施工管理システムを導入して約1年、Excelと紙の管理も残る専門工事会社
首都圏で原状回復や修繕工事を手がける、ある専門工事会社では、施工管理システムの導入を進めていました。
案件受付後の初期設定やフォルダ作成は一部自動化され、原状回復で約200件、修繕で数百件の案件データも登録済みです。受注案件の依頼書をシステム上で作る方針も決まっていました。
一方、これまでの手配はExcel、金額の取りまとめは紙が中心です。見積もり管理にも既存の仕組みがあり、実務としては問題なく回っています。
さらに、過去数年分の見積項目を検索するデータベースや、仕入価格を比較する仕組みも試作されていました。動くものはできていますが、まだ日常業務では使われていません。
「案件は入れられるようになった。でも、どう使っていけばいいのか、それぞれがまだ分かっていない」
システムやデータは用意されていても、既存業務からの切り替え方が決まっていなければ、DXは運用段階に進みません。
1週間で 19件の相談 がありました
- 9月30日外構工事会社鳥取県人材育成の相談
- 9月30日解体工事会社埼玉県協力会社探しの相談
- 9月29日プラント工事会社群馬県人材育成の相談
- 9月29日総合土木宮城県業務効率化システムの相談
- 9月29日解体工事会社栃木県利益率向上の相談
- 9月29日設備保全会社愛知県人材育成の相談
- 9月28日工務店千葉県業務効率化システムの相談
- 9月28日総合建築愛知県利益率向上の相談
- 9月28日防水工事会社東京都協力会社探しの相談
- 9月28日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日空調設備工事会社東京都案件獲得の相談
- 9月26日配管工事会社静岡県高卒採用の相談
- 9月26日空調設備工事会社徳島県案件獲得の相談
- 9月26日塗装工事会社和歌山県案件獲得の相談
- 9月25日工務店長崎県業務効率化システムの相談
- 9月25日内装工事会社茨城県人材育成の相談
- 9月24日リフォーム会社愛知県利益率向上の相談
- 9月24日リフォーム会社和歌山県高卒採用の相談
- 9月24日総合建築埼玉県業務効率化システムの相談
- 9月23日防水工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月23日ビルメンテナンス神奈川県高卒採用の相談
- 9月23日電気設備工事会社福岡県高卒採用の相談
- 9月22日プラント工事会社愛知県案件獲得の相談
- 9月22日空調設備工事会社大阪府人材育成の相談
- 9月21日電気設備工事会社沖縄県人材育成の相談
- 9月21日リフォーム会社三重県人材確保の相談
- 9月21日電気設備工事会社神奈川県業務効率化システムの相談
- 9月21日ビルメンテナンス東京都人材育成の相談
- 9月20日工務店茨城県業務効率化システムの相談
- 9月20日内装工事会社愛知県人材育成の相談
施工管理、見積もり、案件管理を並行し、どれも完了しない状態
現場で起きていたのは、方向性の誤りではなく、プロジェクトの増えすぎでした。
- 施工管理システムを社内に浸透させる
- 案件登録や初期設定を自動化する
- 過去の見積データを検索できるようにする
- 仕入価格を比較できるようにする
- 自社業務に合う独自アプリを検討する
どれも必要性のある取り組みです。ただし、同時に進めれば、担当者の時間と社内の受け入れ余力が分散します。結果として「動くものはあるが、運用されていない」という状態が増えていきます。
この会社でも、「施工管理もやらないといけない。見積もりの自動化も進めたい。アプリも作りたい。プロジェクトが並行しすぎて、全部完了しないのが一番怖い」という状況でした。
建設DXが止まる大きな原因は、機能不足よりも、複数の施策を同じ優先度で走らせてしまうことです。
入力負担と二重管理が残り、使うほど現場と事務の仕事が増える構造
導入初期のシステムは、使い始めるだけで仕事が減るとは限りません。既存のExcelや紙を残したまま新しい入力を加えると、むしろ負担が増えます。
この会社では、施工管理システムへの入力をそのまま営業事務や手配担当へ渡すと、処理が間に合わない懸念がありました。そのため、案件登録や初期設定をできる限り自動化しようとしていました。
現場写真にも具体的な不便がありました。1現場で平均200枚ほど撮影する一方、システムでは一度に扱える枚数に制約があります。複数回に分けて撮影・アップロードし、処理を待つ必要がありました。
職人との写真共有や予定確認にはメリットがあります。しかし、入力やアップロードに手間がかかれば、電話や従来の管理方法へ戻りやすくなります。
もう一つの背景は、導入目的が業務単位まで落ちていなかったことです。説明を受けても、「誰が、どの場面で、何を入力し、その後の連絡やExcelを何に置き換えるのか」が決まっていませんでした。
「使い方の説明は受けたけれど、各パートでどう使うかが分かっていない」
これでは、現場側から見ると入力作業だけが増えます。経営側も進捗を確認するたびに、「あれはどうなった」と個別に聞かなければなりません。
新旧の管理方法が併存する二重管理と、役割が曖昧な入力作業が、DXの定着を妨げます。
