前提

社長が見渡せる人数と既存取引先で、年間の仕事を無理なく回せている専門工事会社

ある専門工事会社では、大手建設会社や設備会社から受ける仕事を軸にしながら、請負条件の異なるプラント関連工事も組み合わせていました。現在の人員と取引先で年間の予定をおおむね埋められており、社長自身も「今はちょうどいいバランスです」と話します。

仕事が足りないわけではありません。一方で、元請け開拓や営業強化に関心がないわけでもありません。知人の経営者から紹介を受けることもあり、新しい取引先と接点をつくれる見込みもあります。

ただし、人を増やせば、その人員を継続して稼働させる仕事が必要です。営業によって仕事が増えれば、施工人員だけでなく、書類対応や原価管理、現場管理の負荷も増えます。

「これ以上人を増やすと、当然、取引先も必要になる。コスト管理も増えてくる。自分で見られる範囲は今くらいです」

この言葉には、小規模な建設会社が採用と営業を考えるうえでの本質が表れています。売上を増やせるかではなく、受注・施工・管理を無理なく連動させられるかが、成長の判断基準です。

1週間で 18件の相談 がありました

  • 10月6日防水工事会社大阪府業務効率化システムの相談
  • 10月6日配管工事会社福井県人材確保の相談
  • 10月5日電気設備工事会社大阪府高卒採用の相談
  • 10月5日配管工事会社埼玉県人材育成の相談
  • 10月5日ビルメンテナンス千葉県案件獲得の相談
  • 10月4日総合建築長野県人材育成の相談
  • 10月4日電気設備工事会社新潟県人材育成の相談
  • 10月4日内装工事会社鳥取県人材確保の相談
  • 10月4日塗装工事会社愛知県人材育成の相談
  • 10月3日空調設備工事会社鳥取県業務効率化システムの相談
  • 10月3日総合建築茨城県原価管理の相談
  • 10月2日総合建築岩手県利益率向上の相談
  • 10月2日内装工事会社熊本県原価管理の相談
  • 10月2日リフォーム会社滋賀県業務効率化システムの相談
  • 10月2日造園会社福岡県案件獲得の相談
  • 10月1日電気設備工事会社島根県人材確保の相談
  • 10月1日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
  • 10月1日総合土木岩手県人材確保の相談
  • 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
  • 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
  • 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
  • 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
  • 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
  • 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
  • 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
  • 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
  • 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
  • 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
  • 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
建設業界のプロ人材による360度経営支援 資料ダウンロード
課題

仕事を先に取れば現場が回らず、人を先に採れば固定費だけが増える循環

採用と営業は、どちらか一方だけを先に進めればよいとは限りません。営業を先行すると施工能力を超える受注につながる可能性があり、採用を先行すると仕事が確定するまでの人件費負担が発生します。

この会社でも、営業を外部に任せることを検討した時期がありました。しかし、社長が立ち止まった理由は明確です。

「営業をやってもらおうかと思ったけれど、結局、人がいないと仕事を取っても行けないじゃないですか」

一方、人を採ろうとしても、採用はすぐに決まるものではありません。候補者が見つかっても、入社時期や保有資格、現場への適応を考えると、採用人数がそのまま施工能力になるとは限りません。

整理すると、次の循環が起きています。

  • 営業を強めるには、受注後に動ける人員が必要
  • 採用を進めるには、入社後に任せる仕事が必要
  • 人員と仕事を増やすと、車両や道具、管理業務などの負担も増える
  • 外注を増やす場合も、品質や入場条件を満たす協力会社が必要

採用か営業かという二択ではなく、「どこまでなら先行投資できるか」と「受注後に誰が施工するか」をセットで決める必要があります。

背景

現在の仕事量が安定しているほど、成長によって増える管理負担を慎重に見たくなる事情

この会社が採用にも営業にも踏み切らないのは、成長意欲がないからではありません。むしろ、数年にわたって攻めてきたからこそ、規模を広げた後に増える負担が見えています。

「大きくなって売上が上がれば、それなりに抱えるものも増えます。その先には行きたいけれど、今は不満もないんです」

実際、直近では車両などへの設備投資も重なっていました。ここで人件費を増やし、さらに営業費用まで追加すれば、売上が立つ前に支出が先行します。受注額だけでなく、資金が出ていく時期まで見なければなりません。

取引先の事情もあります。大手の現場は一定の仕事量が期待できる一方、単価や入場条件が定められ、書類や人員に関する細かな要請もあります。新しい協力会社を連れて行けば、「この人は入れないでほしい」といった判断を受けることもあります。

そのため、自社採用の代わりに協力会社を増やせば簡単に解決するとも限りません。社長は「知っている範囲の人たちで、今の一年間は回せる」と捉えていました。

また、取引先は大手一社に寄せればよいわけでもありません。特定の会社の仕事が一時的に切れる可能性を考え、複数の取引先とのバランスを保つ必要があります。

現在の体制で仕事が回っている会社ほど、採用や営業の判断は「売上が増えるか」ではなく、「今の安定を崩してまで進める根拠があるか」という問いになります。 現状維持は消極策ではなく、利益や資金を確認し、次に動ける余力を蓄えるための選択にもなります。

