国土交通省は、老朽化マンションの再生検討や長寿命化に向けた先導的な取組を支援する「マンションストック長寿命化等モデル事業」について、令和8年度第2回の採択プロジェクトを公表しました。
今回の募集では、11者11件の応募があり、評価委員会の評価を踏まえて8者8件が採択されました。第3回の応募期間も、令和8年9月14日(月)から9月18日(金)までと示されています。
発表内容 | 「マンションストック長寿命化等モデル事業」令和8年度第2回採択プロジェクトの決定 |
応募件数 | 11者11件 |
採択件数 | 8者8件 |
採択内訳 | 先導的再生モデルタイプ:計画支援5件、建替工事支援3件 |
第2回提案受付期間 | 令和8年6月22日~6月26日 |
第3回応募期間 | 令和8年9月14日(月)~9月18日(金) |
計画支援の主な補助事業者 | マンション再生コンサル、設計事務所、管理会社 等 |
計画支援の補助率等 | 定額。原則上限500万円/年、最大3年。評価委員会が必要と認める場合は1事業あたり1,500万円上限 |
工事支援の主な補助事業者 | 施工業者、買取再販業者 等 |
工事支援の補助率 | 1/3 |
1週間で 22件の相談 がありました
- 9月14日外構工事会社静岡県案件獲得の相談
- 9月13日外構工事会社沖縄県案件獲得の相談
- 9月13日配管工事会社神奈川県人材確保の相談
- 9月13日総合土木大阪府業務効率化システムの相談
- 9月13日塗装工事会社愛知県協力会社探しの相談
- 9月12日工務店北海道人材確保の相談
- 9月12日総合土木神奈川県人材確保の相談
- 9月12日防水工事会社群馬県協力会社探しの相談
- 9月12日塗装工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月11日工務店福岡県案件獲得の相談
- 9月11日外構工事会社沖縄県業務効率化システムの相談
- 9月11日解体工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月11日電気設備工事会社三重県案件獲得の相談
- 9月10日内装工事会社兵庫県人材確保の相談
- 9月10日外構工事会社神奈川県協力会社探しの相談
- 9月10日総合建築宮崎県利益率向上の相談
- 9月9日総合土木兵庫県人材育成の相談
- 9月9日内装工事会社秋田県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社茨城県業務効率化システムの相談
- 9月8日工務店秋田県人材確保の相談
- 9月8日工務店広島県人材確保の相談
- 9月8日内装工事会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月7日塗装工事会社三重県利益率向上の相談
- 9月7日総合建築長崎県案件獲得の相談
- 9月7日防水工事会社三重県業務効率化システムの相談
- 9月6日内装工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月5日設備保全会社東京都高卒採用の相談
- 9月5日総合土木北海道原価管理の相談
- 9月5日内装工事会社千葉県案件獲得の相談
- 9月5日設備保全会社茨城県協力会社探しの相談
今回のニュースは「採択結果」だけでなく、改修市場の方向性を示しています
今回の発表は、単なる採択結果の公表ではありません。
中小建設業にとって大事なのは、国がどのようなマンション再生を「先導的」と見ているかです。
採択された案件には、次のようなテーマが並んでいます。
- 自主建替えを前提とした団地再生
- 建物・敷地の一括売却に向けた検討
- 耐震性能、外皮性能、設備配管、バリアフリーを含む一棟リノベーション
- 管理規約や長期修繕計画がない自主管理マンションの再生手法検討
- 高台避難デッキを核にした浸水対応型まちづくり
- 小規模マンションの建替え
- 複数団地が関係する団地型マンションの建替え
- 駅前の用途複合マンションの建替え
つまり、老朽化マンションの課題は「外壁を直す」「防水をやる」だけでは収まらなくなっているということです。
給排水管。 耐震性。 断熱性。 バリアフリー。 エレベーター。 浸水対策。 合意形成。 資金計画。 都市計画や地区計画との関係。
現場で見れば、一つひとつは昔からある課題です。 ただ、それらが同時に押し寄せています。
「今回は配管だけ」 「次は防水だけ」 「耐震はまた別で」
そう分けて考えにくいマンションが増えている、という見方ができます。
中小建設業が注目したいのは「計画支援」と「工事支援」の両方です
この事業には、大きく見ると計画段階への支援と、工事段階への支援があります。
計画支援では、マンション再生コンサル、設計事務所、管理会社等が補助事業者として示されています。補助率等は定額で、原則上限500万円/年、最大3年です。
工事支援では、施工業者、買取再販業者等が補助事業者として示されています。補助率は1/3です。
ここで大切なのは、施工会社が工事段階だけを待つのではなく、計画段階でどのような課題が整理されているかを早めに知ることです。
老朽化マンションでは、管理組合や区分所有者の合意形成に時間がかかります。 費用負担の話も出ます。 仮住まいや工期の話も出ます。 建築費高騰の影響もあります。
今回の採択案件でも、建築費高騰、住民負担、保留床販売リスク、施工リスクなどが具体的に触れられています。
中小建設業としては、「見積を出して終わり」ではなく、「複数案を比較できる材料を出せる会社」になることが強みになります。
たとえば、以下のような整理です。
