約900名の技術者を抱えながら、大型工事を管理できる人材は工種ごとに数名という体制
ある建設会社では、約70名規模だった工事部門と、全国に技術者を抱える会社が統合し、グループ全体で約900名の技術者を擁する体制になりました。売上高は統合後で約140億円。数年後には400億円を超える規模を目指しています。
一見すると、大型工事にも十分対応できそうです。しかし、約900名の多くは店舗向けの電気・通信設備など、自社商材に付随する工事を担う技術者です。建築一式工事や大型の電気工事を統括できる施工管理者は、建築・電気・電気通信の各工種で1〜3名程度に限られていました。
現在は、2MW級のデータセンターを複数棟施工しています。この規模であれば既存の施工管理者と協力会社で対応できますが、10MW、20MWと規模が大きくなると、同じ体制では受け切れません。
「2MWクラスならできます。ただ、10MW、20MWとなると、今のままでは難しいと思います」
会社全体の人数が増えても、大型工事の受注能力が同じ割合で増えるわけではありません。受注能力を左右するのは、有資格者数、類似工事の経験、配置できる時期、現場を支える体制です。
1週間で 19件の相談 がありました
- 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
- 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
- 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
- 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
- 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
- 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
- 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
- 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
- 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
- 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
- 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
- 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
- 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
- 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
- 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
- 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
- 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
- 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
- 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
10億〜50億円の相談が入っても、施工管理者を配置できず受注に踏み切れない状態
この会社には、10億〜50億円規模の建築工事に関する相談が継続的に入っています。なかには、協力会社から「施工は自分たちで担うので、元請として上に立ってほしい」と持ち込まれる案件もあります。
「30億円くらいの建築の話は何件も来ます。ただ、管理者の問題で受けられません」
相談が来ないことではなく、相談を売上に変えるための施工管理体制が足りないことが課題です。現場を担う協力会社が確保できていても、工事全体を管理する人材が不足していれば、大型案件をそのまま受注することはできません。
また、施工管理者であれば誰でもよいわけではありません。約50億円の電気工事に挑戦した際には、見積金額だけでなく、類似工事の経験を見られました。
「いくら見積もりが安くても、最後は経験値を見られました。まだ50億円の工事をすぐに任せてもらえる会社ではないと実感しました」
大型工事では、次の要素が一体で見られます。
- 必要な資格を保有しているか
- 同規模・同工種の工事を管理した経験があるか
- 着工時期に配置できるか
- 一人に依存せず、補佐や協力会社を含むチームを組めるか
したがって、「施工管理者を何人採用するか」だけでは、大型案件を受けられる体制にはなりません。
売上目標だけが先に大きくなり、案件計画と人員計画をまだ結び付けられていない状況
背景には、会社統合によって目指す事業規模が短期間で変わったことがあります。
統合前の工事部門は、数十万円規模の店舗工事を全国で数百件施工し、売上を積み上げる事業を得意としていました。利益面でも強みがあり、もともとは大型建築工事を急速に増やす計画ではありませんでした。
ところが、売上目標が約140億円から数年後に400億円超へ引き上げられたことで、従来の小口工事だけでは成長幅を埋めにくくなりました。そこで、建築一式工事や大型電気工事など、1件で数十億円になる工事を受ける必要性が高まっています。
