年商4〜5億円からの拡大を目指す、関西の弱電・通信工事会社の現在地
兵庫県を拠点に、住宅の弱電・通信設備工事やキャリア関連工事を手がける会社があります。複数のハウスメーカーなどから工事を受注し、今後は売上を8億円規模まで伸ばす構想を持っています。
ただし、経営者が重視しているのは売上だけではありません。
「利益率が落ちるなら、大きな案件でも断ります」
案件の相談自体は増えており、データセンターなどの大型工事が持ち込まれることもあります。一方で、職人を配置して工事をこなしても、条件次第では利益が残りません。目指しているのは、単純な増収ではなく、利益率を確保したまま売上を伸ばせる受注構成です。
実際、利益を出しやすい工事について、経営者は次のように話していました。
「やっぱり、自分たちで工事内容を見積もれる案件ですね。現場に対してこちらで予算を組めれば、しっかり利益が出ます」
一方、発注側が労務単価や請負金額を固定している工事については、「イレギュラーがあっても金額を上げにくく、利益率が上がらない」と感じています。
受注前に自社で工数と価格を組み立てられるかどうかが、売上を利益に変える最初の分岐点になっています。
1週間で 17件の相談 がありました
- 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
- 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
- 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
- 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
- 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
- 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
- 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
- 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
- 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
- 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
- 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
- 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
- 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
- 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
- 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
- 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
- 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
- 9月19日解体工事会社滋賀県業務効率化システムの相談
- 9月18日工務店神奈川県原価管理の相談
労務単価や請負金額が固定された案件で、イレギュラー費用を回収できない構造
単価固定の案件で利益が残りにくい理由は、契約上の金額と、現場で実際に発生する負担にずれがあるためです。
見積もり時点では、施工そのものに必要な人数と日数を中心に考えがちです。しかし、実際の現場では、施工以外にも次のような負担が生じます。
- 前工程の遅れによる待機や再訪問
- 工程変更に伴う職人の組み替え
- 複数現場を回るための移動時間と車両費
- 当初の範囲に含まれていなかった追加作業
- 現場調整、報告、請求確認などの管理工数
- 工期の長期化による資金回収の遅れ
この会社でも、集合住宅の現場について「工程が1週間以上ずれることがあり、最低でも2、3現場を同時に走らせないと厳しい」と話していました。前工程が終わっていなければ、予定していた日に施工できません。それでも職人の人件費や移動費は発生します。
単価を自社で決められる工事なら、こうした条件を見積もりへ反映できます。一方、労務単価や一式金額が決められている工事では、追加負担が発生しても請負金額を変えられない場合があります。
その結果、受注額は積み上がっているのに、完工後に確認すると想定した粗利が残っていない状態になります。
単価固定案件の採算は、施工費だけでは判断できません。待機、再訪問、移動、管理まで含めた総工数で見る必要があります。
「月に何件あるか」よりも、工程の安定性と1件当たりの負担が利益を左右する実態
案件数が多ければ、売上の見通しは立てやすくなります。この会社でも、既存の住宅関連工事は年間の受注規模をある程度予測でき、専属に近い外注職人を確保する材料になっています。
ただし、件数が多いことと、利益が安定することは同じではありません。
新しい取引先を開拓する際には、年間4,500万円程度の売上が最低限の目安として挙がりました。月間では400万円前後です。既存案件に当てはめると、関西一円で月90件前後が同時に動くイメージでした。
一方で、経営者は「件数が60件や70件でも、単価が高くて同じ売上になるなら、そのほうが助かる」とも話しています。
