国土交通省は、建築基準の整備・改正に向けて、民間事業者等から「今後整備を進めるべきテーマ」を募集すると発表しました。募集期間は、令和8年10月5日から11月30日までです。
今回の募集は、建築基準法などに関する基準について、民間の知見を活用しながら整備を進めるためのものです。将来的な「建築基準整備促進事業」の対象テーマを決める前段階として実施されます。
発表内容 | 建築基準の整備に向けたテーマ募集 |
募集期間 | 令和8年10月5日(月)から11月30日(月)まで |
対象となる基準 | 建築基準法、省エネ法、住宅品確法、長期優良住宅法に規定する建築基準 |
提案方法 | 建築性能基準推進協会ホームページの「課題提案様式」に記入し、提案受付窓口へメール送付 |
位置づけ | 建築基準整備促進事業の実施に先立ち、調査等の対象テーマを決めるための公募 |
留意点 | 予算成立に伴い、事業課題の採否に変更が生じる可能性あり |
1週間で 18件の相談 がありました
- 10月6日防水工事会社大阪府業務効率化システムの相談
- 10月6日配管工事会社福井県人材確保の相談
- 10月5日電気設備工事会社大阪府高卒採用の相談
- 10月5日配管工事会社埼玉県人材育成の相談
- 10月5日ビルメンテナンス千葉県案件獲得の相談
- 10月4日総合建築長野県人材育成の相談
- 10月4日電気設備工事会社新潟県人材育成の相談
- 10月4日内装工事会社鳥取県人材確保の相談
- 10月4日塗装工事会社愛知県人材育成の相談
- 10月3日空調設備工事会社鳥取県業務効率化システムの相談
- 10月3日総合建築茨城県原価管理の相談
- 10月2日総合建築岩手県利益率向上の相談
- 10月2日内装工事会社熊本県原価管理の相談
- 10月2日リフォーム会社滋賀県業務効率化システムの相談
- 10月2日造園会社福岡県案件獲得の相談
- 10月1日電気設備工事会社島根県人材確保の相談
- 10月1日配管工事会社埼玉県業務効率化システムの相談
- 10月1日総合土木岩手県人材確保の相談
- 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
- 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
- 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
- 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
- 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
今回のポイントは「制度が決まった後」ではなく「制度を整える前」の募集であることです
今回の発表は、すぐに新しい義務が始まるという話ではありません。
重要なのは、建築基準の整備・改正に向けて、民間事業者の視点からテーマを出せる段階であるという点です。
建設業では、制度が決まってから対応する場面が多くなりがちです。法改正、確認申請、省エネ基準、住宅性能、長期優良住宅。決まった後に読み込み、社内に伝え、現場で運用する。これだけでも相当な負荷があります。
しかし今回は、その前段階です。
「この基準は現場実態と合っていない」 「この部分は解釈が分かれやすい」 「この技術について、基準整備が進めば使いやすくなる」
そうしたテーマを、制度整備の入口に届ける機会と見ることができます。
対象は建築基準法だけではありません
提案募集の対象は、建築基準法に限られていません。国土交通省の発表では、次の法律に規定する基準が対象とされています。
- 建築基準法
- 建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律
つまり、建築確認や構造・防火だけでなく、省エネ性能、住宅品質、長期優良住宅に関わる基準も視野に入るということです。
住宅会社、工務店、専門工事会社、設計事務所、建材・設備に関わる事業者にとって、関係する範囲は決して狭くありません。
特に中小建設業では、制度の文章そのものよりも、現場での運用に悩みが出ます。
たとえば、基準への適合確認、設計者との役割分担、施主への説明、追加コストの整理、検査対応、書類作成。こうした実務のどこかに、毎回つまずく箇所がある会社も少なくないはずです。
今回の募集は、そうした実務上の違和感を「愚痴」で終わらせず、基準整備のテーマとして言語化するきっかけになります。
「建築基準整備促進事業」とは何か
今回の募集は、「建築基準整備促進事業」の実施に先立って行われるものです。
