国土交通省は令和8年9月29日、「国土交通月例経済(令和8年9月号)」を公表しました。建設分野では、2026年7月の建設工事受注、住宅着工、民間建築物の着工床面積、リフォーム・リニューアル工事、建設工事費デフレーターなどが整理されています。

発表資料

国土交通月例経済(令和8年9月号)

公表日

令和8年9月29日

主な対象データ

2026年7月の受注・着工、2026年6月の工事費デフレーター、2026年度第1四半期のリフォーム・リニューアル工事

建設工事の元請受注高

7兆1,398億円(前年同月比1.4%減)

公共機関からの元請受注高

2兆1,428億円(前年同月比0.9%減)

民間等からの元請受注高

4兆9,969億円(前年同月比1.6%減)

下請受注高

3兆7,948億円(前年同月比12.3%増)

新設住宅着工戸数

66,439戸(前年同月比8.2%増)

建設工事費デフレーター

建設総合125.9ポイント(前年同月差4.8ポイント増)

今回の数字を中小建設業の経営目線で見ると、ポイントは単純な「市場が良い・悪い」ではありません。元請受注はやや減少しつつ、下請受注は大きく増え、住宅・民間建築・非住宅リフォームには伸びが見られ、同時に工事費は上がっているという組み合わせです。

つまり、仕事の量だけを見て安心する局面ではなく、どの分野で受注するか、いくらで受けるか、どの体制で消化するかが、これまで以上に利益を左右します。

1週間で 20件の相談 がありました

  • 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
  • 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
  • 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
  • 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
  • 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
  • 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
  • 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
  • 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
  • 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
  • 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
  • 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
  • 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
  • 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
  • 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
  • 9月19日解体工事会社滋賀県業務効率化システムの相談
  • 9月18日工務店神奈川県原価管理の相談
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まず見るべきは「元請減・下請増・コスト上昇」の同時進行です

2026年7月の建設工事の元請受注高は、前年同月比1.4%減でした。内訳を見ると、公共機関からの受注高は0.9%減、民間等からの受注高は1.6%減です。大きな落ち込みではありませんが、元請側の受注は前年を下回っています。

一方で、下請受注高は前年同月比12.3%増です。

この組み合わせから、中小建設業がまず意識したいのは、現場の発注・施工需要は動いている一方で、元請としての受注環境はやや選別的になっている可能性があるという点です。

もちろん、月次統計は単月で過度に判断すべきものではありません。ただ、下請受注が増えている局面では、仕事の引き合いが増える会社も出てきます。そのときに重要なのは、受注量ではなく採算です。

「忙しいのに利益が残らない」状態を避けるには、見積段階での労務費・材料費・外注費の更新が欠かせません。

住宅着工は増加。ただし内訳と地域差を見ておきたいです

2026年7月の新設住宅着工戸数は66,439戸で、前年同月比8.2%増でした。内訳では、持家が0.4%増、貸家が10.0%増、分譲住宅が14.6%増となっています。給与住宅は24.4%減です。

住宅関連の工事に関わる会社にとっては、全体として前向きな数字です。特に、貸家と分譲住宅の伸びは、住宅設備、内装、外構、電気、給排水、リフォーム周辺の需要にも波及しやすい領域です。

ただし、地域別に見ると差があります。

東京圏の新設住宅着工戸数は前年同月比13.8%増、大阪圏は19.3%増でした。一方、名古屋圏は5.7%減です。その他地域は2.7%増でした。

ここで大事なのは、全国平均だけを見ないことです。自社の商圏が、全国の伸びと同じ動きをしているとは限りません。

住宅会社、専門工事会社、地域密着の工務店は、自社エリアの住宅着工、競合の動き、元請からの発注量、協力会社の稼働状況を合わせて見る必要があります。

非住宅・リフォームは注目領域です

民間建築主による建築物の着工床面積は、2026年7月に784万㎡となり、前年同月比10.6%増でした。

特に非居住用建築物では、着工床面積が256万㎡、前年同月比17.4%増となっています。内訳では、事務所が30.3%増、店舗が5.1%増、工場が29.2%増、倉庫が12.1%増です。