件数が増えるほど、職人の手配、現場間の移動、工程確認、報告や請求といった管理負担も増えます。月90件で400万円をつくる取引と、月60件で同額をつくる取引では、売上が同じでも必要な管理工数は異なります。
また、工程が安定しなければ、案件数があっても職人を効率よく配置できません。単発工事が続き、次の現場まで間が空けば、専属外注をつなぎ止めることも難しくなります。反対に、安定した工事量があり、工程変更が少なければ、人員配置の精度が上がり、利益も読みやすくなります。
つまり、受注判断で見るべきなのは売上総額だけではありません。
必要売上を「単価×件数」だけで考えず、1件当たりの工数、工程の安定性、管理負担まで含めて比較することが大切です。
最低粗利率から必要売上と施工件数を逆算する受注前の採算確認
新規案件は、受注してから利益を確認するのではなく、受注前に「どの条件なら引き受けられるか」を数字で決めておくと判断しやすくなります。
まずは、案件ごとの見込原価を次の項目に分けます。
- 施工工数
予定人数と予定日数に、社内で定めた労務原価を掛けます。職人への支払額だけでなく、会社が負担する関連費用を含めて考えます。
- 外注費と材料費
協力会社への支払い、材料、工具や消耗品など、案件に直接ひもづく費用を入れます。
- 移動費
車両費、高速代、駐車場代に加え、移動時間も工数として扱います。広域対応の案件ほど、この差が利益に表れます。
- 待機・再訪問の見込費用
過去に工程変更が多かった発注者や工事種別では、平均的な待機時間や再訪問回数を確認し、見込原価へ加えます。
- 追加作業の扱い
追加費用を請求できる作業と、固定金額の範囲に含まれる作業を受注前に分けます。追加請求の条件が曖昧な場合は、売上に含めず採算を見るほうが安全です。
- 管理工数
現場調整、職人手配、写真整理、報告、請求確認にかかる時間を見込みます。小口案件が多い取引では、特に見落としやすい原価です。
これらを請負金額から差し引けば、受注前の見込粗利が出ます。
見込粗利=請負金額-施工工数-外注費・材料費-移動費-待機費-管理工数
次に、自社として確保したい最低粗利率を決めます。率は一律に決めるのではなく、工程の安定性や追加請求のしやすさに応じて調整します。
たとえば、次のような案件は、最低粗利率を高めに置く考え方が合います。
- 工程変更や待機が多い
- 遠方で移動負担が大きい
- 追加作業の請求条件が曖昧
- 1件ごとの単価が低く、管理件数が多い
- 入金までの期間が長い
反対に、年間の施工量が見通せて職人を安定配置でき、工程変更も少ない案件であれば、単独案件の粗利率だけでなく、年間での稼働安定効果も含めて判断できます。
そのうえで、取引全体の必要売上と施工件数を逆算します。
- 年間必要売上=その取引のために増える固定的な負担÷目標粗利率
- 月間必要売上=年間必要売上÷12カ月
- 必要施工件数=月間必要売上÷1件当たりの平均単価
ただし、件数を出した後には、必ず必要人数と管理負担を確認します。月90件を受けるために新たな職人や管理担当者が必要なら、その費用も原価へ戻します。
受注判断では、少なくとも次の4点をそろえて確認すると整理しやすくなります。
- 最低粗利率を上回るか
- 年間の必要売上を確保できるか
- 必要施工件数を現在の職人でさばけるか
- 工程変更や追加作業が発生しても利益を維持できるか
「案件があるから受ける」のではなく、最低粗利率・必要売上・施工件数の3つを満たすかで受注を判断する仕組みが必要です。
新しい取引先について詳細が分からない場合は、いきなり年間契約を前提にせず、まず少数の現場で実績を取る方法もあります。図面ごとの見積もりなのか、工事範囲ごとに予算が固定されるのか。工程はどの程度ずれるのか。追加作業は請求できるのか。1〜2件を施工すれば、机上の見積もりだけでは見えなかった実工数を確認できます。
試行施工では売上よりも、見積工数と実工数の差を記録することが、その後の受注条件を決める材料になります。
まとめ
売上が増えても利益が残らない場合、原因は受注量の不足ではなく、請負金額に含めていない負担にあるかもしれません。
自社で工事内容を見積もれる案件は、施工工数やイレギュラーを価格へ反映しやすく、利益を確保しやすい傾向があります。一方、労務単価や請負金額が固定された案件では、待機、再訪問、移動、追加作業、管理工数が自社負担になりやすくなります。
受注前には、次の順番で整理しておくと判断がぶれにくくなります。
- 施工以外の負担まで含めて見込原価を出す
- 案件条件に応じた最低粗利率を決める
- 年間・月間の必要売上を設定する
- 必要施工件数と必要人数を逆算する
- 少数案件で見積工数と実工数の差を確かめる
売上規模ではなく、利益を残せる条件を先に定めることが、無理のない事業拡大につながります。
自社に合う採算条件から、受注判断を整理するために
「待機や管理工数をどこまで原価に入れるべきか」「新しい取引先に、最低どれくらいの売上が必要か」など、採算条件は会社の人員体制や施工エリアによって変わります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理を、現場体制や人材配置、販路、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。自社の場合は何から数字にすればよいか分からない段階でも、一緒に整理できます。
無理にサービスをおすすめすることはありません。まずは現在の案件構成や受注基準を確認する場として、気軽にお声がけください。