前提

人員が限られるなかで商業施設の内装案件を増やしたい専門工事会社の現在地

中国地方に拠点を置く、商業施設や店舗の内装を手がける専門工事会社の事例です。材料販売や家具工事を中心に取引先との関係を築いてきましたが、近年は内装工事まで含む相談も入り始め、より規模の大きい元請会社や商業施設関連会社との取引を検討していました。

候補となる営業先を調べると、近隣エリアだけでも250社を超える企業が見つかりました。売上高20億〜50億円規模の会社や、大型商業施設、百貨店、アパレル店舗などを手がける会社も含まれます。

一方で、会社側には素直に喜びきれない事情がありました。

「いっぱい紹介してもらって、仕事があると言われても、うちでは施工できない。それが少し怖いんです。まだそこまで仕事が来ているわけではないけれど、人員がいないので」

営業先は見つかる。受けたい工事もある。しかし、受注が増えたときに施工できる保証はありません。だからといって、仕事の見通しが立たない段階で採用すれば、固定費の負担が先に増えます。

受注を増やしてから採用するのか、採用してから受注を増やすのか。この順番を決めきれないことが、中小建設会社の営業を止める大きな要因です。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 10月6日防水工事会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 10月6日配管工事会社福井県人材確保の相談
  • 10月5日電気設備工事会社大阪府高卒採用の相談
  • 10月5日配管工事会社埼玉県人材育成の相談
  • 10月5日ビルメンテナンス千葉県案件獲得の相談
  • 10月4日総合建築長野県人材育成の相談
  • 10月4日電気設備工事会社新潟県人材育成の相談
  • 10月4日内装工事会社鳥取県人材確保の相談
  • 10月4日塗装工事会社愛知県人材育成の相談
  • 10月3日空調設備工事会社鳥取県業務効率化システムの相談
  • 10月3日総合建築茨城県原価管理の相談
  • 10月2日総合建築岩手県利益率向上の相談
  • 10月2日内装工事会社熊本県原価管理の相談
  • 10月2日リフォーム会社滋賀県業務効率化システムの相談
  • 10月2日造園会社福岡県案件獲得の相談
  • 10月1日電気設備工事会社島根県人材確保の相談
  • 10月1日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 10月1日総合土木岩手県人材確保の相談
  • 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
  • 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
  • 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
  • 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
  • 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
  • 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
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課題

施工余力だけでなく「誰が見積もりをするのか」まで詰まる営業拡大

営業拡大を考えるとき、施工できる職人の人数だけを見てしまいがちです。しかし、実際には案件を受ける前の見積もり対応も大きな負荷になります。

社内では「忙しいときに仕事が来ても、最悪は断ればいい」という意見が出る一方、別の声もありました。

「全部、見積もりをしないといけない。誰が見積もりをするのか」

仮に施工を断るとしても、その判断に至るまでには、図面や仕様の確認、現場条件の整理、材料費や外注費の算出が必要です。社長や限られた担当者が見積もりを担っている会社では、相談が増えただけでも通常業務を圧迫します。

今回も、当初は月間400件程度のアプローチと複数商談を想定していましたが、「そんなにまだいらない」という反応がありました。そこで、付き合いたい企業を100社程度まで絞り、商談も2件程度を目安にする方向へ調整しています。

営業量は、施工可能件数ではなく、問い合わせ対応・見積もり・商談・施工を含む全体の処理能力に合わせる必要があります。

特に確認したいのは、次の4点です。

  • 月に何件まで案件相談を受けられるか
  • 月に何件まで見積もりを作成できるか
  • 受注した場合、いつから何人を配置できるか
  • 自社が無理なく対応できる案件規模と工事内容は何か

この数字が曖昧なまま営業件数だけを増やすと、案件は増えたのに返事が遅れる、見積もりが間に合わない、既存現場にしわ寄せが出るという状態になりかねません。

背景

「大型案件は難しいが小規模なら受けられる」という対応範囲の曖昧さ

営業をためらう背景には、人手不足に加えて、受けられる案件の条件がまだ明文化されていないことがありました。

たとえば、大規模な内装会社について話しているときには、次のような認識が共有されています。

「建物全体の内装を受けるような規模だと、うちはついていけないと思います。ただ、店舗内装や、その中の小さいクラスなら対応できるかもしれません」

つまり、その会社と取引できるかどうかではなく、その会社から発注される案件のうち、どの規模・工種・難易度なら受けられるかが重要です。

実際に同社では、百貨店内の化粧品売場のような、曲線加工やガラス、建具を含む難易度の高い工事について、施工負荷を具体的に認識していました。一方、ハイブランド店舗の案件では、二次請けでも一定の利益を確保できる可能性があるという経験もありました。

案件は、件数だけでは判断できません。大型案件を1件受ける場合と、小規模な店舗工事を数件受ける場合では、必要な人数も見積もり時間も異なります。利益が取りやすくても難易度が高い案件もあれば、施工はしやすくても移動や段取りの負担が重い案件もあります。

「何件受けられるか」ではなく、「どの案件なら、何件まで受けられるか」まで分けなければ、営業量と採用人数はつながりません。

受注が見えないまま採用へ踏み切れないのも自然な判断です。反対に、人がいないことを理由に営業を止め続けると、採用後に任せる仕事の見通しも立ちません。この循環を解くには、受注と採用を別々に考えず、同じ計画の中で扱う必要があります。