また、2026年度第1四半期の建築物リフォーム・リニューアル工事の受注高は5兆427億円で、前年同期比22.8%増でした。住宅は7.6%減でしたが、非住宅建築物は34.9%増です。

この数字は、中小建設業にとって重要です。新築だけでなく、非住宅の改修・更新・用途変更・設備更新の領域に仕事が集まりやすい可能性があるためです。

特に、工場、倉庫、事務所、店舗まわりの工事は、建築一式だけでなく、電気、空調、給排水、内装、塗装、防水、外構、解体、足場など、多くの専門工事会社に関係します。

今後の営業を考えるうえでは、既存顧客に対して、単発工事だけでなく、建物維持・設備更新・小規模改修を継続的に受けられる関係づくりを進める価値があります。

工事費デフレーターの上昇は、見積の前提を変えるサインです

2026年6月分の建設工事費デフレーターは、建設総合で125.9ポイントとなり、前年同月差4.8ポイント増でした。建築総合は126.0ポイント、土木総合は125.1ポイントで、いずれも前年同月差で上昇しています。

工事費デフレーターは、建設工事にかかる費用の動きを見る指標です。ここが上がっているということは、経営実務では、過去の単価感覚のまま見積を出すと、利益が薄くなるリスクが高いということです。

中小建設業では、長年の取引関係や現場感覚で価格を決める場面も少なくありません。しかし、材料費、外注費、運搬費、労務費が動いている局面では、経験値だけではズレが出ます。

確認したいのは、次のような点です。

  • 見積単価を、直近の仕入・外注単価に更新しているか
  • 見積有効期限を設定しているか
  • 長期工事で価格変動をどう扱うか、契約条件を確認しているか
  • 実行予算と実際原価の差を、工事中に追えているか
  • 追加・変更工事を、現場任せにせず請求まで管理しているか

受注環境が動いているときほど、利益管理の差が出ます。仕事を取る力と同じくらい、利益を残す仕組みが重要になります。

中小建設業が今月の数字から考えたいこと

今回の月例経済は、建設市場全体が一方向に動いているというより、分野ごとに濃淡があることを示しています。

元請受注は前年同月比でやや減少。下請受注は増加。住宅着工は増加。非住宅建築物や非住宅リフォーム・リニューアルは伸びが目立つ。工事費は上昇傾向です。

この環境で中小建設業が見るべきなのは、「売上を増やすかどうか」だけではなく、「どの売上を選ぶか」です。

特に、次の3点は経営会議や幹部会議で確認しておきたいところです。

  1. 自社の主力工種・商圏は、今回伸びている領域と重なっているか
  2. 受注が増えた場合に、人員・協力会社・資金繰りが耐えられるか
  3. 工事費上昇を見積・契約・原価管理に反映できているか

市場が伸びている領域に入っていても、単価が合わなければ利益は残りません。逆に、全国統計では目立たない分野でも、地域や顧客との関係性によって安定した利益を出せる会社もあります。

大切なのは、統計をそのまま受け取ることではなく、自社の受注台帳、見積履歴、粗利率、工事別原価と照らし合わせることです。

自社の受注と利益管理を一度整理してみる

今回のような月例統計は、日々の経営判断を見直すきっかけになります。特に、受注はあるのに利益が残りにくい、見積単価の更新が追いつかない、協力会社の確保が難しくなっている、といった課題は、多くの中小建設企業に共通します。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで、現場と経営を横断して整理する支援を行っています。

「うちの場合は、どの数字を見ればよいか」「今の見積や原価管理で十分なのか」「受注を増やす前に何を整えるべきか」といった段階でも構いません。無理な営業はいたしませんので、考えを整理する相手が必要なときは、お問い合わせはこちらからご連絡ください。