前提

地場建設会社の仕事を少人数で請け、社長自身が積算と価格説明を担う専門工事会社

北関東のある県で、地場建設会社からの仕事を中心に請けている7名規模の専門工事会社があります。直近で社員が増え、当面は現在の人数で既存の仕事を着実に回していく方針です。

積算は社長自身が行っています。見積もりがたまると負担になる一方、単純にソフトへ置き換えたいわけではありません。自分で積算するからこそ、取引先に「ここは、こういう考え方で積算しました」と説明できるためです。

取引先との関係も大切にしています。既存の建設会社を優先する必要があり、「新規、新規と動いていいのか」という迷いもあります。上位の取引先から仕事が増えれば対応するものの、自社から積極的に販路を広げることには慎重です。

売上拡大よりも、既存の関係を守りながら現在の受注を適正な利益につなげることが、この会社の優先課題です。

1週間で 19件の相談 がありました

  • 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
  • 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
  • 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
  • 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
  • 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
  • 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
  • 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
  • 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
  • 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
  • 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
  • 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
  • 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
  • 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
  • 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
  • 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
  • 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
  • 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
  • 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
  • 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
  • 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
  • 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
  • 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
  • 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
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課題

人件費と採用費が変動し、受注時に想定した利益率を再現できない状態

大きな悩みは、工事ごとの利益が読みにくくなっていることです。

相談者からは、「材料費はそれほど変わらないけれど、その時によって人件費が変わる。採用費もだいぶ変わってきているから、何とも言えない」という話がありました。コストは上がる一方で、受注価格を簡単に引き上げられるわけではありません。「値段がもう当てにならない」という感覚に近い状態です。

ここで整理したいのは、単に利益率が低いことと、利益率を予測できないことは別の問題だという点です。

実際の人件費が見積時の想定を上回れば、同じ金額で受注しても粗利は下がります。採用に費用をかけた月は会社全体の支出も増えます。それでも取引先別、工種別、案件別の数字が分かれていなければ、どの仕事で想定との差が生まれたのかをつかめません。

問題の中心はコスト上昇だけではなく、見積時の想定原価と完工後の実際原価を比べられる状態になっていないことです。

この状態で受注量だけを増やすと、忙しくなっているのに利益が残らない可能性があります。一方、利益率だけを見て案件を絞ると、長く続く取引関係や仕事の進めやすさを損なうこともあります。

利益率だけでなく、必要な人員、施工負荷、取引の継続性まで含めて案件を判断する必要があります。

背景

既存取引を優先する受注構造と、社長の経験に集まった積算根拠

利益が読みにくくなる背景には、既存取引を優先する受注構造があります。

地場の専門工事会社では、提示された案件を一件ずつ独立して判断できるとは限りません。長年のつながりがあり、取引先からの依頼を継続的に受けることで仕事が成り立っています。単価だけを理由に断ったり、別の取引先へ急に移ったりすることが難しい場合もあります。

今回の会社でも、「今ある建設会社さんを優先しなければいけない」という認識がありました。新規取引先を増やす際にも、既存の関係に角が立たないか、受けた工事を現在の人員で実行できるかを気にしています。

また、積算の根拠が社長の経験に集まっています。これは弱みだけではありません。社長が自ら数量や施工条件を確認しているからこそ、取引先に金額の理由を説明できます。

ただし、過去の経験で設定した人件費と現在の実績に差が出ていても、その差が案件別に残っていなければ、次の見積もりへ反映しにくくなります。採用後の人件費や採用費が変わるなかで、以前と同じ考え方のまま見積もると、受注時には利益が出るように見えても、完工後に想定を下回ります。

社長の積算力を手放すのではなく、その判断根拠と完工後の実績を比較できる形にすることが必要です。

取引先による違いもあります。単価が高い取引先が、必ずしも最も利益を残せるとは限りません。提出書類や施工上のルールが厳しければ、その対応に人手がかかります。反対に、地場建設会社の仕事は書類上の負担が比較的少なく、進めやすいことがあります。

そのため、受注金額や表面上の利益率だけでは、案件の良し悪しを判断できません。

解決

取引先別・工種別・案件別の実績を基に、見積条件と受注基準を更新する進め方

最初に行いたいのは、高機能な原価管理システムの導入ではありません。直近の完工案件を取引先別・工種別・案件別に並べ、見積時と完工後の差を確認することが出発点です。

最低限、次の項目を同じ表で確認できるようにします。

  • 取引先
  • 工種と工事内容
  • 受注金額
  • 見積時に想定した人件費
  • 実際にかかった人件費
  • 材料費
  • 見積時の粗利と完工後の粗利
  • 施工に必要だった人数や負荷
  • 継続受注の見込み