国土交通省の説明では、この事業は、建築基準の整備促進に資するテーマについて、調査や技術基準の原案作成を行う民間事業者等を支援する補助事業とされています。
ただし、今回の募集は、補助事業そのものへの応募ではありません。
位置づけとしては、次年度以降に速やかに事業を開始できるよう、あらかじめ事業課題を公募するものです。国土交通省も、予算成立に伴い、事業課題の採否に変更が生じる可能性があると説明しています。
ここは冷静に見ておきたいところです。
今回テーマを出したからといって、直ちに制度改正が行われるわけではありません。補助金の採択が約束されるわけでもありません。
それでも、現場の課題を制度整備の論点に載せる機会であることは間違いありません。
中小建設業は何を見ればよいか
まず見るべきは、自社の日常業務の中に、建築基準に関する「毎回の引っかかり」があるかどうかです。
見るポイントは、次のように整理できます。
- 基準の解釈が分かれやすい場面はないか
- 新しい工法・材料・設備を使う際に、基準面で進みにくい場面はないか
- 省エネ性能や住宅性能の説明・確認で、過度に手間がかかっている部分はないか
- 長期優良住宅などの制度対応で、実務上の負担が大きい箇所はないか
- 安全性や品質を高めたいのに、基準の整備が追いついていないと感じる部分はないか
大切なのは、単なる不満ではなく、「どの基準について、何が課題で、整備されるとどんな効果があるのか」まで整理することです。
中小企業1社だけで提案をまとめるのが難しい場合もあります。その場合は、業界団体、取引先、設計者、メーカー、協力会社と論点を共有するだけでも意味があります。
「うちだけの困りごと」だと思っていたものが、実は業界全体のボトルネックだった。そういうことは、建設業ではよくあります。
経営者目線では、制度対応を“受け身”から“参加型”に変える機会です
建設業の経営において、基準や制度は避けて通れません。
人手不足、原価高、工期管理、品質確保。現場はすでに忙しい。その中で基準対応が増えると、どうしても「またルールが増えた」と感じやすくなります。
ただ、今回のような募集は少し見方を変えられます。
制度は、決まったものに従うだけでなく、整備される前に現場の知見を届けられる場合があるということです。
もちろん、すべての提案が採用されるわけではありません。けれど、制度づくりの側に現場の情報が届かなければ、実態とのズレは残り続けます。
中小建設業にとって大事なのは、大きな政策論を語ることではありません。
自社の現場で起きている具体的な困りごとを、制度の言葉に翻訳することです。
これができる会社は、今後の制度改正にも強くなります。社員への説明も速くなります。顧客への提案にも説得力が出ます。
まずは社内の「基準で止まる場面」を棚卸ししたい
今回の募集期間は、令和8年10月5日から11月30日までです。
提案を検討する会社は、建築性能基準推進協会のホームページにある「課題提案様式」を確認し、必要事項を記入したうえで、指定の提案受付窓口へメール送付する流れです。
社内で最初にやることは、難しくありません。
直近1年ほどで、建築基準、省エネ、住宅品質、長期優良住宅に関して、現場・設計・営業・管理部門が困った場面を集めることです。
そのうえで、次の3点に絞って整理すると、提案テーマとして考えやすくなります。
- どの基準に関する課題か
- 現場や顧客対応で、どのような支障が出ているか
- 基準が整備されることで、どのような改善が見込まれるか
制度は遠くにあるようで、実は毎日の現場にあります。
今回の募集は、その距離を少し縮める機会です。
自社の課題を制度の言葉に整理するために
建築基準や省エネ、住宅性能に関する課題は、現場では具体的に見えていても、いざ文章にしようとすると難しいものです。
「何に困っているのか」 「それは制度の問題なのか、社内運用の問題なのか」 「提案として出すなら、どこまで整理すべきか」
このあたりを一度棚卸しするだけでも、今後の制度対応力は上がります。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、採用、組織、原価、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設企業がものづくりに集中できる状態をつくるために、制度対応や業務整理も含めて一緒に考えます。
「うちの場合は提案するほどの内容なのか」「まず何から整理すべきかわからない」という段階でも大丈夫です。無理な営業はいたしませんので、必要な論点整理の場としてご活用ください。