国土交通省は、令和8年度の「海洋ドローンの利活用に関する地域モデル創出のための実証事業」として、2件の実証実験を選定しました。対象は、岡山県笠岡市周辺の海底送水管の維持管理と、青森港での水中ドローンを活用した船底付着生物検査です。成果は本年度末に公表予定です。
発表日 | 令和8年9月30日 |
事業名 | 令和8年度 海洋ドローンの利活用に関する地域モデル創出のための実証事業 |
選定件数 | 2件 |
選定実証1 | 株式会社エイト日本技術開発「海底送水管の維持管理に関する実証(笠岡モデル)」 |
選定実証2 | 株式会社MizLinx「青森港における水中ドローンを活用した船底付着生物検査の地域モデル実証」 |
成果公表 | 本年度末に公表予定 |
1週間で 19件の相談 がありました
- 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
- 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
- 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
- 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
- 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
- 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
- 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
- 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
- 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
- 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
- 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
- 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
- 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
- 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
- 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
- 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
- 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
- 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
- 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
建設業が見るべきポイントは「水中インフラ点検の省人化」です
今回の発表は、単なるドローン技術のニュースではありません。
中小建設業、とくに海洋土木、港湾、上下水道、インフラ維持管理に関わる会社にとっては、水中・海底の点検業務が、潜水士や目視中心から、ドローンとデータ活用へ移っていく流れとして見ておきたい内容です。
国土交通省は、沿岸・離島地域の海が抱える課題として、次のような点を挙げています。
- 高齢化・過疎化による担い手不足
- インフラ老朽化
- 海域の自然環境劣化
これらは、建設業の現場でもそのまま感じる課題です。
「人が足りない」 「危険な作業を減らしたい」 「点検に時間と費用がかかる」 「記録を残して、次の修繕判断につなげたい」
こうした悩みに対して、AUV、ASV、ROVなどの海洋ドローンを使い、海の中を「見える化」しようとしています。
今回の実証は、将来の公共インフラ維持管理の発注内容や必要技術が変わる兆しとして捉えるとよさそうです。
笠岡モデルは、海底送水管の維持管理をドローンで効率化する実証です
1件目は、株式会社エイト日本技術開発による「海底送水管の維持管理に関する実証(笠岡モデル)」です。
対象となる笠岡諸島の海底送水管は、有人7島の唯一の送水ルートとされています。総延長は約18kmです。
PDFでは、この海底送水管について、更新完了までの20〜30年間、既設管の維持管理が不可欠だと説明されています。現行の点検手法として、ダイバー・ROVの目視調査や、断水を伴う気泡調査が挙げられています。
課題は明確です。
費用がかかる。日数がかかる。断水が島民生活に影響する。
実証では、AUVなどにセンサーを搭載し、次のような確認を行う計画です。
- サイドスキャンソナーで海底面の音響画像を取得する
- 送水管の露出・埋没状況を把握する
