国土交通省は、令和8年7月に公布された改正建築士法の一部について、施行期日を定める政令などが令和8年10月6日に閣議決定されたと発表しました。今回のポイントは、建築士が行う設計受託契約・工事監理受託契約について、書面での契約締結が義務化され、契約締結にあたって見積書作成が努力義務化されることです。施行日は令和9年4月1日です。

閣議決定日

令和8年10月6日

公布予定日

令和8年10月9日

施行日

令和9年4月1日

対象となる主な契約

建築士が行う設計受託契約、工事監理受託契約

主な改正内容

全ての対象契約で書面契約を義務化、契約締結にあたって見積書作成を努力義務化

改正の目的

将来の建築士等の確保、契約の適正化

今回の改正は、建築士事務所だけの話に見えるかもしれません。しかし実務上は、設計事務所と連携する工務店、設計施工を行う会社、外部の建築士に確認・設計・監理を依頼する会社にも関係します。「設計や監理はなんとなく口頭で進む」「概算のまま業務が増える」「後から追加費用の話がしづらい」という曖昧さを減らす方向に、制度が一段進んだと捉えるべきです。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 10月6日防水工事会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 10月6日配管工事会社福井県人材確保の相談
  • 10月5日電気設備工事会社大阪府高卒採用の相談
  • 10月5日配管工事会社埼玉県人材育成の相談
  • 10月5日ビルメンテナンス千葉県案件獲得の相談
  • 10月4日総合建築長野県人材育成の相談
  • 10月4日電気設備工事会社新潟県人材育成の相談
  • 10月4日内装工事会社鳥取県人材確保の相談
  • 10月4日塗装工事会社愛知県人材育成の相談
  • 10月3日空調設備工事会社鳥取県業務効率化システムの相談
  • 10月3日総合建築茨城県原価管理の相談
  • 10月2日総合建築岩手県利益率向上の相談
  • 10月2日内装工事会社熊本県原価管理の相談
  • 10月2日リフォーム会社滋賀県業務効率化システムの相談
  • 10月2日造園会社福岡県案件獲得の相談
  • 10月1日電気設備工事会社島根県人材確保の相談
  • 10月1日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 10月1日総合土木岩手県人材確保の相談
  • 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
  • 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
  • 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
  • 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
  • 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
  • 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
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何が変わるのか:300㎡超に限らず、対象が「全て」に広がります

今回施行される改正の中心は、契約書の相互交付義務の対象範囲の拡大です。

国土交通省の資料では、当事者による契約書の相互交付義務の対象が、現行の「延べ面積が300平方メートルを超える建築物の新築等に係る設計受託契約又は工事監理受託契約」から、延べ面積等を問わず、建築士が行う設計又は工事監理に係る「設計受託契約又は工事監理受託契約」の全てに拡大されるとされています。

つまり、これまで対象外だった小規模案件でも、建築士が行う設計・工事監理の契約については、書面契約の実務が求められる方向になります。

中小建設業にとって大事なのは、単に「書類が増える」という見方ではありません。むしろ、小規模案件ほど曖昧になりやすかった業務範囲・報酬・追加対応の線引きを、契約時点で整理する機会になるという点です。

たとえば、現場でよくあるのは次のような場面です。

「最初は簡単な図面確認だけのつもりだったが、施主対応や行政協議まで依頼が広がった」

「工事監理の範囲がどこまでか、元請・設計者・施主の間で認識がずれた」

「追加変更が続いたが、設計・監理側の報酬に反映しにくかった」

こうした問題は、どこか一社が悪いというより、入口の契約整理が薄いまま仕事が進んでしまう構造から生まれます。今回の改正は、その入口を整える制度変更です。

見積書作成の努力義務化は、設計・監理の価値を見える化する動きです

もう一つの重要な改正が、見積書作成に関する努力義務です。

国土交通省資料では、建築士事務所の開設者について、設計等の業務に係る契約を締結しようとするときは、報酬の算定の根拠を明らかにするための見積書を作成するよう努めなければならないとされています。

また、設計受託契約又は工事監理受託契約を締結しようとする者は、見積書の内容その他の契約に係る事情を考慮して、委託内容に応じた適正な委託代金で契約を締結するよう努めることも示されています。

ここは、中小建設業の経営にとって非常に重要です。

設計や工事監理は、成果物が図面や確認印、現場での指摘という形で見える一方、そこに至るまでの検討、調整、確認、責任の重さが価格に反映されにくい仕事です。特に地域の案件では、長年の付き合いや紹介関係の中で、「いつもの感じでお願いします」と進むことも少なくありません。

しかし、人材確保が難しくなり、建築士の担い手確保が政策課題になっている中で、設計・監理業務を適正な報酬で支えることは、建設業全体の持続性にも関わる話です。

施工会社側から見ても、これは他人事ではありません。設計・監理の条件が曖昧なまま進むと、結果として施工段階で手戻りや調整負担が増えます。逆に、設計・監理の業務範囲と報酬根拠が明確になれば、施工側も工程・原価・顧客説明を組み立てやすくなります。

