前提

年商5億円前後まで成長する一方、地域によって施工余力に差がある弱電工事会社

兵庫県を拠点に、ハウスメーカーの通信設備工事やキャリア系工事を手がける会社があります。戸建て住宅のLAN配線や通信設備の設置といった弱電工事を得意とし、関西を中心に関東でも施工できる体制を持っています。

既存取引先からは、年間4,000万円前後の仕事が継続的に入っています。繁閑差はあるものの、年間の見通しを立てられる取引です。関西一円では、月に80〜90件ほどの現場が同時に動くこともあります。

一方で、新しい引き合いにすべて応えられているわけではありません。

「この案件はできるか、あの案件はできるかと声をかけてもらっています。ただ、職人がいないので受注まで進められません」

引き合いがないのではなく、案件が発生する地域と職人を動かせる地域が一致していない状態です。関西や関東であれば対応できても、中京圏の案件には十分な人数を配置できません。現地に職人はいるものの、一人では複数案件をさばき切れない状況でした。

売上を伸ばすには営業先を増やす必要がありますが、受注だけを先行させると現場が回りません。この会社に必要だったのは、営業の強化だけではなく、どの地域で、どれだけ受注し、その仕事を誰が施工するかを一体で組み立てることでした。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
  • 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
  • 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
  • 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
  • 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
  • 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
  • 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
  • 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
  • 9月19日解体工事会社滋賀県業務効率化システムの相談
  • 9月18日工務店神奈川県原価管理の相談
  • 9月17日工務店三重県業務効率化システムの相談
  • 9月16日総合建築千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月16日空調設備工事会社岐阜県案件獲得の相談
  • 9月16日総合建築埼玉県利益率向上の相談
  • 9月15日防水工事会社愛知県人材確保の相談
  • 9月15日総合土木福岡県業務効率化システムの相談
  • 9月15日空調設備工事会社宮崎県人材育成の相談
  • 9月14日外構工事会社静岡県案件獲得の相談
  • 9月13日外構工事会社沖縄県案件獲得の相談
  • 9月13日配管工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月13日総合土木大阪府業務効率化システムの相談
  • 9月13日塗装工事会社愛知県協力会社探しの相談
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課題

引き合いのある中京圏に職人を配置できず、受注機会を逃している状態

目の前の課題は、職人の総数だけでは説明できません。関西や関東では動ける職人がいる一方、中京圏では施工余力が不足しています。

つまり、全社として職人が足りないというより、営業エリア別の案件数と施工能力がかみ合っていないことが本質です。

この状態で「案件があるなら職人を増やそう」と考えても、すぐには動けません。専門工事会社では、案件の発生地域、工期、必要人数がその都度異なります。職人が空いていても遠方なら配置できず、現地に一人だけいても同時進行の案件が重なると対応し切れません。

反対に、施工体制を先につくっても、仕事が続かなければ職人を抱え続けることが難しくなります。相談者も次のように話していました。

「案件数を確保できれば、専属外注のような形で常時お願いできます。ただ、うちの仕事は単発が多いので、つなぎ止めるのが難しいんです」

案件を受けたい。しかし、継続発注を約束できない段階で専属外注を確保するのは難しい。だからといって職人が決まるまで営業を止めれば、受注見込みもつくれません。

受注してから職人を探す方法でも、職人を確保してから案件を探す方法でもなく、受注見込みと施工体制を並行して整える必要があります。

背景

単発工事が多く、専属外注へ安定した仕事量を示しにくい取引構造

専属外注をつなぎ止めにくい背景には、仕事量の波があります。

継続取引のあるハウスメーカー案件では、年間の予算感や月ごとの現場数をある程度見通せます。ただし、住宅の販売状況に左右されるため、毎月均等に仕事が出るわけではありません。決算前に案件が集中することもあり、閑散期もあります。

一方、新しく声がかかる案件は単発のものが多く、「次も同じ地域で仕事が出る」とは限りません。外注側から見れば、今回の現場が終わった後も仕事が続くのか判断しにくい状態です。

ここで重要なのは、職人不足を採用だけの問題にしないことです。自社職人を採用するにも、専属外注と関係をつくるにも、一定の仕事量が必要です。

相談者は、新規取引を検討する際の最低ラインとして、年間5,000万円程度の売上規模を挙げていました。月額に直すと400万〜500万円程度です。現場数が多くても少なくても、この水準の仕事量が継続的に見込めるなら、人員配置を考えやすくなります。