解決

稼働率・受注見込み・採用期間・外注余力・固定費を並べて、小さく営業を検証する進め方

採用と営業の順番は、社長の感覚だけで決めず、現在の供給力と将来の仕事量を同じ表に置くと判断しやすくなります。まず整理したいのは、次の5項目です。

  1. 現在の稼働率

自社の職人が何日稼働しており、突発対応や繁忙期に使える余力がどれだけあるかを確認します。予定が埋まっていても、現場間の移動や手待ちが多ければ、組み替えによって対応できる可能性があります。

  1. 受注見込みの確度と時期

紹介の話、見積提出、受注内定、着工決定を分けて把握します。「話を聞いてくれる取引先がいる」ことと、「毎月一定量を発注してもらえる」ことは別です。

  1. 採用に必要な期間

募集開始から入社までだけでなく、現場を任せられるまでの期間も含めます。資格や経験が必要な工事では、採用人数ではなく、いつからどの現場を任せられるかで考えることが大切です。

  1. 外注・協力会社の活用余地

一時的な受注増を協力会社で吸収できるか、元請けの入場条件や品質基準を満たせるかを確認します。人数だけでなく、書類対応、安全面、現場との相性まで含めた確認が必要です。

  1. 固定費と先行支出への耐力

給与だけでなく、社会保険、車両、工具、作業着、教育、管理時間まで見込みます。売上の入金より先に発生する支出を、何カ月まで吸収できるかも判断材料になります。

この5項目を整理すると、選択肢は大きく三つに分かれます。

採用を先行しやすい状態

すでに断っている仕事があり、既存取引先からの発注量も比較的読める場合です。採用後に任せる現場が見えており、入社までの人件費や採用費を吸収できるなら、採用を先に進める理由があります。

ただし、「仕事はあるはず」という見込みだけでなく、工期、必要資格、配置人数まで落とし込むことが欠かせません。

営業を先行しやすい状態

人員に余力がある、または協力会社で初期案件を吸収できる一方、数カ月先の受注が薄い場合です。この場合は、いきなり営業担当者を採用するより、まず対象業種や地域を絞って需要を確かめる方法があります。

営業活動では、アポイント数だけでなく、次の数字を見ます。

  • どの取引先層から反応があったか
  • 見積依頼まで進んだ件数
  • 想定される工事時期と必要人数
  • 自社の希望単価や粗利に合うか
  • 継続発注につながる可能性があるか

営業先行の目的は、すぐに大量受注することではなく、採用しても仕事を切らさない市場があるかを確かめることです。

採用と営業を段階的に同時進行する状態

仕事の可能性はあるものの受注量が読めず、採用にも時間がかかる場合です。小規模な専門工事会社では、この進め方が現実的です。

たとえば営業先を一つの工事領域や地域に絞り、限られた期間で反応を確認します。同時に、正社員採用だけでなく、経験者との接点づくりや協力会社候補の確認を進めます。見積依頼が増え、着工時期と必要人数が見えてから、採用活動の強度を上げます。

ここで重要なのは、受注の上限を事前に決めることです。「月に何現場までなら既存人員で対応できるか」「それを超えた場合に誰へ依頼するか」を決めておけば、営業成果が出た後に現場が混乱しにくくなります。

小さく営業を試し、反応を数字で確認しながら、採用と協力会社の準備を一段ずつ進める。この順番なら、仕事と人員のどちらかだけが先に膨らむ状態を避けやすくなります。

まとめ

採用と営業のどちらを先に進めるかは、会社の成長意欲だけでは決められません。現在の稼働率、受注見込み、採用期間、協力会社の活用余地、固定費への耐力を並べて初めて、自社に合う順番が見えてきます。

現状の人員と取引先で一年間を無理なく回せているなら、すぐに規模を広げない判断にも合理性があります。まず利益や資金を確認し、次に攻められる基盤を整える時期と考えられます。

一方、将来の成長に向けて動くなら、最初から大量の仕事や人員を抱える必要はありません。営業先を絞って需要を検証し、受注の確度に応じて採用や協力会社の準備を進める方法があります。

「採用か営業か」ではなく、「どこまで小さく試し、どの数字がそろったら次へ進むか」を決めることが、無理のない成長につながります。

自社に合う採用と営業の順番を整理するために

「うちの場合は採用と営業のどちらから始めるべきか」「今の体制で、どこまで仕事を増やせるのか」と迷う場合は、受注状況と施工体制を一緒に整理するところから始められます。

ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の販路拡大、人材確保、組織づくり、原価管理、デジタル活用を横断して整理し、必要な施策の実行まで支援しています。何から手をつけるべきか決まっていない段階でも問題ありません。無理にサービスを勧めることはありませんので、次の経営判断を整理する場として気軽にお声がけください。

お問い合わせはこちら