業務負担と緊急度で対象を一つに絞り、工程を切って定着させる進め方
最初に必要なのは、すべてを完成させる計画ではありません。現在動いている施策を並べ、何を先に終わらせるかを決めることです。
今回のように、すでに施工管理システムの導入が進み、受注案件の運用開始も決まっているなら、まずそこへ集中する選択が現実的です。見積もりの効率化も重要ですが、施工管理の運用が安定してから次のプロジェクトとして着手できます。
優先順位は、次の2軸で整理すると判断しやすくなります。
- 業務負担:現在、誰がどれだけ手間をかけているか
- 緊急度:契約、運用開始日、案件増加などにより、いつまでに必要か
そのうえで、選んだ業務を次の順番で一つのプロジェクトにします。
1.現状の業務を把握する
案件受付から完了までに、誰がExcel、紙、電話、施工管理システムを使っているかを書き出します。細かな業務フロー図を作り込む前に、二重入力と情報の転記が発生している場所を押さえることが先です。
今回であれば、案件登録、依頼書作成、職人への連絡、写真共有、請求管理などを分けて確認します。
2.今回の目的を一つに絞る
「DXを進める」では、完了条件を判断できません。たとえば施工管理システムなら、目的を次のように具体化します。
- 受注案件を一つのシステムで確認できるようにする
- 職人との写真共有を電話以外でも行えるようにする
- 依頼書作成の転記を減らす
一つのプロジェクトでは、何を便利にするかだけでなく、何をやめるかまで決めます。
3.責任者と判断者を分けて決める
実務を進める責任者と、運用変更を決める判断者を明確にします。担当者一人に開発、社内調整、問い合わせ対応まで集めると、通常業務の合間にしか進まなくなります。
責任者は進捗と課題を管理し、経営側は「Excelをいつやめるか」「必須入力をどこまでにするか」といった社内ルールを決めます。
4.工程と完了条件を設計する
「導入する」だけでは工程になりません。少なくとも、次の単位に分けます。
- 現行業務と入力項目の確認
- 対象案件と対象部署の決定
- 初期設定と入力負担の軽減
- 試験運用
- 課題の修正
- 社内展開
- 旧管理方法の終了
各工程に期限と担当者を置きます。週単位で短く確認する場を設けると、使い方が分からないまま止まる期間を減らせます。
5.対象を限定して試験運用する
最初から全部署、全案件で使う必要はありません。新規受注案件だけ、特定の工事区分だけ、特定の担当者だけ、といった形で対象を絞ります。
試験運用で確認するのは、システムが動くかどうかだけではありません。
- 入力に何分かかるか
- 誰の作業が増減したか
- 電話やExcelが本当に減ったか
- 現場写真を無理なく共有できるか
- 入力漏れが起きる場所はどこか
実際の負担を見てから、運用ルールや自動化の範囲を調整します。
6.入力負担を減らしてから社内展開する
案件番号、顧客情報、フォルダ作成など、同じ内容を繰り返し入力する業務は、自動化やデータ連携の対象です。導入初期ほど、現場が受ける「使いにくさの衝撃」を小さくする工夫が欠かせません。
ただし、自動化自体を別の大型プロジェクトにしないことも大切です。現在の運用開始に必要な範囲へ限定します。
7.旧管理を終了する時期を決める
新しいシステムを使いながら、Excelと紙も同じ内容で更新し続ける状態は避けたいところです。移行期間を設ける場合も、終了日を決めます。
一部の業務が新システムでは対応できないなら、無理に統一する必要はありません。「案件情報は施工管理システム」「見積もりは現行管理」のように役割を分け、同じ情報を二重入力しない構成にします。
現状把握、目的設定、責任者の明確化、工程設計、試験運用、社内展開の順で、一つずつ完了させることがDX定着への近道です。
まとめ
施工管理、見積もり、案件管理は、いずれも建設会社の生産性に直結します。だからこそ、同時に進めたくなります。
ただ、複数のDX施策を並行すると、担当者の時間だけでなく、現場が新しいやり方を覚える余力も分散します。動く仕組みを増やすことより、実務で使われる仕組みを一つ完成させる方が先です。
まずは進行中の施策を一覧にし、業務負担と緊急度で優先順位をつけます。そのうえで、一つの業務に対象を絞り、入力負担を軽くしながら試験運用します。安定した段階で旧管理をやめ、次の施策へ進みます。
建設DXは、システムの数ではなく、現場で使い切れる順番を決めることで前に進みます。
自社のDX施策を一度並べ直したいときに
施工管理、見積もり、案件管理のどこから着手すべきかは、現在の業務負担やシステムの導入状況によって変わります。「うちの場合は何を優先すべきか」「二重管理をどう解消すればよいか」という段階から整理しても問題ありません。
ネクスゲートでは、中小・専門工事会社の経営課題を、現場、組織、原価管理、デジタル活用まで横断して整理し、実行まで支援しています。建設業界の経営者の懐刀として、ものづくりに集中できる環境づくりを一緒に進めます。
無理にシステム導入や契約を勧めることはありません。まずは現在動いている施策と業務の状況を並べ、次に完了させる一つを整理するところからご相談いただけます。