国土交通省は、令和8年9月1日から5日に実施した「主要建設資材需給・価格動向調査」の結果を公表しました。生コンクリート、鋼材、木材など7資材13品目について、全国では価格動向がすべて「横ばい」、需給動向がすべて「均衡」、在庫状況が調査対象資材すべてで「普通」となっています。

発表日

令和8年9月25日

調査期間

令和8年9月1日~5日現在

調査対象

生コンクリート、鋼材、木材など7資材13品目

全国の価格動向

全ての調査対象資材で「横ばい」

全国の需給動向

全ての調査対象資材で「均衡」

全国の在庫状況

全ての調査対象資材で「普通」

在庫調査の対象

骨材、異形棒鋼、H形鋼、木材など

今回の発表だけを見ると、資材市場はかなり落ち着いているように見えます。これは中小建設業にとって前向きな材料です。ただし、経営実務で大事なのは「全国では横ばいだから安心」と読むことではありません。今月の結果は、見積・発注・契約条件を冷静に点検し直すための“安定期の材料”として使うのがよいです。

1週間で 17件の相談 がありました

  • 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
  • 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
  • 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
  • 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
  • 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
  • 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
  • 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
  • 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
  • 9月19日解体工事会社滋賀県業務効率化システムの相談
  • 9月18日工務店神奈川県原価管理の相談
  • 9月17日工務店三重県業務効率化システムの相談
  • 9月16日総合建築千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月16日空調設備工事会社岐阜県案件獲得の相談
  • 9月16日総合建築埼玉県利益率向上の相談
  • 9月15日防水工事会社愛知県人材確保の相談
  • 9月15日総合土木福岡県業務効率化システムの相談
  • 9月15日空調設備工事会社宮崎県人材育成の相談
  • 9月14日外構工事会社静岡県案件獲得の相談
  • 9月13日外構工事会社沖縄県案件獲得の相談
  • 9月13日配管工事会社神奈川県人材確保の相談
  • 9月13日総合土木大阪府業務効率化システムの相談
  • 9月13日塗装工事会社愛知県協力会社探しの相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード

全国では落ち着き。ただし、現場の原価は「全国平均」では決まりません

今回の調査では、国土交通省が全国の建設資材について、価格、需給、在庫の変動状況を資材別・地域別に把握しています。

全国の概要は明確です。

  • 価格動向:全ての調査対象資材で「横ばい」
  • 需給動向:全ての調査対象資材で「均衡」
  • 在庫状況:全ての調査対象資材で「普通」

この結果は、急激な資材不足や全国的な価格上昇が目立つ局面ではないことを示しています。見積担当者や購買担当者にとっては、少なくとも「今月、全国的に大きな異常が出ている」という読み方にはなりにくい内容です。

一方で、添付資料を見ると、都道府県別には指数の上下があります。たとえば、H形鋼や異形棒鋼、型枠用合板などでは、全国平均では横ばいの範囲に収まっていても、都道府県によって前月からの変化が見られます。

ここが実務上のポイントです。自社の利益を守るうえでは、「全国では横ばい」よりも「自社の施工エリアと主要資材がどう動いているか」のほうが重要です。

特に地域密着で工事をしている会社ほど、全国平均と自社の仕入実感がズレることがあります。生コン、骨材、アスファルト合材のように地域性が強い資材は、近隣の供給体制、輸送距離、地場の需要に影響されやすいからです。

今月見るべき資材は「いつも使う資材」です

今回の調査対象には、次のような建設業の現場で使われる主要資材が含まれています。

  • セメント
  • 生コンクリート
  • 骨材(砂、砂利、砕石、再生砕石)
  • アスファルト合材(新材・再生材)
  • 異形棒鋼
  • H形鋼
  • 木材(製材・型枠用合板)
  • 石油(軽油)

中小建設業の経営で見るべきなのは、全品目を細かく追うことではありません。自社の粗利に効く資材を3つから5つに絞って、毎月の見積単価と仕入単価を照合することです。

たとえば、土木工事が多い会社であれば、骨材、再生砕石、アスファルト合材、軽油の動きは無視できません。鉄筋コンクリート工事が多い会社であれば、生コン、異形棒鋼、型枠用合板が見積精度に直結します。鉄骨工事や建築系の工事が多い会社では、H形鋼や木材の動きも見ておきたいところです。

今月のように全国では落ち着いている月こそ、社内で次のような確認ができます。

  • 見積で使っている標準単価が古くなっていないか
  • 仕入先からの直近見積と、自社の積算単価にズレがないか
  • 地域別の調査結果と、自社の施工エリアの肌感が合っているか
  • 軽油など、現場経費に埋もれやすいコストを見落としていないか