中小建設企業がまず確認したい3つのこと

施行日は令和9年4月1日です。今日明日で慌てる話ではありませんが、契約書や見積書の整備は、意外と時間がかかります。特に、日常的に小規模案件を多く扱う会社ほど、早めに棚卸しをしておく価値があります。

まず確認したいのは、次の3点です。

1つ目は、自社が建築士として設計・工事監理を受託している契約があるかです。

建築士事務所を併設している会社、設計施工を行っている会社、社内建築士が設計や工事監理に関与している会社は、今回の対象になり得ます。案件規模が小さいから関係ない、とは考えない方がよいです。今回の改正では、対象範囲が延べ面積等を問わない方向に拡大されます。

2つ目は、現在使っている契約書・注文書・請書で、設計や工事監理の内容が十分に整理されているかです。

工事請負契約の中に設計や申請協力が混ざっている場合、どこまでが工事で、どこからが設計・監理業務なのかが不明瞭になりやすくなります。契約書式の見直しでは、少なくとも、業務内容、報酬、支払条件、変更時の扱い、成果物、関係者の役割分担を確認しておきたいところです。

3つ目は、見積書の作り方に「算定根拠」があるかです。

今回の資料では、見積書について「報酬の算定の根拠を明らかにするため」と表現されています。単に総額を書くのではなく、どの業務にどれだけの手間や責任があるのかを説明できる形に近づけることが重要になります。

これは、価格交渉を強くするためだけではありません。施主や元請、協力事務所との間で、「何を依頼して、何に対価を払うのか」を共通認識にするための道具です。

「書面化」は管理部門だけでなく、現場と営業の問題です

契約書や見積書の話になると、総務や管理部門の仕事に見えます。もちろん、書式整備や保管ルールは管理部門が担うことが多いでしょう。

ただ、実際に契約の曖昧さが生まれるのは、営業、設計、現場、協力会社とのやり取りの中です。

「これはサービスでやっておきます」

「そこまでは最初の範囲に入っていると思っていました」

「図面の修正くらいならすぐできますよね」

こうした一言が、後から大きな負担になることがあります。だからこそ、今回の改正対応は、契約書式を1枚直して終わりではありません。営業段階で業務範囲を説明する力、現場が追加・変更を拾い上げる力、管理部門が書面に落とす力をつなぐことが大切です。

特に中小企業では、社長や専務、工事部長が案件の入口から出口まで見ていることが多くあります。その強みを活かし、社内で次のような会話をしておくと実務に落ちやすくなります。

「うちで建築士が関わる契約は、どの案件に多いか」

「今の見積書で、設計・監理の中身は説明できているか」

「小規模案件でも、書面契約に漏れが出ない流れになっているか」

「追加業務が出たとき、誰が、いつ、どう記録するか」

このあたりを確認するだけでも、施行前の準備としてかなり前進します。

今回の改正を、利益管理と人材確保の入口にする

今回の改正の背景には、将来の建築士等を確保するという目的があります。これは非常に大事な視点です。

若い人が建築士を目指すには、仕事の魅力だけでなく、業務量に見合った報酬、責任に見合った契約、将来を描ける働き方が必要です。契約や見積が曖昧なままでは、現場の善意や個人の頑張りに依存しやすくなります。

中小建設業にとっても、設計・監理の適正化は、利益管理と人材確保の両方に関わります。

設計や工事監理にかかる手間を見積で見える化できれば、原価管理の精度が上がります。追加業務を契約上整理できれば、担当者の疲弊を減らしやすくなります。役割分担が明確になれば、若手にも仕事を教えやすくなります。

つまり、今回の制度変更は、単なる法令対応ではなく、「技術者の仕事をきちんと値付けし、会社として持続できる形に整える」ためのきっかけです。

令和9年4月1日までに、まずは自社の契約・見積の現状を見える化する。そこから、書式、社内フロー、顧客説明、追加変更の管理を少しずつ整える。中小企業にとっては、この順番が現実的です。

自社の契約・見積の整理を進めたいときに

今回の改正は、建築士事務所だけでなく、設計施工や外部建築士との連携がある中小建設企業にとっても、契約実務を見直すよい機会になります。一方で、「うちの場合はどこまで対象として見ればよいのか」「今の見積書や契約書で足りているのか」「現場に負担を増やさず運用するにはどうすればよいか」は、会社ごとに事情が違います。

ネクスゲートでは、建設企業の持続的成長を支援する立場から、販路拡大、資金調達、人材確保、組織活性化、原価管理、デジタル活用まで、現場と経営を横断して課題を整理しています。今回のような制度改正も、単なる書類対応ではなく、ものづくりに集中できる建設業界へ近づくための業務整理として一緒に考えることができます。

「まず何から確認すべきかわからない」という段階でも問題ありません。無理な営業はいたしませんので、自社への影響や進め方を整理したい場合は、次の窓口をご活用ください。

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