年商1.5億円前後を社員3名と協力会社5〜6社で支える防水工事会社の受注構造
首都圏で防水工事を手掛ける、千葉県北西部のある専門工事会社があります。社員は社長を含む3名ほどで、現場では協力会社5〜6社と連携しています。アスファルト防水を強みに、ウレタン防水、シート防水、シーリングなどにも対応できる会社です。
社長自身も現場に入り、社員が職長として現場を見ながら、3〜6名程度の体制で施工しています。品質を重視し、自社の社員が動ける範囲で受注する姿勢を守ってきました。
売上は前期が約1.5億円、その前が2億円弱です。年間を通じて仕事は入っているものの、すべての時期が埋まっているわけではありません。
担当者の言葉にも、その状況が表れています。
「一年を通して仕事は入っています。ただ、間が空いて、仕事がない時期もあります」
受注の中心は、長く付き合っている特定の元請けと、案件を一式で受けて分離発注する外部会社です。過去にはエンドユーザーとの直接取引もありましたが、件数は多くありません。
一定の売上は確保できていても、受注経路が限られているため、取引先の動きがそのまま稼働率と売上に表れやすい状態です。
1週間で 17件の相談 がありました
- 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
- 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
- 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
- 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
- 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
- 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
- 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
- 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
- 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
- 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
- 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
- 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
- 9月19日解体工事会社滋賀県業務効率化システムの相談
- 9月18日工務店神奈川県原価管理の相談
- 9月17日工務店三重県業務効率化システムの相談
- 9月16日総合建築千葉県業務効率化システムの相談
- 9月16日空調設備工事会社岐阜県案件獲得の相談
- 9月16日総合建築埼玉県利益率向上の相談
- 9月15日防水工事会社愛知県人材確保の相談
- 9月15日総合土木福岡県業務効率化システムの相談
- 9月15日空調設備工事会社宮崎県人材育成の相談
- 9月14日外構工事会社静岡県案件獲得の相談
- 9月13日外構工事会社沖縄県案件獲得の相談
- 9月13日配管工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月13日総合土木大阪府業務効率化システムの相談
- 9月13日塗装工事会社愛知県協力会社探しの相談
仕事は年間で入っていても特定の元請けと社長の人脈から抜け出せない状態
この会社が感じていたのは、仕事がまったくないという悩みではありません。より正確には、社長の人脈と少数の取引先だけでは、受注量を自社で調整できないという課題です。
「これまでは社長の過去の付き合いで仕事をもらってきましたが、それだけでは限度があります」
「一本足打法でずっとやってきたので、市場環境が変わったときに売上が大きく落ちました」
特定の元請けから安定して発注を受けられること自体は、悪いことではありません。営業コストを抑えながら、現場の進め方や品質基準を理解し合えるため、専門工事会社にとって大切な取引関係です。
一方で、元請け側の受注量、発注方針、協力業者の選定基準が変わると、自社に問題がなくても案件が減る可能性があります。年間案件があるように見えても、月ごとの空きが埋まらないのは、受注の入口を自社で増減できないためです。
外部の案件紹介会社から仕事を得る経路もありますが、担当者は「最終的にはそこに頼らず、自分たちだけで営業したい」と話していました。
課題の中心は売上額そのものではなく、誰に、いつ、どの案件を提案するかを自社で決められる営業基盤がまだできていないことです。
社長が現場を担う少人数体制では営業先の開拓と案件管理が後回しになりやすい事情
受注が社長の人脈に偏った背景には、少人数の専門工事会社ならではの事情があります。
社長と社員は日中、現場に出ています。案件によっては、それぞれが別の現場で職長を務めます。施工できる工種は広くても、自社社員が現場にいない形では基本的に受注していません。
「社員職人が動ける範囲だけで受けています。現場にうちの社員がいないことは、現状ほとんどありません」
品質を守るうえでは筋の通った方針です。ただし、社長が現場、見積もり、取引先対応を兼ねると、新規営業に充てられる時間は限られます。そこで営業担当者を迎え、新しい元請けへの声掛けを始めた段階でした。
もう一つ重要なのは、案件数だけを増やせばよいわけではないことです。この会社は、社員が職長として入れること、得意な防水工事で品質を出せること、協力会社を含めて無理なく施工できることを重視しています。
新しい取引先から声が掛かっても、単価、材料支給の条件、工期、必要人数、現場の場所が合わなければ受注にはつながりません。反対に、条件を確認せず受けすぎれば、既存現場の品質にも影響します。