解決

100社への集中営業と受注見込みを連動させる段階的な進め方

最初から営業件数を最大化する必要はありません。施工と見積もりの余力に合わせ、営業先、商談数、案件条件を絞って始める方法が現実的です。

営業の目的を「できるだけ多く受注すること」から、「採用判断に使える受注見込みをつくること」へ置き換えるのが第一歩です。

1.営業先を「知名度」ではなく案件条件で絞る

候補企業を並べるだけでは、営業量が増えすぎます。今回のように250社を超える候補がある場合も、まずは100社、状況によっては50社まで絞って構いません。

絞り込みでは、次の条件を確認します。

  • 自社が得意とする店舗・商業施設の案件があるか
  • 建物全体ではなく、小規模区画や専門工事だけを発注する可能性があるか
  • 対応可能な地域に案件があるか
  • 自社の施工難易度に合うか
  • 二次請けでも必要な利益を確保できるか

相手企業の売上規模が大きいほどよいとは限りません。大手企業でも小規模案件を協力会社へ発注する場合はあります。反対に、規模が近くても自社施工中心の会社であれば、協力会社として入る余地は限られます。

狙うべき相手は「大きな会社」ではなく、「自社が無理なく利益を出せる案件を継続的に持つ会社」です。

2.見積もり余力から商談数を逆算する

月間のアプローチ件数を先に決めるのではなく、見積もり可能件数から逆算します。

たとえば、現状で新規案件の見積もりを月2件までしか処理できないなら、商談目標もまずは月2件程度に抑えます。営業先100社へのアプローチも、一度に行う必要はありません。優先順位をつけ、施工予定と見積もり担当者の余力を見ながら進めます。

管理項目も複雑にする必要はありません。

  • 相談件数
  • 現地確認が必要な件数
  • 見積もり件数
  • 受注見込み件数
  • 想定工期と必要人数

これらを案件ごとに並べれば、営業を続けられるのか、一時的に絞るべきかを判断しやすくなります。

3.採用判断を受注件数ではなく「必要人数が重なる期間」で行う

採用は、案件が1件決まっただけで判断するものではありません。複数案件の受注確度と工期を並べ、必要人数が一定期間続くかを確認します。

対話の中でも、「安定的にこれくらいの仕事が入るなら、確実に2人採った方がよいと判断できる」という話がありました。大切なのは、この「これくらい」を自社の数字に置き換えることです。

確認したい判断軸は次のとおりです。

  • 受注済み案件だけで何カ月分の稼働があるか
  • 見込み案件を含めると、何人分の仕事になるか
  • 外注対応を続ける場合と採用した場合で、収支がどう変わるか
  • 採用後に一つの取引先へ依存しすぎないか

採用の基準は「仕事が増えそうだから」ではなく、「一定期間、追加人員を稼働させられる見込みが立ったから」と言える状態に置きます。

4.繁忙時に断る場合も、関係そのものは切らない

営業先を増やせば、繁忙期に対応できない相談が来ることもあります。その場合、すべての見積もりに応じる必要はありません。

ただし、「忙しいのでできません」だけで終えると、次の相談につながりにくくなります。次回も声をかけてもらえるよう、少なくとも以下は伝えておきたいところです。

  • 今回対応できない理由
  • 対応可能になる時期
  • 対応できる案件規模や工種
  • 次回相談をもらいたい条件

たとえば、「現在の工程では今月着工は難しいものの、来月以降の店舗区画工事であれば検討できます」と返せば、自社の対応条件を相手に残せます。

断るべきなのは無理な案件であって、取引先との接点まで断つ必要はありません。

営業先とのやり取りを社長一人に集めず、メールの共有や返信文のひな型を用意しておくことも、対応負荷を抑える助けになります。

まとめ

人手不足の建設会社にとって、営業と採用はどちらかを先に決めれば解決する問題ではありません。施工余力だけでなく、商談や見積もりまで含めた対応力を把握し、受注見込みに応じて採用判断へ移る流れが必要です。

営業先を絞り、商談数を抑え、対応可能な案件条件を明確にすることで、人が足りない会社でも営業を止めずに進められます。

まずは、次の順番で整理すると進めやすくなります。

  1. 対応できる工種・規模・地域を決める
  2. 月間の見積もり可能件数を確認する
  3. その件数に合わせて営業先と商談数を絞る
  4. 受注見込みと必要人数を月別に並べる
  5. 一定期間の稼働が見えた段階で採用を判断する

営業を増やしすぎないことと、営業を止めないことは両立できます。自社の処理能力に合わせて営業量を調整できれば、受注と採用の「鶏が先か、卵が先か」という状態から少しずつ抜け出せます。

自社に合う営業量と採用の基準を整理したい方へ

「何社に営業すればよいのか」「どの程度の受注見込みがあれば採用できるのか」は、現在の人員、見積もり体制、案件規模によって変わります。まだ数字が固まっておらず、何から整理すべきか分からない段階でも問題ありません。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、案件獲得、人材確保、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。受注を増やすことだけを目的にせず、施工余力や採用計画に合った進め方を一緒に組み立てます。

無理に営業を進めることはありません。自社の場合はどう考えるべきかを整理する場として、お気軽にご活用ください。

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