資材価格が大きく動いているときは、どうしても目の前の対応に追われます。逆に、落ち着いているときは、社内の単価表や見積ルールを整える余裕があります。安定している月は、利益管理の足場を固める月です。

「横ばい」は、値下げ交渉の根拠にも値上げ拒否の根拠にもなりすぎません

今回の全国結果は「横ばい」です。ただし、これは国土交通省の調査上の区分であり、個別の取引単価が必ず変わらないという意味ではありません。

ここは注意が必要です。

仕入先から「来月から少し上がります」と言われることもあります。反対に、発注者や元請から「国の調査では横ばいだから、単価は据え置きでいいですよね」と言われることもあるかもしれません。

そのときに大事なのは、感覚だけで押し返すことではありません。国の調査結果、自社の実際の仕入見積、過去の発注単価を並べて説明できる状態にしておくことです。

特に公共工事や長期の民間工事では、資材価格の変動が利益に与える影響が大きくなります。今回のように大きな変動が見えにくい時期でも、契約から施工までの期間が長い案件では、見積時点と発注時点で条件が変わる可能性があります。

そのため、次の確認はしておきたいところです。

  • 見積提出日と実際の資材発注予定日の間にどれくらい期間があるか
  • 価格変動時の協議条項やスライド条項を確認しているか
  • 主要資材について、仕入先の見積有効期限を確認しているか
  • 受注後に単価が変わった場合、誰がどのタイミングで社内共有するか

「横ばい」というニュースは安心材料です。ただ、経営としてはそこで止まらず、横ばいの今だからこそ、次に動いたときに慌てない仕組みをつくるという読み方をしたいです。

見積の勝ち負けよりも、「受注後に利益が残るか」を見る

中小建設業では、見積の競争が厳しい場面が続いています。資材価格が落ち着いて見えると、「少し単価を下げてでも取りに行くか」という判断が出やすくなります。

もちろん、受注は大切です。仕事量を確保し、職人や協力会社の稼働を守ることも経営です。

ただし、今回のような調査結果を読むときに忘れたくないのは、資材価格が横ばいでも、人件費、外注費、運搬費、現場管理コストまで横ばいとは限らないということです。今回の発表は主要建設資材の需給・価格・在庫に関する調査であり、会社全体の原価を示すものではありません。

したがって、経営判断としては次の順番が現実的です。

  1. 主要資材の単価を更新する
  2. 労務費・外注費・運搬費も含めて案件別の粗利を確認する
  3. 値引きしてよい範囲を、勘ではなく数字で決める
  4. 受注後に単価が変わった場合の社内連絡ルールを決める

「仕事を取れたけれど、終わってみたら利益が薄い」。これはどの会社にも起こり得ます。だからこそ、資材相場が落ち着いている月は、見積の攻め方を整える好機です。勝つ見積ではなく、残る見積にすることが大切です。

自社で今月やっておきたい確認

今回の発表を受けて、中小建設業がすぐにできる確認は大きく4つです。

1つ目は、自社の主要資材を洗い出すことです。全資材を見る必要はありません。自社の工種で原価比率が高い資材を選びます。

2つ目は、見積単価と直近仕入単価を照合することです。積算ソフトやExcelの単価表が、数か月前のままになっていないかを見ます。

3つ目は、施工エリアの地域別動向を見ることです。全国では横ばいでも、自社エリアで動きがある資材は、仕入先への確認を早めに入れる価値があります。

4つ目は、契約条件を確認することです。特に、資材発注まで時間が空く案件では、価格変動時の協議余地や見積有効期限を曖昧にしないことが大切です。

今月の発表は、強い警戒を促す内容ではありません。むしろ、落ち着いているからこそ、社内の数字を整えるチャンスです。資材相場が静かな時期に原価管理を整えた会社ほど、次に相場が動いたときに強くなります。

自社の見積・原価管理を一度整理しておきたい方へ

資材価格のニュースを見ても、「うちの場合、どの資材を追えばいいのか」「見積単価をどこまで更新すべきか」「案件別の利益管理が感覚に寄っている」と感じる会社は少なくありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。今回のような資材動向をきっかけに、見積ルール、原価管理、Excelやシステムの使い方を見直すことも、建設企業の持続的成長につながります。

「何から整理すべきかわからない」「今の単価表や利益管理のままでよいか確認したい」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、まずは自社に関係する論点の整理先としてご相談ください。

お問い合わせはこちら