実際、新しい取引の話では「仮の現場で一度見積もりを出した方が、お互いに合うかどうかを判断しやすい」という意見が出ていました。
少人数の専門工事会社に必要なのは、問い合わせ件数を増やす営業ではなく、自社の施工条件に合う案件を継続的に選べる営業です。
既存顧客、新規元請け、直接取引を分けて管理し自社営業へ段階的に移す進め方
受注基盤を安定させるには、いきなり既存の元請けから離れるのではなく、営業経路を複数に分けて育てる進め方が現実的です。
既存顧客の深耕、新規元請けの開拓、エンドユーザーとの直接取引を同じ営業活動として扱わず、それぞれの役割を決めることが第一歩です。
1.既存顧客には、案件数ではなく先の予定を確認する
既存の主要元請けは、直ちに依存を解消すべき相手ではありません。まずは、案件予定を早めに共有してもらえる関係をつくります。
この会社では、元請けから施工の1〜2カ月前に案件相談を受け、その時点で対応可能か判断する流れが想定されていました。この期間を活用し、月ごとの稼働予定を見えるようにします。
確認したい項目は次の通りです。
- 施工予定月と工期
- 工種と施工面積
- 必要な人数
- 材料支給を含む発注条件
- 見積もり提出時期
- 受注確度
既存顧客への深耕は、売上比率をさらに高めることではありません。早めに予定を把握し、空きが生じる月を新規営業で補える状態をつくることが目的です。
2.新規元請けは、自社との相性を基準に優先順位を付ける
新規元請けを開拓するときは、会社の規模や知名度だけで営業先を決めない方が進めやすくなります。
今回のような防水工事会社であれば、次の条件が判断軸になります。
- 自社の得意工種である防水工事が継続的にあるか
- 自社社員が職長として入る体制を評価してもらえるか
- 3〜6名程度で対応できる案件があるか
- 主な施工エリアと現場所在地が合っているか
- 施工の1〜2カ月前に相談を受けられるか
- 単発の相見積もりだけでなく、継続発注の可能性があるか
最初から大型案件を狙う必要はありません。仮の案件や小規模な案件で見積もりを交わし、単価だけでなく、連絡の速さ、現場条件、品質基準、発注方法が合うかを確認します。
新規元請けの開拓では、受注できたかどうかだけでなく、次も一緒に仕事ができる相手かを見極めることが大切です。
3.直接取引は、元請け開拓と分けて少しずつ育てる
エンドユーザーとの直接取引は、発注経路を増やし、価格や提案内容を自社で組み立てやすくする選択肢です。ただし、過去に直接取引の実績が少ない会社では、元請け営業と同じペースで一気に広げる必要はありません。
まずは、過去に直接取引をした顧客や、既存のつながりから相談を受けた案件を整理します。そのうえで、自社が対応しやすい工事規模、地域、工種を明確にし、受けられる案件から積み上げます。
元請け案件と直接案件では、受注までの進み方が異なります。そのため、営業管理上も別の経路として記録した方が、どちらに時間を使うべきか判断しやすくなります。
4.営業代行から自社営業への移行は、案件情報を社内に残すことから始める
外部会社から案件を紹介してもらっている場合、すぐに利用をやめると受注の入口が減ってしまいます。先に、自社で再現できる部分を増やします。
最低限、次の情報は社内で一覧にします。
- 取引先名と接点を持った経路
- 担当者と最終連絡日
- 提案した工種
- 見積もり件数と結果
- 失注した理由
- 初回受注後の継続発注の有無
紹介された案件を施工するだけでは、自社に営業の経験が残りません。どの会社に、どの条件を伝えたときに話が進んだかを記録すれば、徐々に自社営業へ置き換えられます。
営業代行をなくすことを先に目標にするのではなく、案件獲得の過程を自社で再現できる状態を目指します。
5.取引先別売上比率と案件の進捗を毎月確認する
営業基盤が安定しているかは、売上総額だけでは判断できません。少なくとも、次の数字を毎月確認します。
- 取引先別の売上額と売上比率
- 既存元請け、新規元請け、直接取引の経路別売上
- 今後1〜2カ月の受注済み案件
- 見積もり提出前、提出済み、回答待ちの案件数
- 月ごとの施工可能人数と未稼働日数
- 初回受注から継続発注につながった取引先数
最大取引先の売上比率に、すべての会社に共通する正解はありません。重要なのは、その取引先からの発注が減った場合に、ほかの案件でどこまで補えるかを把握することです。
「主要取引先の売上比率を下げる」だけではなく、「空いた稼働を埋められる営業先が何社あるか」まで確認して初めて、依存度を判断できます。
営業活動を始める際は、まず過去12カ月の売上を取引先別に並べ、今後1〜2カ月の案件予定を月別に整理します。次に、空きが見込まれる月へ向けて、条件の合う新規元請けを優先して訪問・提案します。見積もり後は結果を記録し、継続の可能性が高い取引先へ時間を寄せていきます。
まとめ
特定の元請けや社長の人脈による受注は、会社の立ち上げや成長を支える大切な基盤です。問題は、その関係が強いことではなく、ほかの受注経路を自社で育てられていないことにあります。
年間の仕事があるように見えても、月によって空きがあり、市場環境の変化で売上が大きく動くなら、営業先と案件予定を見えるようにする余地があります。
進め方は、次の順番が整理しやすいでしょう。
- 既存顧客から今後1〜2カ月の案件予定を確認する
- 取引先別売上比率と月別稼働を把握する
- 自社の施工体制に合う新規元請けを優先する
- 見積もりや小規模案件で取引の相性を確かめる
- 直接取引と外部経由の案件を分けて管理する
- 営業過程を記録し、自社営業へ段階的に移す
安定した営業基盤とは、案件を無制限に増やすことではなく、自社の施工力に合う仕事を複数の入口から選べる状態です。
自社に合う営業先と受注経路を一度整理してみませんか
「元請けを増やしたいが、どの会社から声を掛けるべきかわからない」「社長の人脈営業を、どう仕組みに変えればよいか」といった段階では、売上目標より先に、取引先別売上、月ごとの稼働、得意な案件条件を整理すると次の一手が見えやすくなります。
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