「現場数が少なくても、その分単価が高くて月400万〜500万円になるなら、そのほうが助かります」

この発言からも、必要なのは案件数の多さだけではないと分かります。見るべきなのは、次の組み合わせです。

  • 対象エリアで見込める年間売上
  • 月ごとの現場数と繁閑差
  • 1現場あたりの単価
  • 同時進行する現場数
  • 必要な職人の人数と稼働日数

職人を確保できるかどうかは、仕事があるかではなく、同じ地域で安定して仕事を渡し続けられるかで決まります。

解決

営業エリア別の施工能力を可視化し、安定受注と職人確保を並行して進める設計

最初に取り組みたいのは、全社合計ではなく、営業エリア別に施工能力を整理することです。

今回の会社であれば、「関西は対応可能」「関東も対応可能」「中京圏は一人ではさばき切れない」という情報がすでにあります。これを感覚のままにせず、案件判断に使える形へ落とします。

少なくとも、エリアごとに次の項目を確認します。

  • 現在動かせる自社職人と協力会社の人数
  • 1か月に対応できる現場数
  • 既存案件で埋まっている稼働量
  • 新規案件を受けられる余力
  • 追加受注に必要な人数

これにより、「中京圏の案件だから断る」という判断から、「月何件までなら受けられるか」「あと何人いれば受けられるか」という判断へ変えられます。

次に、営業先を施工能力に合わせて選びます。施工余力のある関西であれば、比較的早く受注へ進められます。一方、中京圏を伸ばすなら、単発案件を増やすだけでは専属外注を確保しにくいため、年間の現場数や発注額を見通しやすい取引先を優先して開拓することが重要です。

取引開始前には、少なくとも次の情報を確認しておきたいところです。

  • どの営業所・支店から発注されるのか
  • 主な施工エリアはどこか
  • 月間または年間の現場数はどの程度か
  • 1現場あたりの単価はどの程度か
  • 発注量に季節変動があるか

この会社の場合、年間5,000万円程度が新しい施工体制を組む一つの判断基準でした。すべての会社に同じ金額が必要なわけではありませんが、何人を配置するなら、最低いくらの受注見込みが必要かという基準は、営業前に持っておくべきです。

そのうえで、受注見込みに合わせて協力会社や自社職人の確保を進めます。順序は一方通行ではありません。

  1. エリア別の施工余力を把握する
  2. 不足エリアで見込める案件量を確認する
  3. 必要人数と最低売上を算出する
  4. 取引先の開拓と協力会社への打診を並行する
  5. 継続発注の見通しが立った段階で、専属化や自社採用を判断する

既存の施工体制だけで受けられる小規模な案件であれば、まず数件を試し、実際の工数や採算を確認する進め方もあります。一方、最初から複数人の増員が必要な案件は、現場数や発注期間が不明なまま受けないほうが安全です。

営業は案件を取る活動、施工体制づくりは人を集める活動と分けず、エリア・仕事量・必要人数を共通の数字で管理することが重要です。

まとめ

案件の引き合いがあるのに受注できない場合、職人不足だけを切り出して考えると、採用や協力会社探しが先行しがちです。しかし、単発工事が多い会社では、安定した仕事量を示せなければ職人をつなぎ止めにくくなります。

今回のように地域ごとの稼働余力に差がある場合は、まず営業エリア別に施工能力を可視化します。そのうえで、施工余力のある地域では受注を進め、不足する地域では安定発注が見込める取引先の開拓と職人確保を並行します。

押さえておきたい要点は次の3つです。

  • 職人不足は、全社の人数ではなく営業エリア別に捉える
  • 専属外注を確保するには、同じ地域で継続して渡せる仕事量が必要になる
  • 受注見込みと施工体制を別々に考えず、最低売上・現場数・必要人数をセットで決める

引き合いがあることは、次の成長につながる大切な土台です。すべての案件を受けようとするのではなく、どの地域であれば継続受注と施工体制を一緒につくれるかから整理すると、無理のない拡大方針が見えやすくなります。

受注機会を逃さない施工体制を一緒に整理するために

「案件はあるが、どの地域から施工体制を整えるべきか」「協力会社の確保と取引先の開拓を、どちらから進めるべきか」と迷うこともあると思います。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用を横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような課題では、エリア別の受注見込みと施工能力を確認しながら、取引先の開拓、協力会社の確保、自社職人の採用を一つの計画にまとめます。

まだ方針が決まっておらず、「うちの場合は何から整理すればよいか」という段階でも問題ありません。無理にサービスをおすすめすることはありませんので、今の引き合い状況や職人の配置から、一緒に次の整理先を考えていけます。

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