すべてを最初から細かく管理しようとすると、記録自体が続かなくなります。今回のように材料費の変動が比較的小さく、人件費の影響が大きい会社であれば、まずは人件費の想定差を中心に確認する方法が現実的です。

採用費と案件原価を分けて捉える

採用費が増えている場合は、特定の一案件へそのまま載せるのではなく、一定期間で回収すべき会社全体の費用として分けて考えます。

案件ごとの採算では、実際の施工にかかった人件費と材料費を確認します。そのうえで、採用費を含む会社全体の支出を賄うために、月間でどれだけの粗利が必要かを別に置きます。

案件別の粗利と、採用費を含めて会社全体で必要な粗利を混ぜないことが、採算を読みやすくするポイントです。

この二つを分ければ、「この工事自体は利益が出ているが、採用投資を回収するには粗利額が足りない」といった判断ができます。

利益率だけで受注案件を決めない

案件を比較する際は、粗利率だけでなく、次の四つの軸で確認します。

  1. 粗利額・粗利率:受注金額に対して、実際にいくら残ったか
  2. 施工負荷:現在の人数で無理なく対応できるか
  3. 業務負荷:積算や提出書類などにどれだけ時間がかかるか
  4. 継続性:既存取引との関係や次の受注につながるか

利益率が多少低くても、安定して継続し、施工や書類の負荷が小さい案件であれば、会社全体では価値があります。反対に、利益率が高く見えても、人員を長く拘束し、他の仕事を断る必要がある案件は慎重な判断が必要です。

「高利益率の案件を取る」ではなく、「限られた人員で安定して粗利を残せる案件を選ぶ」という見方が重要です。

見積条件は一律ではなく、差が出た項目から直す

完工後の確認で、人件費が継続的に想定を上回っている工種が見つかったら、その工種の見積条件を更新します。すべての単価を一度に変えるのではなく、見積と実績の差が大きい項目から見直す方が進めやすくなります。

社長が行っている積算も、全面的に自動化する必要はありません。数量確認や価格説明など、取引先との対話につながる部分は残しながら、過去案件の検索や見積・実績の比較だけを一覧化する方法もあります。

積算の効率化は、社長の判断を機械へ置き換えることではなく、過去の実績を次の判断に使いやすくすることです。

価格交渉は「値上げのお願い」ではなく積算根拠の共有にする

価格交渉では、全案件の一律値上げから始める必要はありません。見積と実績を比較し、人件費の差が特に大きい工種や施工条件を抽出します。

そのうえで、次回の見積もりから条件を変え、取引先へ積算根拠を説明します。今回の会社が大切にしていた「ここは、こういうふうに積算した」という会話を、そのまま交渉の土台にできます。

進め方は次の順序が自然です。

  • 完工案件から見積と実績の差を確認する
  • 差が繰り返し生じる工種や条件を特定する
  • 次回見積もりの人件費条件へ反映する
  • 取引先へ金額の根拠を説明する
  • 受注後も実績を確認し、条件を再調整する

価格交渉を進めやすくするのは、感覚的なコスト上昇の訴えではなく、案件ごとの積算根拠と実績差です。

まとめ

人件費や採用費が変動すると、過去に利益が出ていた工事でも、同じ条件で利益を確保できるとは限りません。だからといって、既存取引をすぐに見直したり、新規開拓へ大きく舵を切ったりする必要はありません。

まず取り組みたいのは、直近の完工案件を取引先別・工種別・案件別に並べ、見積時と完工後の差を確認することです。そのうえで、粗利率だけでなく、施工負荷、業務負荷、継続性を含めて案件を評価します。

案件別採算を立て直す目的は、数字を細かく管理することではなく、受ける仕事、見直す条件、取引先へ説明する内容を明確にすることです。

社長が積算の根拠を理解し、取引先へ説明できる強みは残しながら、実績を次の見積もりへ反映できる仕組みに変えていく。その積み重ねが、コスト上昇のなかでも利益を読みやすくする土台になります。

自社に合う案件別採算の整理から始めたい方へ

案件別の原価を見たいと思っても、「どこまで細かく分けるべきか」「採用費をどう考えるか」「既存取引先との価格交渉を何から始めるか」は、会社の規模や取引構造によって変わります。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の収支管理を、現場の施工負荷や取引先との関係まで含めて整理し、見積条件や原価管理の改善を実行まで支援しています。

「うちの場合は、どの案件から確認すべきか」「何から数字をそろえればよいか」という段階でも構いません。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の整理先として気軽にお声がけください。

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