- 高感度磁気センサーで管路位置を特定する
- 多項目水質センサーで水質の三次元分布を測定する
- 低塩分、低pH、高濁度などの異常から漏水箇所を絞り込む
目指しているのは、断水や潜水作業を伴わずに、海底送水管の状態把握から漏水箇所の絞り込みまでを一貫して行うことです。
これは、上下水道や農業用水、港湾施設、海底管路などに関わる会社にとって、かなり現実味のあるテーマです。
今後、自治体が老朽インフラを維持するうえで、「潜水士を手配して確認する」だけでなく、「データを取得し、位置を特定し、修繕計画につなげる」発注が増えていく可能性があります。
中小企業としては、すぐにAUVを購入するという話ではありません。まずは、自社が関わるインフラの中に、水中点検・管路位置確認・漏水調査のニーズがあるかを洗い出すところからで十分です。
青森港モデルは、停泊中の船底検査を水中ドローンで補助する実証です
2件目は、株式会社MizLinxによる「青森港における水中ドローンを活用した船底付着生物検査の地域モデル実証」です。
こちらは、停泊中の船舶に対して、岸壁などから水中ドローンを投入し、船底の状態を短時間で記録する実証です。
対象として挙げられているのは、次のような確認です。
- 船底付着生物の状態確認
- 塗膜の剥離・損傷兆候の確認
- プロペラ、舵、海水取入口周辺の状態確認
PDFでは、潜水士に依存してきた停泊中の船底検査を、水中ドローンで代替・補助することが示されています。
特に重要なのは、潜水作業をすべて置き換えるというより、潜水士が確認すべき箇所を事前に絞り込むという考え方です。
これは建設現場にも通じます。
いきなり人の作業をゼロにするのではありません。まず機械で広く確認する。異常がありそうな場所を絞る。最後は人が判断する。そうすれば、危険作業や手戻りを減らせます。
今回の実証では、30分、60分、120分以上といった時間枠別のメニューも検証される予定です。停泊時間内にどこまでできるか。実務で使えるか。ここが見られます。
中小建設業にとっても、「限られた時間で、どこまで安全に記録を残せるか」は今後の点検業務の大事な競争力になります。
中小建設業は「機械を買うか」より「仕事の型が変わるか」を見たいところです
こうしたニュースを見ると、「うちには関係ない」「高そうな機械の話だ」と感じる会社もあると思います。
その感覚は自然です。
ただ、今回見ておきたいのは、機材そのものよりも、発注者が求める点検・維持管理の型が変わる可能性です。
これまでの点検業務は、経験、目視、現場判断に大きく支えられてきました。もちろん、そこは今後も大切です。
一方で、これからは次のような力も求められやすくなります。
- ドローンやセンサーで取得したデータを扱う力
- 写真・動画・位置情報を整理する力
- 点検結果を修繕提案につなげる力
- 協力会社や技術会社と組んで案件を組成する力
- 安全計画や水域利用調整を含めて段取りする力
特に中小企業は、単独ですべてを持つ必要はありません。
自社は現場を知っている。地域の施設を知っている。発注者との関係を持っている。そこに技術会社のドローン運用や解析を組み合わせる。
この形は、かなり現実的です。
海洋ドローンは、ただの新技術ではなく、地域インフラを守るための分業の組み替えでもあります。
今回の実証成果で確認したい3つの視点
成果は本年度末に公表予定です。
公表後に見るべきポイントは、次の3つです。
1つ目は、従来手法と比べて、費用・日数・安全面でどの程度の効果があったのかです。 実証で「できた」だけでは、実務には入りません。現場で続けられるかが大事です。
2つ目は、取得したデータが、修繕判断や維持管理計画に使える品質だったのかです。 映像が撮れた、画像が取れた、だけでは足りません。次の工事、次の点検、次の予算要求につながるかが重要です。
3つ目は、地域の関係者調整まで含めて運用できたのかです。 海や港での作業は、漁協、港湾管理者、船社、自治体などとの調整が欠かせません。機械の性能だけでなく、段取りの型が見えてくるかに注目です。
中小建設業としては、成果公表を待ちながら、社内で次のように話しておくとよさそうです。
「うちの近くにも、似たような水中インフラはないか」 「潜水士不足や点検費用で困っている発注者はいないか」 「ドローン会社や測量会社と組めば、提案できる仕事はないか」 「記録を残す点検業務を、自社の強みにできないか」
大きな設備投資の前に、まずはこの会話からで十分です。
現場を知る会社ほど、新技術を“使える仕事”に翻訳できます。
自社に関係する海・水中インフラを一度整理してみる
今回の海洋ドローン実証は、沿岸部や港湾だけの話に見えるかもしれません。けれど、実際にはインフラ老朽化、人手不足、安全確保、点検記録の高度化という、建設業全体に共通するテーマを含んでいます。
「自社の地域では関係があるのか」 「協力会社と組めば提案できるのか」 「点検・維持管理を新しい事業にできるのか」
こうした整理は、早めに始めておくと選択肢が増えます。
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