一方で、統合から日が浅く、部門ごとの事業計画や採用計画はまだ調整段階でした。社内では、建築・電気・電気通信の各分野で施工管理者を10名程度まで増やす構想があるものの、その人数がどの案件に、いつ必要になるのかまでは固まり切っていません。
「各工種で10名くらいにしようと動いています。ただ、10名雇ったとして、本当に仕事があるのかという話もあります」
ここで起きているのは、採用か案件獲得かという二者択一ではありません。必要なのは、受注したい案件と、施工管理者を採用・育成する計画を同じ時間軸に置くことです。
施工管理者が足りないから案件を断り続ければ、実績を積めません。反対に、案件計画がないまま採用を進めれば、人件費が先行します。このずれを小さくするには、売上目標から一律に採用人数を決めるのではなく、狙う案件の規模と工種から必要な体制を逆算する必要があります。
案件規模・保有資格・類似経験・配置時期を並べ、四つの人材確保策を組み合わせる進め方
最初に整理したいのは、採用人数ではなく、今後2〜3年で受注したい案件の中身です。少なくとも、次の項目を案件単位で並べます。
- 工事の種類と請負範囲
- 想定する案件金額と工期
- 着工予定時期
- 必要となる資格と役割
- 顧客から求められる類似工事の経験
- 現在配置できる施工管理者と、その稼働状況
- 社内で不足する役割と協力会社に任せる範囲
たとえば、現在対応できる2MW級のデータセンターと、将来受注したい10MW級以上の案件では、必要な管理体制が異なります。建築・電気の施工管理者を単純に各10名と置くのではなく、どの規模の工事を何件並行して動かすための10名なのかを明らかにします。
そのうえで、不足人材の確保方法を比較します。
1.即戦力の中途採用
大型工事の着工が近い場合は、必要資格と類似工事の経験を持つ人材の採用が中心になります。ただし、資格名だけで対象者を探すと、入社後に任せたい現場とのずれが生まれます。
募集要件には、資格だけでなく、経験した工種、案件規模、元請・下請の立場、管理した人数、着任してほしい時期まで含めます。面接にも施工部門が入り、「この人がいれば、どの案件を受けられるようになるか」まで確認することが大切です。
2.社内人材の育成
着工までに時間がある案件は、社内育成を組み合わせられます。資格取得だけを目標にせず、現在の大型工事で経験者の補佐に入り、工程・品質・安全・協力会社との調整を段階的に経験させます。
育成では、資格取得と現場経験を別々に扱わず、「いつ、どの規模の現場を任せるか」から教育内容を決めます。
評価項目も、売上や資格の有無だけではなく、担当できる工種、案件規模、顧客対応、協力会社をまとめる力など、次の配置判断に使える形にしておくと運用しやすくなります。
3.協力会社からの登用
すでに一緒に現場を進め、力量や仕事の進め方を把握している協力会社の人材は、有力な候補になります。実際にこの会社でも、協力会社の人材を自社側へ迎えられないか検討していました。
ただし、一方的な引き抜きになれば、施工班との関係に影響します。本人の意向だけでなく、協力会社との役割分担や今後の取引も含めて調整し、出向、転籍、共同チーム化など、双方が納得できる形を探る必要があります。
4.工事会社のグループ化
人材単位ではなく、施工管理者と施工班を持つ工事会社ごとグループに迎える選択肢もあります。短期間で資格者、施工実績、地域ネットワークを補える可能性があります。
一方で、会社が加わればすぐに大型案件を受けられるとは限りません。保有資格、過去の工事規模、現在の受注残、主要人材の継続意向、管理方法の違いを確認し、狙う案件との適合性を見極めます。
四つの選択肢は、どれか一つに絞る必要はありません。着工が近い案件は即戦力採用や協力会社からの登用、中期案件は社内育成、工種や地域をまとめて補いたい場合はグループ化というように、必要時期と不足範囲で使い分けます。
同時に、採用・教育・評価を一つの流れとして整えることも欠かせません。採用した施工管理者に何を任せるのか、誰が教育するのか、どの状態になれば大型案件の責任者を任せるのかを決めておけば、人数の増加を実際の受注能力につなげやすくなります。
まとめ
大型案件の相談が来ているのに受注できない場合、営業力より先に、施工管理体制が受注の上限になっている可能性があります。
今回の会社でも、2MW級のデータセンターは施工できる一方、10MW、20MW級への拡大や、30億円前後の建築工事の受注には、資格者と経験者が不足していました。約900名の技術者がいても、大型工事を統括できる人材が数名であれば、案件を並行して受けることは難しくなります。
施工管理者不足を解消する起点は、「何人増やすか」ではなく、「どの案件を、いつ、何件受けたいか」を決めることです。
そこから必要な資格、類似経験、配置時期を逆算し、即戦力採用、社内育成、協力会社からの登用、工事会社のグループ化を組み合わせます。案件獲得と人材確保を別々に進めず、同じ計画の中で動かすことが、大型工事を継続的に受けられる体制づくりにつながります。
自社で受けたい工事から、必要な施工管理体制を整理するために
「大型案件の話はあるものの、どの資格者を何人そろえるべきか判断しにくい」「採用、育成、協力会社との連携のどこから始めるべきかわからない」という段階でも、整理できることはあります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。施工管理者の採用だけでなく、案件計画に合わせた人員計画、教育・評価体制、協力会社の拡充まで含めて検討できます。
まだ社内方針が固まっていない場合も、「うちの場合は、何から整理すればよいか」というところからお話しいただけます。無理に話を進めることはありませんので、次の計画を考える際の整理先としてご活用ください。