維持管理事業での活用が増加していると整理しています。さらに、災害復旧事業では石川県の市町の活用実績が初めて追加されています。
これは、災害時のマンパワー不足を補うための活用に加えて、通常のインフラ整備や維持管理でもCM方式が使われ始めている、という見方ができます。
土木系の中小建設業にとっては、災害復旧、道路、河川、新設・維持管理の現場で、発注者支援の専門家が工程やコストを見ている前提で動く場面が増えるかもしれません。
中小建設業が見ておきたい実務ポイント
今回のニュースを、自社の経営に引き寄せるなら、見るべきポイントは3つです。
1つ目は、公共工事の発注体制が高度化していることです。
CMRが入る現場では、工程やコスト、設計変更、関係者調整について、より整理された説明が求められる可能性があります。現場感覚だけでなく、根拠を持って話す力が重要になります。
2つ目は、上流段階からの調整が増えていることです。
CM方式は、基本計画・基本設計の段階から入るケースが多くあります。施工段階だけでなく、設計意図、施工条件、コスト制約、工程リスクが早い段階から整理されやすくなります。受注者側も、見積段階・質疑段階・契約前後の確認の質を上げる必要があります。
3つ目は、地域の自治体案件にも関係してくることです。
特に建築では、市区町村や政令市、学校・庁舎・病院等での活用が多く見られます。地域密着で公共建築に関わる会社ほど、CM方式の広がりを「遠い話」と見ないほうがよさそうです。
いま社内で確認しておきたいこと
すぐに大きな制度対応が必要、という話ではありません。
ただし、公共工事を受注している会社であれば、次の点は社内で確認しておく価値があります。
- 工程表の根拠を説明できるか
- 見積の前提条件を明文化できているか
- 設計変更や追加対応の記録を残せているか
- 発注者、設計者、CMRなど複数関係者との協議内容を整理できているか
- 現場代理人や主任技術者だけに調整負荷が集中していないか
CM方式が広がるほど、現場は「ただ施工する場所」ではなく、関係者間で情報をそろえながら進めるプロジェクトになります。
これは負担でもありますが、チャンスでもあります。
説明力、記録力、工程管理力がある会社は、発注者側から見て安心して任せやすい会社になります。公共工事で選ばれ続けるための力は、施工品質だけでなく、プロジェクトを前に進める力へ広がっています。
自社の公共工事対応を整理するきっかけに
今回の調査結果は、CM方式そのものを受注する会社だけの話ではありません。公共工事に関わる中小建設業にとって、発注者側の体制変化を読む材料になります。
「うちの地域では関係があるのか」「学校や庁舎案件で何を準備すべきか」「工程管理や変更対応の社内ルールをどう整えるか」。そうした整理をしておくと、今後の公共工事対応が少し楽になります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。公共工事の対応力を高めたい、社内の工程管理や原価管理を見直したい、という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは自社の場合どう考えるべきかを整理する場としてご活用ください。