- 更新しない場合のリスク
- 最小限の修繕案
- 性能向上を含む改修案
- 仮設や居住者対応を含めた工程案
- 工事費が上がった場合の見直し余地
- 給排水、電気、防水、外壁、耐震を分けた優先順位
管理組合側は、最初から完璧な答えを持っていません。 「どこから手をつければよいか分からない」という状態が普通です。
そこに、現場を知る会社が分かりやすく選択肢を出せると、信頼は大きく変わります。
採択案件から見える実務テーマは、設備・耐震・バリアフリー・防災です
今回の採択プロジェクトには、老朽化マンションで起きやすい実務課題が具体的に出ています。
たとえば、PDFで示された各案件には、次のような課題が記載されています。
- 耐震性不足
- EV未設置
- スラブ下配管
- 漏水事故の多発
- 埋設管の腐食
- 給排水設備の老朽化
- 断熱性能不足
- バリアフリー未対応
- アスベスト調査
- 電気設備・給水管劣化診断
- 水質検査
- 既存住宅状況調査
- 水害時の垂直避難スペース
かなり現場寄りです。
これは、マンション再生の話が、制度や不動産開発だけで完結しないことを示しています。
実際に建物を見て、劣化を診断し、工法を選び、居住者が生活しながら進められる工程に落とす力が必要です。
ここは、中小建設業にも十分に出番があります。
もちろん、採択されるようなモデル事業は、先導性や汎用性が問われます。 すべての大規模修繕が対象になるわけではありません。
ただ、国が評価している方向性は読み取れます。
単なる原状回復ではなく、長寿命化、性能向上、防災、合意形成まで含めた再生提案が重視されているということです。
「建築費高騰」を前提にした提案力が問われています
今回の資料では、複数の採択案件で建築費高騰が課題として出ています。
たとえば、多摩川住宅ト号棟では、工事費高騰の影響等からデベロッパーの協力が得られず、事業規模の縮小が必要な状況とされています。
鷺沼コーナスでは、建築費高騰により、当初検討していたコーポラティブ方式の自主建替えでは事業成立が困難となり、事業方式の再検証を行ったとされています。
これは、建設会社にとっても他人事ではありません。
管理組合や発注者は、これからますますこう考えます。
「この金額で本当に最後までできるのか」 「追加費用が出たらどうなるのか」 「どこまでやるべきで、どこは後回しにできるのか」
そのときに、概算、優先順位、代替案、リスク説明をセットで出せる会社は選ばれやすくなります。
逆に、金額だけを出す見積では、比較検討の土台に乗りにくくなるかもしれません。
これからのマンション改修では、技術力に加えて、説明力が要ります。 管理組合の理事会で説明できる資料。 住民説明会で伝わる工程。 高齢の区分所有者にも分かる費用負担の考え方。
現場の腕に、少しだけ「伝える力」を足す。 そこに商機があります。
第3回応募期間は令和8年9月14日から9月18日までです
令和8年度第3回の応募期間は、次のとおりです。
令和8年9月14日(月)~令和8年9月18日(金)
応募を検討する場合は、国土交通省が案内している事業ページで、最新の募集要領や要件を確認する必要があります。
特に確認したいのは、次の点です。
- 自社が補助事業者になり得る立場か
- 対象となるマンションの課題が具体化しているか
- 先導性、モデル性を説明できるか
- 管理組合、設計者、施工者、管理会社などの役割分担が整理されているか
- 調査、検討、工事のどの段階で申請するのか
この制度は、通常の営業案件をそのまま補助対象にするというより、全国展開が期待されるモデル的な取組を支援する性格があります。
ですから、応募を考えるなら、「補助金が使えるか」だけでなく、その工事や検討が、老朽化マンション再生の課題解決としてどう意味を持つのかを整理することが大切です。
自社の改修提案を一段深くする機会にしたいです
中小建設業にとって、マンション改修は身近な市場です。
外壁。 防水。 給排水管。 電気設備。 共用部。 バリアフリー。 耐震。
すでに関わっている会社も多いはずです。
ただ、今後は「頼まれた箇所を直す」だけではなく、建物全体の寿命、住民の負担、災害対応、将来の資産価値まで見た提案が求められやすくなります。
今回の採択結果は、その流れをかなり具体的に示しています。
すぐにモデル事業へ応募しない会社でも、学べることはあります。
自社の見積書は、比較検討しやすい形になっているか。 劣化診断と工事提案がつながっているか。 管理組合に説明できる資料があるか。 工事費高騰時の見直し案を出せるか。 専門工事会社同士で連携できる体制があるか。
このあたりを整えるだけでも、マンション改修の営業力は変わります。
老朽化マンションの増加は、建設業にとって大きな社会課題であり、同時に地域に根ざした会社が力を発揮できる仕事でもあります。
自社ならどう関われるかを整理するところから
今回の制度や採択案件を見て、「うちも応募できるのか」「元請でなくても関われるのか」「管理組合向けの提案をどう作ればよいのか」と感じた会社もあると思います。
最初から申請や事業計画まで固める必要はありません。 まずは、自社の強みがどこにあるかを整理するだけでも十分です。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。マンション改修や長寿命化のように、技術、見積、体制、説明資料がつながるテーマでは、会社ごとの立ち位置を一緒に確認することが大切です。
「うちの場合はどう考えるべきか」「何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、ニュースを読んだ後の整理先として、必要に応じてご相談ください。